《【書籍化】男不信の元令嬢は、好殿下を助けることにした。(本編完結・番外編更新中)》14.気が付いてしまった
ジルベルトとフィリップの會話を聞きながら、クレアは頭を押さえた。
(…間違いないわ。この人には、闇魔法の『呪い』がかけられている)
つまり、闇屬の魔が、この呪いをかけたということになる。
脳裏に浮かぶのは、赤のラーム。
(まさか、師匠? …でも、ずっと森で平和に暮らしている師匠に、この人を呪う理由があるとは思えない。それに、闇屬の魔は他にもいるはず)
きっと、師匠ではない別の魔だろう、と、結論付けるクレア。
――その時。
窓の外から馬の嘶く聲と、馬車の停まる音が聞こえてきた。
フィリップが顔を上げた。
「侯爵様がお帰りのようだ」
ジルベルトは、ひょいとクレアを持ち上げて肩に乗せると、立ち上がった。
「し話をしてくる」
*
フィリップと別れたジルベルトが案された部屋は、太のが暖かく注ぐ応接室だった。
待っていたのは、穏やかに笑う紳士――この館の主である侯爵、その人。
彼はジルベルトに椅子を勧めると、その正面に自も座った。
「最近、いかがお過ごしですかな。東の國境では活躍されたそうですな」
「話が大げさになっているだけで、実際はそこまででもなかった」
「いやいや。ご謙遜を。陛下が今度こそ勲章を授與すると息巻いていると聞きましたぞ」
「ああ。実のところ、斷るのに苦慮している」
最近の出來事を話し始める二人。
クレアは、じっと侯爵の顔を見た。
(あのの人に、よく似てる。父親かしら)
顔やつきを見ると、せいぜい中年に差し掛かったくらいなのだが、白髪がとても多く、心労が見て取れる。
娘の狀態に心を痛めていることが伝わってきて、思わず目をうるませるクレア。
そして、話がひと段落して。
侯爵が、穏やかに尋ねた。
「娘にお會いになられましたかな」
「…はい」
侯爵が、靜かに微笑んだ。
「以前は、一日三時間ほどは起きていられたのですが、今は一時間ほどしか起きれなくなってしまったようです。しかも、食事もほんのし。…そろそろ、私も妻も、覚悟した方が良いのかもしれません」
「…」
を軽く噛んで眼を伏せるジルベルト。
侯爵はらかく微笑んだ。
「あなたは本當に娘に良くして下さいました。フィリップ様を紹介して頂かなかったら、コンスタンスの命はもうとうに盡きていたことでしょう。あの方は、本當に親になって娘に寄り添って下さいました」
侯爵は、一旦、言葉を切って、目を細めると、ゆっくりと口を開いた。
「……ですから、ジルベルト様。あなたは、もう自由になって下さい」
「…」
何も言わず、俯いたまま、手元を見つめるジルベルト。
侯爵が微笑んだ。
「七年前のあれは、運の悪い事故だったのです。メアリー様(ジルベルトの母)も娘も運がなかった。それだけのことです。それに、コンスタンスはまだ婚約者候補の一人でした。あなたがいつまでも義理立てする必要はないのですよ」
ジルベルトの肩の上で、クレアは小さく溜息をついた。
(……なるほど。ようやく理解できたわ)
七年前。
側妃であり、ジルベルトの母親でもあるメアリーと、い令嬢を乗せた馬車が、崖から転落した。
メアリーはを強く打って死亡。
い令嬢は一命を取り留めたものの、寢たきりになっていると聞いたことがある。
恐らく、そのい令嬢が、コンスタンスなのだろう。
(コンスタンスはジルベルトの婚約者候補だったのね…。きっと、ジルベルトは彼のことがずっと好きなんだわ)
不思議だったのだ。
も葉もない『好きの好殿下』などという噂を、ジルベルトがなぜ放っておいているのか、と。
彼のことがずっと好きで、他の婚約者を決められたくないから、放っておいたと考えれば、つじつまが合う。
その事に気が付き、クレアは水を浴びせられたような気分になった。
(…そう。ジルベルトには想い人がいたのね)
続いて襲ってきた、思わず顔をしかめるほどのの痛み。
クレアはようやく気が付いた。
私はジルベルトにをしていたのね、と。
続きはまた明日。
いつも誤字字ありがとうございます。(#^.^#)
【書籍化決定】婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。
アメリアには、婚約者がいた。 彼は、侯爵家の次男で、貴重な「土魔法」の遣い手だった。 婚約者とは良好な関係を築けていたと思っていたのに、一歳年上の彼が王立魔法學園に入學してから、連絡が途絶える。 不安に思うが、來年には自分も入學する。そのときに話し合えばいい。 そう思っていたのに、一年遅れて入學したアメリアを待っていたのは、周囲からの冷たい視線。 婚約者も理由をつけて、アメリアと會おうとしない。 孤立し、不安に思うアメリアに手を差し伸べてくれたのは、第四王子のサルジュだった。 【書籍化決定しました!】 アルファポリスで連載していた短編「婚約者が浮気相手と駆け落ちしたそうです。戻りたいようですが、今更無理ですよ?」(現在非公開)を長編用に改稿しました。 ※タイトル変更しました。カクヨム、アルファポリスにも掲載中。
8 50【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜
※書籍化します! 10/1にKラノベブックス様で発売! コミカライズも決定してます! 史上最強の勇者である俺・ユージーン。 魔王を討伐した後、気づけば俺は貴族の息子・ユリウスとして転生していた。 どうやらこの世界の俺は、魔力ゼロの忌み子として、家から見捨てられていたらしい。 優秀な雙子の弟と比べられ、わがまま王女な婚約者を寢取られ、學校や屋敷の人たちからは無能とさげすまれる。散々な日々を送っていたみたいだ。 しかし別人に転生した俺は、それらを全く気にせず、2度目の人生を気ままに過ごすことを決意する。 このときの俺は知らなかった。 ここが勇者のいた時代から2000年後の未來であること。 平和な世界では、魔法も剣術も、すさまじくレベルが低下していたことに。 勇者としての最高の剣術、魔法、回復術、體術を引き継いだ狀態で転生した俺は、衰退した未來の世界で、自覚なく最強の力を振る。 周囲の悪評と常識をことごとく覆し、戀人や家族、そして俺を馬鹿にしていた弟からは嫉妬される。 けれどそんなこと全く気にせず、俺は今日も自由をただ謳歌するのだった。 ※書籍化に合わせてタイトル変更しました 舊「落ちこぼれの兄の方が実は最強〜史上最強の勇者、未來の世界へ転生する。優秀な弟に婚約者を寢取られ、家や學校からも無能と蔑まれてたが、前世の力を引き継ぎ気ままに生きてたらいつの間にか目立ってた」
8 75【書籍化】絶滅したはずの希少種エルフが奴隷として売られていたので、娘にすることにした。【コミカライズ】
【書籍化&コミカライズが決定しました】 10年前、帝都の魔法學校を首席で卒業した【帝都で最も優れた魔法使い】ヴァイス・フレンベルグは卒業と同時に帝都を飛び出し、消息を絶った。 ヴァイスはある日、悪人しか住んでいないという【悪人の街ゼニス】で絶滅したはずの希少種【ハイエルフ】の少女が奴隷として売られているのを目撃する。 ヴァイスはその少女にリリィと名付け、娘にすることにした。 リリィを育てていくうちに、ヴァイスはリリィ大好き無自覚バカ親になっていた。 こうして自分を悪人だと思い込んでいるヴァイスの溺愛育児生活が始まった。 ■カクヨムで総合日間1位、週間1位になりました!■
8 63男子が女子生徒として高校に入りハーレムを狙っている件(仮)
表紙は主人公の見た目イメージです。お気に入り設定とコメントして下さった作者様の小説読みに行きます。花間夏樹という男子高生が高校に女子として入り、男の子に告白されたり、女の子と一緒に旅行にいったりする話です。宜しければお気に入り設定と コメントお願いします。
8 198老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
彼は、誰もが羨む莫大な資産を持っていた…… それでも彼は、この世にある彼の資産全てを、赤の他人に譲る遺書を書く…… 真田(サナダ) 英雄(ヒデオ)56歳は伝説的圧倒的技術を持つプレイヤーだった。 40年続くMMORPG ヴェルフェリア・オンライン。 時代の進化によって今終わろうとしているRPG。 サービス終了とともに彼は自分の人生を終えようとしていた。 そんな彼のもとに一つの宅配便が屆く。 首に縄をかけすべてを終わらせようとしていた彼の耳に入ったのは運営會社からという言葉だった。 他のどんなことでも気にすることがなかったが、大慌てで荷物を受け取る。 入っていたのはヘッドマウントディスプレイ、 救いを求め彼はそれをつけゲームを開始する。 それが彼の長い冒険の旅の、そして本當の人生の始まりだった。 のんびりゆったりとした 異世界? VRMMO? ライフ。 MMO時代の人生かけたプレイヤースキルで新しい世界を充実して生き抜いていきます! 一話2000文字あたりでサクッと読めて毎日更新を目指しています。 進行はのんびりかもしれませんがお付き合いくださいませ。 ネット小説大賞二次審査通過。最終選考落選まで行けました。 皆様の応援のおかげです。 今後ともよろしくお願いします!!
8 812度目の転移はクラスみんなで(凍結中)
主人公、黒崎仁は元勇者だった しかし今はいじめられっ子 そんなある日突然、教室に魔法陣が現れた そして黒崎仁はまたもや勇者になって世界を救うことになってしまった やっと移動してきました!
8 56