《【WEB版】劣等賢者のケモノ魔法革命〜「獣人は魔法が使えない劣等種だ」と宮廷魔師から追放されたけど、弟子とFランク冒険者を満喫してたら、いつの間にか最強の魔法學院ができていた〜:書籍化+コミカライズ》39.マッド魔師のジャグラム、叩きのめされるも、仲間と連攜して再起します!

しかし、ここでラッキーなことが起こる。

暴風の中にが生じたのか、ジャグラムのスライムはなんとか抜け出すことができたのだった。

「く、く、くそぉおおおおお!」

突然の過激な悪天候のせいでせっかく増させたスライムが全て消えてしまった。

自分の不運を呪うばかりだが、計畫は終わってはいない。

彼はコアスライムだけは生かして帰そうと、必死に抜け道を探す。

「そうだ、こいつさえ生きていれば、わしのスライムは何度でも蘇るのじゃぁあああ!」

土壇場であったが、ジャグラムはまだ希を捨ててはいなかった。

マッド魔師と言われようとも、これまでに築き上げてきた自分の魔への自信がそうさせるのだ。

大臣からもぎとったせっかくのチャンスを逃すわけにはいかない。

「わしはまだまだこれからじゃあぁあああ!」

途中からコアスライムに気づいた冒険者たちが追いかけてきたが、ジャグラムはスライムを巧妙にる。

遠隔作しているとはいえ、まさに一心同になって駆けるのだった。

ぷちっ!

そんな時だった。

彼がスライムと共有している視界は一気に崩れた。

目の前が真っ暗になり、「シンクロ率ゼロ」との表記が現れる。

「はぁあああああ!? 噓じゃろぉおおおお!?」

すなわち、それは彼のるギガスライムが誰かにやられたことを意味するのだった。

戦いの現場となった牧場からほど遠くない末な小屋の中、彼は絶のあまりび聲をあげるのだった。哀れ!

「くはははは! ジャグラム、やはり失敗したようだな!」

「あれだけの大口を叩いておってけない奴!」

彼がとぼとぼと住処に帰ろうとしていると、聞き慣れた聲がする。

「お、おぬしらはっ!?」

ジャグラムが振り返ると、そこにいたのはランナー王國宮廷魔師のレイモンドとカヤックだった。

二人はジャグラムを嘲笑うがごとく、にやついた笑みを浮かべている。

「ふん、嘲笑うがいい! わしの貴重なスライムが、計畫が、潰されてしまったのだ……」

ジャグラムは計畫が失敗した直後ということもあり、二人に反論する気力さえも失せてしまったようだ。

彼はこれまでに多大な時間と金と労力を今回の研究に費やしてきたのである。

うなだれるのも無理はなかった。

彼は二人からのあざけりを敢えてけようとするのだった。

「くははは! そう言うな、ジャグラム!」

「実は、お前にいい話を持ってきたのだ!」

「い、いい話だと?」

しかし、レイモンドとカヤックは彼を笑いに來たのではなかった。

二人は言う、ワイへ王國を転覆し、大臣の信頼を取り戻すとっておきの方法があると。

「そうだ、実はな……」

彼らはジャグラムに邪悪極まる計畫を伝える。

その計畫は錬金師のレイモンド、魔獣使いのカヤック、魔獣研究者のジャグラムの三人が揃わなければ決して達できないものだった。

完璧にワイへ王國とその冒険者たちを破壊できる方法であるかのように思える。

「その話、わしも乗らせてもらうぞぉおおっ!」

その計畫を聞いたジャグラムは、年甲斐もなくが熱くなるのをじる。

これまで仲違いをしていたがゆえに、計畫を完遂できなかっただけなのだ。

力を合わせれば、ずっともっと力を出せるはずなのだ。

まだ、始まっちゃすらいないのだ。

「三人そろった俺たちは最強だぜっ! よぉし、飲もうや、前祝いだ!」

カヤックはそう言うと、どぉんっと酒をテーブルの上に取り出す。

彼ら三人は大臣のいる城には戻らず、街で前夜祭を行うのだった。

全ては完璧に邪悪な計畫の遂行のために。

◇ 一方、その頃、大臣は?

「ははっ、全ては皇帝陛下のご意志のままに! 必ずやよい報告ができると思います」

ランナー王國の宮廷魔師トップにして、大臣のジャークは魔道を使って、とある人と話していた。

その相手とは大陸の中央を治めるイルワ帝國の人である。

そう、彼はランナー王國の重臣でありながら、他國の有力者とつながっているのだった。

「ぐひひひ、これで私も帝國で要職につくことができますね」

報告を終えた大臣はほくそ笑んでいた。

彼の部下である、ジャグラムがあと數日もすれば隣國のワイへ王國を崩壊させてしまうからだ。

國土はスライムで荒廃するとは思うが、長期的に見れば問題はない。

それにワイへ王國の誇るダンジョンを奪い取れば、巨萬の富を得ることもできるだろう。

「さぁて、寢る前に日課でもやりましょうか」

彼がベッドをずずいとどかすと、その下にの部屋への階段が現れる。

大臣は人の気配が周囲にないことを確認すると、その隠し部屋に降りていくのだった。

「ぐははは! やはり信じられるのは金銀財寶だけですよっ!」

彼の目の前に現れたのは金銀財寶の山だった。

この大臣、々なところからわいろをけ取ったり、あるいは國庫を著服したりして、私腹をやしていたのである。

近年ではアロエが頑張り続けた金をそのままポケットにいれていたこともあり、彼の財産は膨れ上がっていた。

「しかし、しかし、これではまだ足りませんよっ!」

大臣は貪な男だった。

一生遊んで暮らせる金を手にれてなお、彼はまだ渇していたのだ。

ワイへ王國の寶を通じて、野を達することを!

「面白かった」

「続きが気になる!」

「この三人って一応、凄腕だったんだよな?」

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