《【書籍化】白の平民魔法使い【第十部前編更新開始】》プロローグ ‐とある會議室‐
魔法。
それは幻想を現実に顕現させるである。
魔力を燃料に、幻想を描いて、現実に影響を及ぼす。
「うーん、何とも極端な子というか……」
「原石ではありますけどね。魔力だけならトップクラスだ、平民だというのに興味深い」
ここはそんな魔法を使う魔法使いを育てる"ベラルタ魔法學院"。
今年も名だたる魔法使いの一族を多數迎えるこの國有數の教育機関である。
その會議室で一人の年の學についてが議論されていた。
「とはいえ、実技がこれじゃあね……"変換"が満足にできないってのはちょっと……」
「形だけでしたからなぁ、どの屬にもできないというのは……」
魔法は主に、"充填"、"変換"、"放出"の三工程で作り出される。
充填は魔力を使うこと。
放出は魔法を放つこと。
そして変換とは魔法使いが魔力を魔法に変える工程である。
魔法とはこの三工程を経て魔力を魔法に変えることを指すのだが変換は最も重要な工程だ。
魔力は目に見えず特定の形や質を持たない幻のようなエネルギーであり、そのままでは現実に影響を及ぼしたりすることはない。
変換とは魔法使いが魔力を特定の形や質、屬を思い描き、現実に影響を及ぼせる魔法にする行為である。
例えば"炎の剣を出す"といった魔法を使う時は剣が特定の形や質。炎が屬にあたる。
このようにどんな魔法を出すかイメージすることの延長のようなものだ。
そして魔法使いの腕とは、どれだけの量の魔力をどんな形でどんな質や屬に変換させられるかが重要であり、変換が満足に出來ないというのは魔法を使う際の致命的な欠陥である。
そして、屬の変換ができていない魔法は今の時代では魔法と呼べるレベルではない。
いわゆる"無屬魔法"。
だが、それが魔法であれたのは魔法という技が確立される黎明期。
魔法の土臺になりはしたが、今の魔法には及ばない欠陥である。
「うーん、やはり他に比べると見劣りしますし」
「ですな。じゃあ……」
そんな年の処遇があっさり決まろうとした時、一人の聲で流れが変わる。
「俺は學させちゃったほうがいいと思いますけどね」
その場にいた人の視線がその一人に集まる。
無髭を生やした男で、テーブルに置かれた資料を手に取った。
「何故です?」
「この子、師匠みたいな魔法使いになりたいって息巻いてたわけでしょ? どこの誰が師匠か知りませんけど、學させなかったら別の手段でも魔法使いになろうとする気がするんですよね」
彼が資料で注目したのは出だった。
「出はカレッラ、都合がいいド田舎だ。ここより隣のガザスのが近いときてる。ここで斷ってガザスに引き抜きでもされてみなさいよ。向こうで才能が開花でもしたら我々の能力を疑われますぜ」
「む……確かに」
「能力が疑われるのは構わないけど、隣に盜られたりするのは癪ね」
カレッラはこの國マナリルの最東端に位置する村で、隣國であるガザスはマナリルと友好な関係な上にガザスが特別この村に興味があるわけでもない。
なのでそんな事になる確率は低いのだが、萬が一ということもある。
友好國ゆえにこの議題の年が駆け込む可能だってあるかもしれない。
無髭の彼が年に助け舟を出したのはそんな事態を危懼してのことだった。
「だから一旦學させて、こっちで様子見ちゃったほうがいいと思うんですよ。芽が出たら萬々歳なわけですし、駄目だったらそれまでだったって事で。それにここは落ちてくやつが一人増えるくらいなら特に気にすることないでしょ」
「確かにそうですな」
「不利益になるようなことは無さそうですしね」
この學院のシステムを考えると、落ちこぼれが一人いようが関係ない。
落ちていく生徒がいるのは當然の事であり日常だという事を會議室にいた人間は思い出した。
そもそも今回の議論に上がった理由はこの年が他の生徒の練習相手(・・・・)になるかどうかという點だったのである。
名だたる家の貴族の子がってくるこの學院で今更平民の才能に期待するようなことはない。
「それではこの子は學という事で」
「決まりですな、合格者に使いを出しましょう」
「あー、資料は俺が片しときますんで」
「あら、ありがとうございます」
「それではお願いします」
會議が終わると參加していた他二人は忙しいと言わんばかりに會議室から出ていく。
殘ったのは無髭の男だけだった。
「筆記は平均で実技は底辺。なのに魔力だけはトップクラスとは……何とも偏った子だこと。いや、逆にバランスがとれてるのか?」
男一人だけとなった會議室には、どうでもよさそうな呟きと資料をめくる紙の音だけ。
「あら、筆記も魔法関係は解けてるから結構優秀……でも実技は駄目……はは、師匠とやらは隨分極端な教え方してたんだな、こりゃ」
男はそこで見終わった資料をゴミ箱に突っ込んで會議室を後にする。
資料の年にここにいた人間は誰も期待はしていない。
かくして、ただ魔力があるだけと判斷された年は幸運にも學院へと學する事となる。
學院への學當日。
一臺の馬車の窓から、一人の年が顔を出し、珍しそうに見えてきた目的地を眺めていた。
「者さん、あの平らな山はなんですか?」
「はい!? 山!? 何言ってるんですか、ありゃ城壁ですよ!」
「じょうへき?」
「城壁を知らないってどんな田舎に……ああ……そうだった……」
馬車の者は諦めたかのように呆れた様子を見せる。
そうだった。この年を迎えに行ったあの場所はそれはもう時代が違うのではと思うほどのド田舎だった。というより、村とすら言えない山だった。
何より……この年は他の生徒と決定的に違う。
貴族しかいない魔法學院に通うこととなった唯一の平民だった。
「つまりは都會ってことか……!」
年は者が呆れた様子に気付く事無く……生まれて初めて出る村の外での生活に想いを馳せながら。
「あそこで俺は……"魔法使い"になるんだな」
自らの夢を目指すのだった。
初めまして、らむなべと申します。
プロローグをわかりやすくするためにし改稿しました。
これから白の平民魔法使いをよろしくお願いします。
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