《【電子書籍化】神託のせいで修道やめて嫁ぐことになりました〜聡明なる王子様は実のところ超溺してくるお方です〜》第三十七話 エスコート
神殿予定地は、主人のいなくなった個人の屋敷だった。何でも、數年前に主人である豪商が亡くなってからそのままだったらしい。亡くなった豪商には家族もおらず、なかなか買い手がつかなかったため放置されていたようだった。
とはいえ、広さはそれなりにあり、し改裝すれば神殿兼騎士たちの拠點として活躍できそうだ、とのことだった。私の手元にある、サナシスの書イオエルから渡された書類には、そう書いてある。
結局、私は一人で神殿予定地へ向かうことになった。サナシスやメイドたちは忙しいし、護衛に兵士をあてがうという話もあったけど、時間がかかりそうだったから斷って半ば強引に出てきてしまったのだ。
普通であれば王子妃を一人で外出させるわけには、という話になるだろうけど、そこはステュクス王國、王都の治安は抜群にいい。ましてや私が今から出向くところは閑靜な住宅地であり、そこには舊ウラノス公國の騎士たちが集まっている。まず問題ない、というよりも簡素なチュニック姿の私が一人で出かけても、誰も王子妃だとは見抜けないくらい貧相な娘だから問題ない。悲しいけどそれは事実だった。
てくてく、石畳の清潔な都市をもらった書類にあった地図のとおり歩けば——大して時間もかからずに、神殿予定地にたどり著いた。驚くことに、王城からは目と鼻の先だった。これなら毎日でも通えるだろう、そんなことを考えながら邸宅に近づく。
門前には、數人の騎士たちがたむろしていた。外見は旅行者で、しくたびれている。はるばるウラノス公國から來たのだから、當たり前といえば當たり前かもしれない。彼らはそうまでしてステュクス王國に來たのだと思うと、一ウラノス公國で何があったのか。それは、今は私は考えないように、頭から振り払う。
私はまず、門前の騎士たちに聲をかけた。
「あの、こんにちは。私、エレーニと申します。アサナシオス王子殿下の命をけ、このたび」
「エレーニ姫!」
私の言葉が終わる前に、私の名前をんだ騎士たちは勢いよく立ち上がり、背筋をばした。
それを聞きつけ、他の騎士たちも何だ何だと出てくる。大勢の男に囲まれる経験などなかった私は慌てふためき、どうすればいいのか、誰か助けてくれる人はいないか、と周囲を懸命に見回した。
すると、騎士たちのうちの一人にコーリャ青年を見つけ、私は呼ぶ。
「コーリャ!」
私の悲鳴にも似た必死の訴えに、気付いてくれたのだろう。し髪の長くなったコーリャ青年が、騎士たちを押し退けて私のもとにやってきてくれた。
「エレーニ様、お久しぶり……いえ、この間お會いしましたね。お元気そうで何よりです」
「コーリャこそ。それより、あなたたちのまとめ役はどちら?」
「騎士団長ならあちらに。どうぞ、姫」
コーリャ青年は上機嫌で、私の手を引きエスコートする。騎士の面目躍如、といったところだろうか。私とコーリャ青年は邸宅の中にり、吹き抜けのホールにやってきた。細かなモザイクタイル張りのアーチ型の屋、壁、床。それらすべてが、この邸宅がよほどの富豪によって建てられたのだと教えてくれる。
そんなところがなぜ買い手が付かなかったのか、と私は疑問に思ったものの、歩み出てきた舊ウラノス公國騎士団長を前にしてその疑問は橫に置いておく。
騎士団長は片膝を突き、正式な騎士としての禮を示した。他の騎士たちも、それに倣う。誰にも、何も言われずに、彼らは一様に見事な儀禮を行う。どれほどこの騎士たちが訓練を重ね、誇りを持っているのか、知識のない私でさえ一目で理解できた。彼らは決して、苦難の旅のの上となっても、騎士であるその誇りを失わなかったのだ。
中年よりし年嵩の行った騎士団長は、顔を上げた。
「お初にお目にかかります、エレーニ姫。我々の中であなたと直接面識があるのはコーリャのみであるため、お迎えに參ることを許されず、皆歯がゆい思いをしておりました。しかし、我々はあなたに忠誠を誓うため、ここまで參ったのです」
——ん? 私に忠誠を誓うため? なぜ?
私でなく、彼らは私の父に忠誠を誓っているはずだ。なのに、ウラノス公國を出て、ここまで來た。ウラノス公國で一何が起きたというのだろうか。
それを聞くためにも、私はまず、彼らをねぎらった。
「遠路はるばる、ご苦労様でした。よければ、ここまでに至る話を聞かせてください」
騎士団長は、深く頷いた。すっと立ち上がり、椅子があるという部屋へ案しようとする。
——まさかまあ、あんな話を聞かされるとは、この時點では私は想像だにしていなかった。
【書籍化】隻眼・隻腕・隻腳の魔術師~森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神と呼ばれていた。僕はただ魔術の探求をしたいだけなのに~
---------- 書籍化決定!第1巻【10月8日(土)】発売! TOブックス公式HP他にて予約受付中です。 詳しくは作者マイページから『活動報告』をご確認下さい。 ---------- 【あらすじ】 剣術や弓術が重要視されるシルベ村に住む主人公エインズは、ただ一人魔法の可能性に心を惹かれていた。しかしシルベ村には魔法に関する豊富な知識や文化がなく、「こんな魔法があったらいいのに」と想像する毎日だった。 そんな中、シルベ村を襲撃される。その時に初めて見た敵の『魔法』は、自らの上に崩れ落ちる瓦礫の中でエインズを魅了し、心を奪った。焼野原にされたシルベ村から、隣のタス村の住民にただ一人の生き殘りとして救い出された。瓦礫から引き上げられたエインズは右腕に左腳を失い、加えて右目も失明してしまっていた。しかし身體欠陥を持ったエインズの興味関心は魔法だけだった。 タス村で2年過ごした時、村である事件が起き魔獣が跋扈する森に入ることとなった。そんな森の中でエインズの知らない魔術的要素を多く含んだ小屋を見つける。事件を無事解決し、小屋で魔術の探求を初めて2000年。魔術の探求に行き詰まり、外の世界に觸れるため森を出ると、魔神として崇められる存在になっていた。そんなことに気づかずエインズは自分の好きなままに外の世界で魔術の探求に勤しむのであった。 2021.12.22現在 月間総合ランキング2位 2021.12.24現在 月間総合ランキング1位
8 111虐げられた奴隷、敵地の天使なお嬢様に拾われる ~奴隷として命令に従っていただけなのに、知らないうちに最強の魔術師になっていたようです~【書籍化決定】
※おかげさまで書籍化決定しました! ありがとうございます! アメツはクラビル伯爵の奴隷として日々を過ごしていた。 主人はアメツに対し、無理難題な命令を下しては、できなければ契約魔術による激痛を與えていた。 そんな激痛から逃れようと、どんな命令でもこなせるようにアメツは魔術の開発に費やしていた。 そんなある日、主人から「隣國のある貴族を暗殺しろ」という命令を下させる。 アメツは忠実に命令をこなそうと屋敷に忍び込み、暗殺対象のティルミを殺そうとした。 けれど、ティルミによってアメツの運命は大きく変わることになる。 「決めた。あなた、私の物になりなさい!」という言葉によって。 その日から、アメツとティルミお嬢様の甘々な生活が始まることになった。
8 128妹と兄、ぷらすあるふぁ
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