《【WEB版】劣等賢者のケモノ魔法革命〜「獣人は魔法が使えない劣等種だ」と宮廷魔師から追放されたけど、弟子とFランク冒険者を満喫してたら、いつの間にか最強の魔法學院ができていた〜:書籍化+コミカライズ》37.ソロ・ソロリーヌの頑張り:魔法革命の裏で起こっていたこと
「うぅうう、ぜんぜん、減らないよぉ……」
リス獣人冒険者、ソロ・ソロリーヌは半べそをかいていた。
それもそのはず、スライムの數がぜんぜん減らないのである。
數時間、棒を振るうも目の前には、うじゃうじゃと現れるのだ。
「共同依頼でお友達もできるかもなんて思っていた私が馬鹿だったのかなぁ」
冒険者ギルドで紹介される共同依頼には2つの側面がある。
一つは冒険者同士が協力することで、効率よく仕事を終えられること。
そして、もう一つは冒険者同士の流を深め、連攜を強めることだ。
ソロは冒険者を始めて以來、ずっと一人で活していたが、そろそろ仲間もほしいと思っていたのだ。
彼は名前がソロというだけで、別段、ソロファイター志ではない。
ただちょっとだけ、他人に話しかけるのが苦手ではあったが。
しかし、こんなにスライムが多いのでは流を深めるどころではない。
しまいには雨まで降ってきて、冒険者たちは皆、避難してしまった。
(私ってどうしてこうなんだろう。私は自分が嫌いだ……)
雨宿りをしながら曇り空を眺め、ソロは自己嫌悪に陥る。
勇気を出して他の冒険者に話しかけることのできない自分を。
「スライムが多くて困っちゃいますね」ぐらいの社辭令の挨拶さえできない自分を。
外的な種族として知られるリス獣人であるが、彼はとりわけ落ち込みやすい格だったのだ。
(こんなのだから私には友達も仲間もできないんだ……)
ソロは頭を抱えて、さらなるダークモードに突。
その裏ではアンジェリカが巨大なスライムを破壊し、ライカがとどめをさしていたのだが知る由もないことだった。
「そっちに逃げたよっ!」
ソロはアンジェリカの聲で我に返る。
そうだ、まだ戦いは終わっていないのだった。
自己嫌悪におぼれているわけにはいかないのだ。
「あわわっ!?」
ソロは木から一歩を踏み出そうとするも、木のっこに足を引っ掛けて盛大に餅をつく。
しかし、不思議なことにおは痛くない。
まるで著地點にクッションが用意されていたかのような覚があるではないか。
「あれ?」
そこには赤いスライムが潰れているのだった。
偶然とは言え、最後の一匹のスライムを倒してしまったのである。
おは汚れたとはいえ、お手柄なのは間違いない。
「おめでとう!」
「おめでとうございますっ!」
「おめでとうだぜっ!」
「おめでとう!」
アンジェリカやライカなどの冒険者が集まってきて、笑顔で拍手をしてくれる。
皆が皆、これで仕事が終わるのだとスッキリした顔をしていた。
「ありがとう!」
満面の笑みのソロ。
彼はしだけ自分のことを好きになれる気がしたのだった。
「面白かった!」
「続きが気になる!」
「不憫な子やなぁ……」
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