《[書籍化]最低ランクの冒険者、勇者を育てる 〜俺って數合わせのおっさんじゃなかったか?〜【舊題】おい勇者、さっさと俺を解雇しろ!》四人と合流

──◆◇◆◇──

カーターに案された先で施設を見て周り、大まかな作戦を聞き終えた俺は、宮野達と合流するべくあいつらの泊まる予定のホテルへと來ていた。

だが、どうやらちょうど夕食の時間だったようで広間で立食パーティー……ってほどのものでもないが、まあそんなじのものが開かれていた。

そしてその広間で宮野達の姿を見つけるとそっちに向かって歩いて行ったのだが、どうやらもう蟠り的なのはないようで、宮野達は楽しげに話していた。

まあ本人も気づいていないような心の底では何を思っているのかわからないが、それでも楽しげに話していた宮野達の様子を見ていると、さっきまでの苛立ちが溶けていくかのようにじられた。

「あ、おかえりー。へーきだったー?」

ある程度まで近寄っていくと淺田が俺のことを見つけたようで、料理の乗った皿を片手にこっちに向かってきた。

「隨分と気を抜いてんな」

「あ」

皿の上にあったパンを一切れ勝手にもらって口に運ぶ。

淺田は自分の料理が盜られたことで、自分で取ってくればいいじゃん、なんて言っているが、許せ。

食事自は淺田の言った通り自分で取りに行くつもりだが、それでもなんとなく、今はこうしたかった気分なんだ。

「日本食がしい」

まだささくれだった心が落ち著いたわけではないのだろう。

いや、落ち著いてきたからこそ、だろうか。帰りたい。ついそんな意思をこぼしてしまった。

「まだ來たばかりですよね?」

それが弱音だとは気づかなかったようで、ただの言葉だとけ取った宮野は俺の言葉に苦笑している。

「ライスはある」

「一応、私たちに配慮してなのか、お壽司とかもあるみたいです」

二人の後から続いてきた安倍と北原にも気づかれていないようだ。……よかった。

「ねえねえ、あんたはどこに泊まるの? 一応あたし達の部屋五人部屋なんだけど……」

「もしかして伊上さんも同じ部屋に……」

……なんだろうな。こいつらと話してて心は楽になったんだが、なんというか……頭痛が痛い。

「アホか。お前らと泊まるわけねえだろ。あいにくと、教導は個室だ」

「はあ? ずるくない?」

「これでも公務員で、それなりに金を使える部署だからな。稅金萬歳」

これでも現在の日本——というよりも世界の狀況としては、冒険者の育に力をれている。

なので冒険者のための職員だとか部署だとかには結構金がある。俺たち教導もその恩恵をけられるわけだな。

っつーか、仮に個室じゃなかったとしても、流石に子高生と同室はねえよ。そんなんだったら問題がありすぎるだろ。

……まあ、ダンジョンでは泊まりで行する時があるから同じ部屋で寢たところで今更かもしれないけど、それはそれだ。

「つか修學旅行なんて誰かと同室になるから楽しいんだろうが。こんな狀況でぼっちにされてもつまんねえぞ」

「それもそうですね」

こう言った集団での旅行ってのは、みんなと騒ぐから面白いんだ。

一人旅はそれはそれで面白いし個室でもいいんだろうが、仲間と一緒にいるんだったら同じ部屋で騒いでた方が楽しいに決まってる。

だから今回の旅行を楽しむためには、むしろ個室じゃなかったことを喜ぶべきだろう。

「そういや思ったんだが、人なくねえか?」

し話をしてから自分の食べる分を取りにいたんだが、なんだか思ってたよりも生徒達の人數がない気がする。夕食の時間を分けてるとか、場所を分けてるとかだろうか?

「え、そう?」

「ああ、それは學年全できてるわけじゃないからですね。一學年をいくつかに分けて別の場所にいかせているので、この場所に來ているのは學年の三分の一程度です」

「因みに、ここ以外はルーマニアとイタリア」

「結構近場で固めてんだな」

「気候の問題とか考えた結果らしいですよ」

「後は、それぞれの文化の違いを知るため、みたいです」

ああ。ここと、後二つの國はそんなに離れていないのに結構違うところがあるみたいだし、その違いを學ぶ、みたいなじか。

「にしても、ルーマニアとイタリアか……まあ勉強のためか」

理由があるってのは分かったが、それでもわざわざこの三つを選んだ理由は納得できる。

「勉強のため? 確かに〝修學〟旅行だけど……」

「なにが?」

だがそんな俺の納得は宮野達にはわからなかったようで、四人とも首を傾げている。

「その二つと、後ここの國はそれなりに々逸話があって、魔法を學ぶんならちょうどいい國なんだよ」

魔法使いの伝承とかそういうのはどこにでもあるもんだが、この三つは結構な逸話があるし、ゲートが出現するようになってからの実績もある。

例えば、ここはわかりやすい。騎士団、なんてもんがあるくらいだしな。

……騎士団、ね。あんましあいつらのことは考えないようにしよう。

「また魔法? あたし魔法使えないんだけど?」

「広義の意味ではお前も魔法使いだよ。自己強化脳筋型のな」

こいつに修行をつけたように、近接系も厳には魔法が使えないわけじゃない。ただ自己強化だけに特化しているってだけの話だ。

「まあ勉強っつっても、こういうところがあるんだって見識を広げるくらいで、普通に楽しんでればいいと思うぞ。流石に三・四日程度じゃ何かを學べってのは無理だしな」

淺田は俺が教えたことで一ヶ月は新しい技を覚えるのにかかった。

宮野達にも教えはしたが、それは一から新しいことを教えたわけではなく、言ってしまえば新しい魔法を教えただけだ。

流石に數日では何も學ぶものはない、と言ったらあれだが、技を習得することはできないだろうし、學校側だってそれは承知しているはずだ。

だから、せっかくの旅行なんだし、お前らは気楽に楽しんでおけばいいんだよ。

「明日はどうするの?」

淺田がそう聞いてきたが、悪いな。明日は例のクソったれな作戦の準備をしないといけないんだ。

「あー、悪いが、別行だな」

「えーっ! せっかく來たのに!」

「文句ならあの騎士様に言ってくれ。俺は行きたくなんてなかったんだ」

しも時間が取れないんですか?」

……一応、全く時間が取れないってわけでもない。

一通りあいつらの使ってる拠點を確認したが道は揃ってたし、あとは俺が自分用に調整した魔法を予備も含めて幾つか用意すればそれでおしまいだからな。

だが、それをできるかどうかってのはわからない。

今日はこっちに來ることができたが、一応作戦の前なんだ。拠點に詰めておけって言われるかもしれない。

「どうだろうな。狀況次第なところがあるから……まあ明日の午後から明後日の晝までは空いてるが」

「なら、一緒に観しませんか?」

子高生がおっさんと一緒に街歩いて楽しいか?」

「楽しい」

「せっかくだし、一緒に行したい、よね?」

「そー言うわけで! 約束だかんね!」

「まあ、たまには付き合ってやるか」

しくらいなら許可を取れるだろう。というか、許可を出させよう。と考え、俺は苦笑しながら淺田達と行を共にすることを約束した。

    人が読んでいる<[書籍化]最低ランクの冒険者、勇者少女を育てる 〜俺って數合わせのおっさんじゃなかったか?〜【舊題】おい勇者、さっさと俺を解雇しろ!>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください