《[書籍化]最低ランクの冒険者、勇者を育てる 〜俺って數合わせのおっさんじゃなかったか?〜【舊題】おい勇者、さっさと俺を解雇しろ!》作戦前のあれこれ
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改めて々と拠點を歩き回った俺たちだが、最後にやってきたのはかなり広い空間だった。
「——で、ここが訓練室。監修には僕もってるから、生半可な力じゃ壊れない安心設計だ。いざと言う時のシェルターがわりにもなってるんだよ」
こいつが監修したってことは実際に攻撃してみたってことだろうし、力に能力を振っている特級が攻撃しても耐えられるんだったらかなり頑丈な構造なんだろうな。
「そういえばさ……」
「ん?」
頑丈だって言うから壁にって確認していると、ジークが徐に口を開いた。
「ちょっと前に君の生徒達とは手合わせしたけど、君と直接戦ったことはないよね?」
「戦う理由がないからな」
手合わせしたことがあるかどうか以前に、そもそも俺たちはそんなに會ったことがない。
結構親しげに接しているが、これでも片手で數えられる程度しかあっていないのだ。そんな手併せなんてする機會があるわけがない。
「そっかー。……じゃあさ、戦う理由を作ってあげようか」
「は?」
「この間壊した僕の剣、あれ弁償してくれないかな?」
剣? この間壊したって……そんなことした覚えはない——待て。それってもしかして……
「お前の剣? 壊したって……まさかあの淺田との戦いのあれか?」
「そうそう。それだよ」
ジークは正解、とばかりに笑っているが、冗談じゃない。あれは俺が壊したってカウントするのおかしいだろ。
「いや待て。あれはお前が訓練をつけるって言い出したんだろ?」
「だとしてもさ、君はあの子達の責任者で、訓練中とはいえ壊したならその責任があると思わないかい?」
「思わない」
「いや思ってよ」
一瞬すら考えることなく返された俺の言葉にジークは苦笑をこぼしているが、弁償なんてしてたまるか。
俺だって自分が壊したものの弁償が嫌だとかは思わない。むしろ壊したんなら弁償するのは當然だ。
だが、こいつの武となると話は別だ。
なまなかな武だと傷つけることができないドラゴンを退治するような奴が持ってる武。そんなもん、いくらすると思う?
そもそもあれは俺が壊したわけじゃない。
じゃあ誰が弁償するんだってなったら宮野達になるわけだが……あいつらに支払わせるのもなぁ……。
というか、そもそもの話、訓練とはいえ壊れて弁償させるようなものを使うなってんだ。訓練で使う以上は壊れても文句ないもののはずだ。
「まあそんなわけで、その分をチャラにしてあげるからさ、ここで一回、ほんとにちょっとだけでいいから僕と手合わせしてよ」
「……ちなみにあの剣、いくらだったんだ?」
「何度か修理してるからね、総額は分からないけど……確か初期製作費は二億くらいだったかな?」
「におく……無理だ」
「でしょ? あれでもドラゴンの素材をふんだんに使った最高級品だからね。だからさ、しくらいいいんじゃない?」
「……まあ、仕方ないか」
できることならこいつと試合なんてしたくないし、弁償の義務があるとも思わないが、二億がたった一回の試合で後腐れなく払わなくて済むなら、それに越したことはない。
「ああそうだ、一つ聞きたいんだがなんでお前らはそんなに戦いたがるんだ?」
試合をけることを了承した俺だが、このまま戦うわけにはいかない。
なので準備を整えてていたのだが、その間になんとなしに疑問に思ったことを聞いて見ることにした。
「んー? その辺は人それぞれなんじゃない?」
「いやまあ、それはそうなんだろうが……」
「うーん、そうだなぁ。僕の場合は勇者だからだよね。訓練のためだよ。負けるわけには行かないから、強くなれるときになっておかないと」
宮野達もそんなじなのかね?
最初はただの負けず嫌いや悔しさから強くなりたいと思ったじだが、勇者と呼ばれるようになって後に引けなくなったから鍛えてる可能はなくはない。
「でも、確かに特訓って意味もあるんだけど、なんていうのかな……本能?」
「本能?」
「よく分からないけど、言葉にするなら、うん。そんなじかな」
俺は特に戦いたいとは思わないが……まあ、本人もよくわかっていないみたいだし、これ以上聞いても意味ないか。
「それじゃあ、やろうか」
「今度はお互いに模擬剣だから、剣を折られても泣く心配はないな」
「あはは、僕は人前では泣かないって決めてるんだ。僕の泣き顔が見たいんだったら、ベッドの中で——おっと」
ジークは俺の放った水の球を首を傾けることで軽々と避けた。
チッ、當たっとけよ。
「戯言言ってないではじめんぞ」
「戯言じゃないんだけどなぁ……でもま、いくよ」
ジークはそう言うと模擬剣を上段に構え、そのまま走り出すと勢いよく俺に向かって振り下ろしてきた。
だがこんなのは小手調ってもんだろ。
こちとら特級やそれ相當の相手なんてしょっちゅうしてんだ。この程度なら、問題じゃない。
振り降ろされたジークの剣の腹に橫から思い切り剣を叩きつけることで、その進路をずらしてできた空間に踏み出して避ける。
「この程度じゃ意味ない、か」
ジークは剣を振り下ろした姿勢のまま追撃を行うことなく、俺の方を見ながら笑いかけてきた。
「ったり前だろ。その程度でやられるようなら、とっくに死んでるっての」
「それじゃあ、し遊ぼうか!」
──◆◇◆◇──
剣をえてからどれほど経っただろうか。
もうかなり限界が近くなってきたところで、ジークは模擬剣を肩に擔ぎながら大きく息を吐き出して笑った。
「——これくらいで終わりにしておこうか。明日には戦いがあるわけだし、疲れを殘すわけには行かないからね」
「お前は疲れてねえかも知れねえが、俺は疲労困憊だっての」
なんとか怪我はしない程度に避けていたが、今回は道なしでやってたので結構きつかった。
一応道を使っちゃいけないなんてルールはなかったんだが、明日には作戦が開始するってのに道を使って明日使う分がなくなった、なんてことになったらまずい。
なので、俺は剣と魔法のみで特級相手に戦うことになったのだ。疲れないわけがない。
「おや、それは大変だね。今すぐにでも寢て休んだらどうだい? なんなら僕も一緒に寢てあげ——」
そんな戯言を抜かしたジークの顔面にもう一度水の球を放るが、それは最初と同じようにジークが首を傾けたことで避けられた。
「今日はこれで戻るわ。明日の晝ごろにはくるから、そう伝えておけ」
作戦は明日なので、この後は空き時間だ。
カーターにも確認したし、できればこのまま留まっていてしいとのことだったが、あくまでもできれば、だ。強制じゃない。
なので俺はこれから宮野達と合流して街を散策することにしていた。そのための連絡ももうしたしな。
協力するんだから、これくらいは自由にさせろって話だよ。
「あれ? どっかいくの?」
「の子達とデートだよ」
ジークが愕然とした様子をしているが、そんなのは無視だ。
部屋を出ようとしたところでカーターのことが視界にったが、カーターのことを一瞥してから俺は部屋を出て宮野達と合流するために歩き出した。
──◆◇◆◇──
宮野たちと合流した俺は、子高生四人と一緒に異國の街を歩き回ることになったのだが、それももう終わりだ。
もうすぐ門限というか、ホテルに戻らないといけない時間が迫っている。
なので、俺たちは今日の想を言いながらホテルへの帰り道を歩いていた。
これまでずっと歩きっぱなしだったが、ろくに休憩を取らずともけるのは覚醒している恩恵だな。
覚醒したくなかったと思ったことなんてしょっちゅうあるが、それでもこうして平和的な役の立ち方をするとしくらいは謝も湧く。
「結局さー、メシマズなんて言われてても、全部が全部ってことじゃないわけよね」
「まあそりゃあそうだろうな」
メシマズの國として有名だが、淺田の言ったように全部が全部、ってわけでもない。
味しいものは味しいし、探せばしっかりとあるのだ。
まあそれでも基本的に茹ですぎだったり味が薄かったりで、微妙なが多いのは事実なので、日本人からすれば足りないだろうな。
まあ、日本人は味を追求しすぎなじもあるけど、そこで暮らしている俺たちからしてみればありがたいことだ。
「ただ、全的に足りないじがするわね」
「お菓子は味しかった」
「そうだね。でも、食べ過ぎに注意しないと、だよ?」
都市部から離れた地方では、素材を活かしたものもある、みたいな話を聞いたことがあった気がするが、今回は都市部から離れないように言われているのでそこまではいけない。
こいつらの場合は、晝食からしてほとんど菓子で腹を満たしてたじはするから、あまり食事の質は気にしないかもしれないけど。
だが、北原の言ったように食べ過ぎには注意しないと、後でなくことになるぞ。
そのことは言われて思い出したのか、宮野なんかは自分の腹をし摘んで顔を顰めている。
……見なかったことにしてやろう。
「で、観は楽しめたか?」
「うん!」
「海外旅行なんて初めてだったからし不安だったけど、心配しすぎだったわね」
確かに見知らぬ地に行くのに不安ってのはあるだろうな。それが自分達とは違う言葉を使う場所となれば尚更だ。
だが、こういう観地になってる場所ってのは意外と言葉なんてなくてもなんとかなるもんだ。
そういやあ、俺が前回來た時はどうだったか……。不安とかじて……いや、特に何もなかったな。
俺は前回來た時には一人だったが、あの時は死んだ人のことを考えながら半ば自暴自棄なじだったからな。
こっちに來ても投げやりなじでぶらついてただけだし、特にそういった不安なんかはなかった。
だが、まともに見て回ってないと言っても、それでも一度目ではないのでなんとなく見覚えのあるじはする。だからそれほど不安や張はない。
こっちに來るに當たって別の意味で不安だったがな。あのクソったれ騎士団のせいで。
「明日はどうする?」
「伊上さんは、明日は一緒にいるんですか?」
明日か……。一応時間は空いてるし、こいつらにもそう伝えたが……
「……いや。あの馬鹿どもに頼まれごとされてな。ちょっとばかしやることがあるんだ」
俺は宮野達に同行するのをやめて、あいつらの拠點で待機することを選んだ。
時間をおいたことで多なりとも冷靜になったが、あいつらがあそこまで警戒している相手なんだ。萬全の狀態にしておくに越したことはない。
それに、萬が一にでも失敗したらこいつらの修學旅行が臺無しになるかもしれない。
だったら、俺がじている多の不快を押し殺してでも作戦を功させるためにくべきだ。
そう考えたからこそ、俺は首を振って答えた。
「えー! 明日の午前まで空いてるって言ったじゃん!」
「大丈夫なんですか?」
淺田の文句はわかるが、宮野の言った大丈夫かってのは、例の如く俺が何かしらの問題に巻き込まれないのかって意味だろう。
大丈夫か、なんてそんな言葉だけで宮野が何を意図して言ったのか理解したくはないんだが、理解せざるを得ないほどに異常事態に巻き込まれてるからな。
悲しいことに、何に対して大丈夫と聞いているのか、考えるまでもなく理解できてしまった。
「まあ、大丈夫だろ。お前らも特に気にする必要はないから、観を楽しんどけ」
この修學旅行は存分に楽しんでもらいたいので、宮野の不安を消すように笑いかけたのだが、なぜか宮野は神妙な顔で頷いた。
「わかりました。武裝をした狀態で行しますね」
おかしい。俺の言った言葉と宮野の反応がつながっていない気がする。
こいつ、絶対に何かあるって思ってんな?
「……信じてもらえないって、悲しいよな」
「今までの結果じゃないですか?」
他の三人の反応を見てみたのだが、なんか全員頷いている。
確かに今までの結果から考えると信じられないかもしれないだろうけどさあ……。
でも、今回は大丈夫だと思うんだよ。何せ國の機関が全力で対応してるっぽいし、街に多の被害はあるかもしれないが、修學旅行に影響が出るほどの害は出ないと思うんだよ。……多分。
「まあ、警戒はするに越したことないし、それでいいか」
とはいえ、武裝した狀態で何がまずいってわけでもないし、俺たちがやろうとしていること以外でも何かしらの事件に巻き込まれる可能もないわけじゃないので、武裝しておくってのはむしろ良い事だろう。俺が信じてもらえないってのはともかくとして。
「何かあったらすぐに教えてよね。助けてあげる」
「ん。外國でも平気」
「みんな、何か起こるの前提で話すのは、やめたほうがいいんじゃないかな……?」
北原はおずおずとこちらの方をチラ見しながら言っているが、そうだ。その通りだ。
「そうだぞ。何も起こらない時だってあるんだから、そう心配しなくても何もないっての」
「本當に? 絶対に何も起きないって言い切れる?」
「…………まあ、警戒はしておけ」
完全に淺田の言葉を否定しきれない中、適當に話をしながら俺たちはホテルへと帰っていった。
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