《[書籍化]最低ランクの冒険者、勇者を育てる 〜俺って數合わせのおっさんじゃなかったか?〜【舊題】おい勇者、さっさと俺を解雇しろ!》敵拠點への侵

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「敵の拠點ってのはここか?」

「みたいだね」

カーターからの頼み事ってのは、敵の拠點らしき場所を発見したからそれをどうにかしてほしいってもんだった。

どうにかしてほしいって言っても、俺たち以外にも騎士が何人か來ているので、調査はそいつら任せで俺たちは調査なんてしない。

なら俺たちはなんのために、ってなるんだが、俺たちに求められているのは囮だ。

騎士達が來てるって言っても、外の騒ぎもあの大聖堂以外にも何箇所か襲われていたらしいので、それらの対処をしなくてはならない。

そのため、敵の拠點らしき場所を見つけたって言っても、すぐに突するには戦力的に不安があった。

だが、時間をおけば何かするかもしれないし、逃げるかもしれない。

そのため、俺たちが派手に正面から攻め込み、その間に騎士達が他のり口から侵して々諸々どうにかするらしい。

俺としてはすぐにでも宮野達のところへ行きたかったのだが、結局俺はカーターからの頼みをけてやることにした。

救世者軍をどうにかしたいと思っていたのは間違いないし、こいつらを放っておけばそれは街の被害ってだけじゃなくて、宮野達にも害が出る。

ただでさえせっかくの旅行を臺無しにされた形なんだ。これ以上余計なことはさせたくない。

そんなわけでけてやることにしたのだが、けてやる代わりに宮野達の保護を頼んだ。

カーターに聞いた限りではどうやら俺たちの場所以外でも町中でゲートが開かれたようで、宮野達のいた地點周辺でもゲートが発生したらしい。

がそれはすでに収まったようだ。多分宮野達がやったんだろう。

それを聞いた俺はほっと安堵の息をらしたが、だからといってその後も安全になったとは限らない。

ないとは思うが、も俺が考えたように向こうでもドラゴンが現れていたら、宮野達も全力で戦わないとまずいだろう。

だがその場合は、戦いが終わったとしても力を使い果たした狀態になってしまうはずだ。

そんな狀態で襲撃なんてされたらまともに対処することもできないだろう。

だから保護してもらった。そうすれば、俺は向かわなくて済むし、安心して攻め込める。

そんなわけで、敵の拠點にやってきたのだが、思ったよりも普通の場所だった。

ぶっちゃけただの店だ。

ただの店ってかスーパーなわけだけど、まあこれならそれなりに大きな荷とか搬してもおかしくないし、市街地にあっても紛れ込めるか。

まあ、騎士団の拠點だって普通っていやあ普通の場所な訳だし、こう言うところに隠されていてもおかしくはないか。

だが、ってみると普通の店だったのだが、カーターから聞いていた通り店長室に向かうと地下へのり口があった。

敵の生き殘りから尋問した結果だって言ってたけど、間違ってなくてよかったよ。

それを見つけた俺たちは顔を見合わせると慎重に、だが素早く階段を下っていった。

階段を降り切ってまっすぐ進むと、一つ目の角で早速敵と遭遇することになった。

戦闘を進んでいたジークが角から顔を出した瞬間、その先から銃弾が飛んできた。それも、一つ二つではなく、どれくらいか分からないくらいに大量にだ。

地下にいるせいで銃聲が反響しまくってどれくらいの數がいるのかよくわからないが、弾丸の數からしてそれなりにいるってのは確かだろうな。

「敵は銃火か」

「なら俺の出番はないか?」

モンスター相手とか強敵一人ならそれなりになんとかできるし、潛系ならなんとかなりそうだが、銃や弾を使っての數で押されるような逃げ道のない戦闘だと、正直俺は言って役に立たない。

こんな直線で障害も何もない通路では、進んだところで撃ち殺されて終わりだ。

「戦いたいなら前を進んでくれてもいいんだけど?」

「戦いたくねえから前を進んでくれや」

だが、俺は簡単に撃たれて終わりだろうが、ジークは違う。

銃弾なんて食らったところで、エアガンほどにも効果はにだろう。々が割り箸で作ったゴム鉄砲くらいなもんだ。

だからここはジークを突っ込ませるのが正解だ。

ジークもそれをわかっているからだろう。肩を竦ませると、剣を擔いで銃弾の嵐が止んだ瞬間に走り出した。

一瞬にしてジークの姿が通路の向こうへ消えると、その直後から再び銃聲が聞こえ始めたのだが、今度は男達の暴なび聲も一緒に聞こえてきた。

銃を相手に真っ正面から突っ込んでいけるなんて、羨ましいこった……。

「終わったよー」

そんなことを考えてため息を吐き出した俺はこの後のパターンを考えていたのだが、それほど時間もかからないうちにジークからこの場には似つかわしくないくらいにいつも通りののない聲で呼びかけられた。

その聲に反応して立ち上がるとそのまま歩き出し、曲がり角の向こうにいるジークの元へと進んでいった。

「お疲れ。……十人いないか。思ったよりもないな」

「まあ通路だかんね。いっぱいおいても意味がないってのもあるでしょ」

「それもそうか」

こんな逃げ場のない大して広くもない場所に何人もおいたところで、できることは限られてる。

どうせ銃を撃つだけだし、弾幕をはれる程度の人數を用意できればそれで十分か。

「多分この先に部屋があると思うんだけど、そのどれかに隠れて襲撃、ってじじゃない?」

「それか大部屋でまとめて相手、か」

個人的には大部屋でまとめて、の方が楽でいい。

戦うのはきついだろうが、探索で時間を取られることもないし、戦闘自はジークに任せておけばすぐに終わるだろう。

……ぶっちゃけ、この拠點へ攻め込むのはこいつだけで十分なんじゃないか?

まあ囮としては俺は役に立つだろうな。一応こいつらに狙われたことがある程度には厄介だと思われているだろうし。

それに、ジークの保険って意味もある。

ジークが萬が一にでもやられた時に、その生死の確認と、その報告。それから引き続き囮役の継続をするのが俺の役目だろうし、カーターもそのつもりでいるだろう。

まさか俺にこんな奴らを相手どっての戦闘なんて求めているわけはないはずだ。

まあなんにしても、このまま進んでいくしかないわけだが……。

「何してんの?」

「通信機を探してんだよ」

先に進もうとしたのにだらけで倒れている敵の死を弄っている俺を見て、ジークは不思議そうな聲音で問いかけてきたが、これは必要なことだ。

「役に立つかわからんが、それほど時間を取られるわけでもないしな」

こいつらが使ってる通信手段を手にれることができれば、それから何かしらの報が手にるかもしれない。

けどそれは、手にればいいな、程度のものでしかない。俺だったら、敵にやられたと判斷した瞬間、そのやられた仲間達が使っていた通信機にはつながらないようにするからな。

だから一応やってるだけだ。なんか聞けたらラッキー程度。

後はこいつらの裝備を拝借するためだな。

騎士達の親玉で、俺がこんなところに來ることになった原因であると言っても過言ではない存在の、超常対策局の局長であるシャロンは、今回の作戦に當たって々と裝備や道を使わせてくれたが、それでも流石に銃火は拳銃以上のものは貸してくれなかった。當然て言えば當然だな。

だが、それだと戦力的に不安が殘る。

なので使い慣れていないしそもそも初めて使うもんだが、こういう連のきくマシンガン的なものは持っておきたい。

それに、こういう目に見える脅威ってのはそれだけで役に立つもんだ。

無手の特級と、抜きの剣を持った一般人だったらどっちが警戒するべきかって言ったら、大抵のやつは剣を持った一般人を警戒する。実際には無手だろうと特級の方が圧倒的に上なんだとしてもだ。

だから使ったことがなくても役に立たなかったとしても、とりあえず持っていく。

使えないなら使えないで、相手に向かって投げれば武を捨てたじを演出することもできるし、全く役に立たないってことはないだろう。と思う。

そんなわけで、々と敵から回収した後は地下を移し続けたのだが、もう三十分くらい経っただろう。

まあ寄り道しながら進んだので走って三十分の広さってわけじゃないが、それでも十分に広い。

しばらく通路を進んでいるといくつも部屋が現れたのだが、その中にはものは置いてあるし使用した形跡はあるものの、誰一人として姿を見ることができなかった。

多分、どっかこの先でまとめて出てくるんじゃないだろうかと思うが、どうなることやら。

「なんだここ。結構広いな」

なんて考えていると、どう考えても地上にあった店舗部分よりも広い空間に出た。

だがその部屋、というか空間にはこれと言ってが置かれているわけでもなく、人がいるわけでもない。

なんのためにこんな広い空間を用意したんだ?

元々は荷が置かれていて急いでそれを回収した、なんてことはないだろうし……わからないな。

「まだ敵はいない、か。こういう広いところで待ってると思ったんだがな……」

「だね。でも、もう結構進んだはずだから、そろそろ敵に出會うと——言ったそばから、かな?」

そんな話をしていると、空間の奧にある扉が自で開き、そこから人が現れた。

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