《[書籍化]最低ランクの冒険者、勇者を育てる 〜俺って數合わせのおっさんじゃなかったか?〜【舊題】おい勇者、さっさと俺を解雇しろ!》瑞樹:ドラゴン戦・終了
「瑞樹っ、佳奈っ!」
吹き飛ばされていった2人の姿を見ていた晴華が2人の名前をぶが、反応はない。
2人に比べて距離が離れていたこともあって、何重にも張っていた柚子の結界は完全に壊れることはなく柚子と晴華の2人は無傷でいることができた。
だが、2人のが無傷と言っても、全く問題ないと言うわけでもない。
何重にも張っていた柚子の結界はそのほとんどが壊された。急いで追加で結界をり直しているが、ドラゴンからの攻撃を守れるほど強力なものを張り直すとなると、殘りの柚子の魔力はほとんど消えることになるだろう。
できることと言ったら、あとは軽い治癒を二、三回、と言ったところだ。
そうなると、あと殘っているのは晴華だけだが、その晴華だって先ほどまでの攻撃で魔力を使っている。
一、であればギリギリなんとかなったかもしれないが、二は無理だ。
だがそれでも生き延びなければならない。どうする。どうすればいい。
晴華達は必死になって狀況を打破する方法を考えるが、これといって何も思いつかない。
強いていうのなら、今の自に殘っていたドラゴン達が巻き込まれていれば、というくらいだが、その考えもすぐに打ち崩された。
仲間のことを考えていなかった自によって被害が出たのだろう。
殘っていた二のドラゴン達には所々鱗が剝げたところなどがあるが、それでもくのには問題がないようで、二のドラゴン達は柚子達へと接近していた。
そして數十秒とたたずドラゴンは晴華と柚子に迫り、結界を毆りつける。
「きゃあああっ!」
ドラゴンに毆られても柚子達は吹き飛ばされることなく、結界の中で無事だが何重にも張っていた結界のうち何枚かは破られ、自分たちに向かって巨大なドラゴンの腕が迫ったことも相まって柚子は悲鳴をあげてしまう。
どうにかならないかもしれないが、それでもどうにかしようと晴華が攻撃するが、溜めのない攻撃では効果が薄い。
なら溜めてから攻撃するしかないのだが、晴華が大火力の魔法を構築していく間にもドラゴンの攻撃は続き、柚子の張った結界が一枚、また一枚と減っていく。
そうしてドラゴンの攻撃によって柚子の結界のうち半分ほどが砕かれ、さらにドラゴンの腕が振われるその時——
「やらせない!」
ドラゴンの自によって吹き飛ばされたはずの瑞樹が、びと共に晴華達の後方から飛び出してきた。
そして、瑞樹は剣だけではなく全に雷を纏ってドラゴンへと突撃をし、目をつぶした。
「瑞樹っ!」
それを好機と見たのか、晴華は自の殘りの魔力のほとんどを注ぎ込んで強引に魔法を構築すると、それをドラゴンに向けて放った。
瑞樹は晴華の聲を聞いた瞬間にその場から飛び退いて2人の元へと著地したのだが、その視線の先では後先考えない晴華の攻撃のおかげでダメージがったようで、ドラゴンは頭部を炎で焼かれながら痛そうにびながら頭を振り回している。
だが、その炎は三目のドラゴンを一撃で戦闘不能まで持っていった魔法とは比べにならないほど弱く、炎を維持していられる時間も長くは続かない。
當然だ。いくらなんでも、魔力の使いすぎだった。
しかし、その炎が消える瞬間、炎を突き抜けて瑞樹がドラゴンの顔に向かって進み、額のあたりで著地した。
そして——
「っ、やああああああっ!」
額に剣を突き立て、全力で雷を流した。
剣と雷のコンボを喰らったドラゴンは暴れながら絶を上げると、それまでのドラゴンと同じように突然きを止め、地響きを立てながら地面に倒れ伏した。
そうして四目のドラゴンを倒した。
——だが、そこで終わりだ。
「くうっ……あと、一なのに……っ!」
四目のドラゴンを倒した瑞樹は、剣を地面に突き刺してそれに縋るようになんとか立っているにすぎない狀態だ。
ドラゴンとの戦いが始まってから休むこともなく力を使いっぱなしだったせいで、もう魔力が殘っていないのだ。
一応補充薬は飲んだが、それだってすぐに効いてくるものではないし、そもそも回復量と消費が釣り合っていないので、回復した端から消えていっている。
逃げることはできるだろう。戦って、生き殘ることもできる。
だが、もう瑞樹にはドラゴンを殺し切るだけの力は殘っていなかった。
最後に殘った五目のドラゴンは、勝利を確信したのか天に向かってび、それから瑞樹へと視線を落とした。
そして、後ろ足の二本で立ち上がると、倒れ込むように勢いをつけて腕を振り下ろした。
「倒れたままなんて、できるかああああ!」
だが、まるで先ほどの瑞樹が再び現れた時の再現のようなタイミングで佳奈がびながら姿を見せた。
先ほど瑞樹が現れた時と比べてそのきは遅いが、それでも常人よりは遙かに速いスピードで佳奈はドラゴンに向かって突っ込んでいく。
突然現れた佳奈へ訝しく思い視線を向けたが、もう遅い。今更何をしたところできは止まらないし、瑞樹達が潰される運命は変わらない。
「こ、のお……」
振り下ろされたドラゴンの腕を真っ向から迎え撃つようにして、両手で持った大槌を振り上げた。
普通ならそんなことをしたところでふみ潰されておしまいだろう。だが佳奈は耐えた。耐えて、今も押されることなく拮抗している。
「きゃああああ!」
しかし、いくら力で対抗できたとしても、大きさの違いというものがある。
佳奈はドラゴンの踏み付けをけ止めたわけだが、佳奈の大槌とドラゴンの腕のぶつかった地點よりも高い場所にあった柚子の結界は容易く砕かれた。
そして、両者がぶつかったことによって生み出された衝撃は周囲にばら撒かれ、なんの守りもない狀態となった柚子と晴華は後方へと吹き飛ばされていった。
そんな中、瑞樹だけは剣に寄りかかり膝をつきながらも、両者のぶつかりを見続けていた。
とはいえ、ドラゴンとしてはここで押し続ける必要などないはずだ。
踏みつけるといっても、四本ある足のうち他の三本は地面についているのだから、勢を維持したまま佳奈の攻撃をやり過ごして改めて攻撃し直すことも可能だ。
だがそれでも、ここで引いたら負けてしまうかのように思え、ドラゴンは自のプライドを刺激された。自分よりも小さなものを相手に逃げてもいいのか、と。
だからこそ、ドラゴンは佳奈と勝負することを選んだのだ。
だが——
「まっ、けるかあああああ!」
その結果はドラゴンの思っていた通りにはならない。
佳奈は気合のびとともに全に力を込め、最後の一となったドラゴンの踏み付けを押し返し、弾いた。
全力で踏み潰そうと叩きつけたはずの足を弾かれたことでドラゴンは片腕を上げるような勢になり、そのまま腕の勢いに釣られてひっくり返って腹を上にして倒れてしまった。
仰向けに倒れたドラゴンの懐に潛り込んだ佳奈はさらに追加で取り出した魔石を砕くと、そこから溢れ出した魔力を全て自の中で発し続けている強化の魔法に注ぎこんだ。
まだ完璧ではない。魔石に篭められていた魔力を無駄にしている。
だがそれでも、自分の力の源が強化されたという事実は変わらない。
そしてその事実だけがあれば佳奈にとっては十分だった。
佳奈は普段よりも強化されたをかし、野球の打者のように大きく振りかぶって構え、振り抜いた。
「ぶっ飛べええええええええっ!」
そうして振り抜かれた大槌は、ビルほど、とまではいかないが、それでも一軒家は優に超えた大きさのドラゴンを冗談みたいに空へと打ち上げた。
「どんなもんよっ!」
佳奈は大槌を振り切った勢で、近くにあった公園へと飛んでいったドラゴンを見送りながらそういって笑った。
一級どころか、特級ですらなし得ないような偉業。
「——あはは。……あーあ。これは、ちょっと大変そうね」
自分の想像を遙かに超えて強くなっていたライバルの姿を見て、瑞樹は苦笑まじりに笑いをこぼした。
だが、その表はどこか晴れやかなものだった。
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