《げられた奴隷、敵地の天使なお嬢様に拾われる ~奴隷として命令に従っていただけなのに、知らないうちに最強の魔師になっていたようです~【書籍化決定】》―20― 勝てるはずがない……
冒険者たちの數は6名。
ティルミを含めて7名。
それだけの數で5もいる鎧ノ大熊(バグベア)相手に戦わなくてはいけない。
「「グガァアアアアアアアアアアアッッッ!!」」
鎧ノ大熊(バグベア)たちの雄びが聞こえる。
「みんな、極力固まるようにして戦って」
「「おう!!」」
下手にバラバラになれば各個撃破されてしまう。それを避けるには、全員で固まることが大切だ。
「〈獄炎(フィエルゴ)〉」
炎系統、第四位階〈獄炎(フィエルゴ)〉。
〈火炎撃滅砲(ディオフィルゴ)〉は強力だが、発までに時間がかかる。この狀況下では、発に時間のかかる魔を使う余裕はない。
対して〈獄炎(フィエルゴ)〉は威力は劣るものの、瞬時に発できるという利點がある。
圧された炎の固まりが鎧ノ大熊(バグベア)を襲う。
「グゴォオオオオッッ!!」
痛みに悶えた鎧ノ大熊(バグベア)が雄びをあげる。
とはいえ、これで倒せないことは承知している。
痛みに悶えながらも鎧ノ大熊(バグベア)は突撃してきた。
「〈結界(エステ)〉」
結界をすぐさま張り、護衛する。
「助かったぜ、お嬢ちゃん」
冒険者の一人がそう言いながら、結界の外から剣を突き刺した。
ビュッ! と飛沫が飛び散る。
それと同時に鎧ノ大熊(バグベア)が倒れた。
とはいえ、まだ安心はできない。倒したのは一のみ、鎧ノ大熊(バグベア)はまだ4もいる。
「ぐわぁあ!」
後ろからび聲が聞こえた。
見ると剣士の一人が鎧ノ大熊(バグベア)の攻撃をけていた。
「今、治しますね」
すぐさま、神が駆け寄って治癒魔法を施す。
治癒魔法は治すのに時間がかかるため、復帰するまで待つ必要がある。
「〈獄炎(フィエルゴ)〉」
とはいえ、気にしている余裕はない。
襲いかかってきた鎧ノ大熊(バグベア)に対し、魔を放つ。
「よしっ、倒した……っ!」
また、一鎧ノ大熊(バグベア)を倒すことに功したらしい。
順調だ。
この調子が続けば勝てるかもしれない。
「ぐふっ」
き聲が聞こえた。
見ると、鎧ノ大熊(バグベア)が冒険者のお腹を毆るように腕を振るっていた。
毆られた冒険者は後方へと吹き飛ばされ、木に激突する。
「今、治しに行きますね!」
神が慌てて、倒れた冒険者のところに駆け寄ろうとする。
「駄目っ!!」
ティルミは慌てて制止させようとする。
神が攻撃されないように戦列を組んでいた。けれど、今、神は戦列から飛び出て、倒れた冒険者のところに駆け寄ろうとしている。
それを鎧ノ大熊(バグベア)が逃すはずがない。
鎧ノ大熊(バグベア)の鋭い爪が神に襲いかかった。
まずいっ、神が倒れてしまえば、回復職がいなくなる。そうなってしまえば、戦いを続けるのが困難になる。
「あぶねぇ!」
ティルミと同じことを考えていた冒険者がいたらしい。
一人の冒険者が神をかばうように押し倒す。
「ち、が……っ!!」
神は無事だったが、神をかばった冒険者はそうはいかなかったらしい。
背中から大量のが溢れていた。
「今すぐ、その人を治してあげて!」
そう言いながら、ティルミは結界を張る。
「わかりました。〈治癒(ヒール)〉!!」
神が治癒魔を施したのを確認しつつ、周囲を見つつ、このままだとまずいな、とティルミは冷靜に考えていた。
徐々に戦列が崩れてきている。
「お嬢ちゃん、一つ提案があるんだが?」
そう言って、一人の冒険者が話しかけてきた。
名は確か、ダダス。大剣を使って戦う冒険者だ。
冒険者のランクもBと、この中では最も実力がある持ち主。
そのダダスの提案ってことで、聞きれる価値はあるだろうとティルミは瞬時に判斷した。
「なにかしら?」
「俺が殘り三鎧ノ大熊(バグベア)を引きつけますので、他の者たちを一時、戦線から離されてください」
「そんなことをしたら、あなたが無事で済まないわよ」
「いえ、違うんです。俺は一人のほうが実力が発揮できるんですよ。とはいえ、倒しきれるとは思わないので、回復が済み次第、助けてくれるとありがたんですが」
「わかったわ」
ティルミは即座に決斷をくだす。
ダダスが勝算があってそう言ってあるであろうことは目をみればわかった。
「みんな、一旦引くわよ!」
ティルミはそうびつつ、ダダスを殘して戦線を離するよう指示を出す。
「お前らの相手は俺だぁ!」
中には、離をしようとしている冒険者を狙う鎧ノ大熊(バグベア)もいたが、ダダスがそう言って引きつける。
そして、他の者たちが戦線を離したのを確認すると、ダダスは技を発させた。
「〈バーサーカーモード〉」
強化魔における、一つの技とされている。
思考能力を代償に魔力を増幅させて、全のを強化させるというもの。
そういうことか、とティルミは納得する。
〈バーサーカーモード〉は力を得る代わりに冷靜さを失ってしまう。それは、敵味方関わらず攻撃してしまうほどに。
そうなった者のことをバーサーカーと呼ぶ。
だから、ダダスは他の味方を避難するよう指示を出したわけだ。
バーサーカーとなったダダスは三の鎧ノ大熊(バグベア)に対し怖じせず暴れ回る。
むしろ、ダダスのほうが押しているように思えた。
「すげぇ……」
冒険者の一人がそう口にする。
確かに、すごかった。
縦橫無盡に暴れるダダスに対して、鎧ノ大熊(バグベア)はなにもできずにいる。
「私も治癒に參加するわ」
それからティルミと神で手分けして、怪我を負っている冒険者たちの治癒にあたった。
そして、あらかた治癒が済むと、戦況に変化が訪れた。
「ここまでのようだ……」
ダダスがそう言葉をらす同時に、地面に倒れた。
死んだわけではなく、ただ気絶してしまったようだ。恐らく〈バーサーカーモード〉の代償だろう。
とはいえ、ダダスの活躍のおかげで、鎧ノ大熊(バグベア)は殘り一となっていた。
その一も瀕死に近い。
「みんな、行くわよ!!」
「「おう!!」」
ティルミは指示を飛ばす。
他の者たちもそれに応える。
これなら勝てる! そうティルミは確信した。
「〈獄炎(フィエルゴ)〉!!」
そして、とどめとばかりにティルミは最後の鎧ノ大熊(バグベア)に対し、魔を解き放つ。
「ウガァ!!」
途端、鎧ノ大熊(バグベア)はき聲をあげながら、地面に倒れた。
「やったか!?」
誰かがそう口にする。
鎧ノ大熊(バグベア)はかなかった。どうやら、倒すことに功したらしい。
「うぉおおおおおおお!! やったぜぇえええええ!!」
冒険者の一人を両手をあげて喜ぶ。
他の冒険者たちもそれに倣う形で、皆喜び合っていた。
5もいる鎧ノ大熊(バグベア)を見たときはどうなるかと思ったが、結果的には全員死なずに生還することができた。
そのことにティルミは心の底から安堵する。
「遠くから見せていただきましたが、実にお見事でしたねぇ」
パチパチと拍手する音。
見ると、森の中から人影が現れた。
「てっきり、これだけの魔を召喚すれば、倒せると思ったんですが」
それは、異形の姿をしていた。
「ま、魔族……が、どうしてここに?」
魔族。
魔神により生み出された異形。
唐突に現れては人類を無差別に侵略する、天災とでも稱すべき存在。
それが現れた場所は焦土と化し、なにも殘らないとされる。
そんな魔族がどうしてこんところに?
「さぁ、なぜでしょう?」
と言って、魔族はケタケタと笑う。
ここ數年、魔族の目撃報はなかったはず。
だというのに、なぜこんな森の中で出會ってしまったのか。
「それじゃあ、出てきてください」
そう言って、魔族は幾重もの魔法陣を展開させた。
「ひとまず百ほどいれば、足りますかねー」
魔法陣と共に現れたのはおびただしいほどの鎧ノ大熊(バグベア)たちだった。
「百……?」
魔族の言葉が正しいというなら、ここに百の鎧ノ大熊(バグベア)がいることになる。
「そんなの勝てるはずがない……」
ティルミはそう言葉をらす。
絶滅的狀況だった。
ジャンル別6位に落ちてしまいました(´・ω・`)
悲しいです
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