《【電子書籍化】神託のせいで修道やめて嫁ぐことになりました〜聡明なる王子様は実のところ超溺してくるお方です〜》第三十八話 レテ神殿騎士団
邸宅に殘されていた居間の椅子に座り、私は騎士団長から説明をけた。とりあえず、私は口を挾まず、話を聞くことにする。
「実は、ウラノス公國の騎士たち全員がここにいます」
——全員。あれ?
「すでにウラノス公國の騎士という分は失われていますが、我々はウラノス公とポリーナ公に想が盡き、國を捨てることとしました。我々は騎士です、仕えるべき相手にこそ忠誠を誓いたい。もちろん一朝一夕にそうなったわけではなく、ウラノス公の今までのやり方すべてを鑑みて、慎重に判斷したことです。ですので、我々はコーリャの話を聞き、エレーニ様ならば我々を騎士として働かせてくれるだろう、そう思い、やってきた次第です」
——騎士が國を捨てるほど、ウラノス公は酷かったのか……。
「我々が出奔したウラノス公國は、ポリーナ公をカイルス宮殿の舞踏會に參加させるために慌ただしくしていたのでしょう、追っ手を差し向けることもありませんでした。もっとも、騎士は全員こちらにいますので、追っ手が來ようとも問題にはならなかったでしょうが」
——舞踏會のほうが騎士たちより優先されたなんて、訳が分からない。
「その後、ウラノス公國がどうなったかは知りません。何分、我々は流浪のとなっておりましたので、一日一日を食い繋ぐことで一杯でした」
——それは……ものすごく大変なことが起きていた、と。
私は々と想があったけど、それを逐一指摘しても仕方がない、と思った。彼らにも分からないことは多いし、ウラノス公國の現狀なんて知ってもしょうがない。今は、私が彼らの仕える主とまれていることを、ほんのし切り替えてもらうよう説得することが優先だ。
「大変、だったのですね。ご苦労様でした、その一言で済ませてはいけませんけど、今はそう言うことしか私にはできません」
「もったいなきお言葉です」
「その、仕える、という話ですが……あなたたちは、これから新しく建てられるレテ神殿の神殿騎士となります」
神殿騎士、という耳慣れない単語に、騎士たちがざわつく。
各神々を祀っている、信仰の中心地たる神殿、その守護を擔い、神や巫たちの外界での活を補佐する存在が神殿騎士だ。ウラノス公國には大きな神殿がなかったから、彼らも神殿騎士という単語には聞き馴染みがないのだろう。そのようなものとなって、どうするのか。彼らの顔には、正直にそんな疑問が張り付いていた。
騎士団長が不安そうに口を開く。私は、何とか彼らを納得させなければ、と張で張り詰めていた。
「失禮、それはエレーニ様に仕えるのではなく?」
「ええと、私はレテ神殿の神長兼巫です。ですから、あなたたちとは」
またしても、騎士たちがざわついた。私はなぜざわつくのかよく分からず、慌てる。どうしよう。
ところが、騎士団長は目を見開き、まっすぐに私を見ていた。
「エレーニ様、今、何と?」
「え?」
「神長、巫と……まさかエレーニ様が? それほどの大役を任されるとは」
あ、そういうことか。
私はこほん、と気持ちをれ替えるために、咳払いをした。
「王子妃である私ならば、聖職者として、ある程度の要職に就くことを許されますから。それで、神殿騎士となる旨、納得していただけますか?」
本當は忘卻の神レテに関して誰も知らず、私が一番知っていることになったから神殿を任されることになった、ということは黙っておこう。知らないほうがいいこともある。
ざわつきは収まり、騎士団長も周囲を見回してから、了承の頷きを私へ返す。
「では、これより我々は……失禮、レテ神とは何の神でしょう?」
「あ、はい。忘卻を司る神です。私が修道時代から仕えている」
「承知しました。我々は、忘卻の神レテとあなたに仕えましょう」
こうして、二百人余りを數える舊ウラノス公國の騎士たちは、無事ステュクス王國レテ神殿騎士団と看板を代えて活していけることとなった。
とはいえ——ウラノス公國は、慘狀とも言っていい有様のようだ。何の未練もないけど、し気になる。
だが、待つしかない。サナシスが私へ伝えてくれる日は、そう遠くはないだろう。
私は數日間、レテ神殿の整備に奔走することとなった。
6/15発売【書籍化】番外編2本完結「わたしと隣の和菓子さま」(舊「和菓子さま 剣士さま」)
「わたしと隣の和菓子さま」は、アルファポリスさま主催、第三回青春小説大賞の読者賞受賞作品「和菓子さま 剣士さま」を改題した作品です。 2022年6月15日(偶然にも6/16の「和菓子の日」の前日)に、KADOKAWA富士見L文庫さまより刊行されました。書籍版は、戀愛風味を足して大幅に加筆修正を行いました。 書籍発行記念で番外編を2本掲載します。 1本目「青い柿、青い心」(3話完結) 2本目「嵐を呼ぶ水無月」(全7話完結) ♢♢♢ 高三でようやく青春することができた慶子さんと和菓子屋の若旦那(?)との未知との遭遇な物語。 物語は三月から始まり、ひと月ごとの読み切りで進んで行きます。 和菓子に魅せられた女の子の目を通して、季節の和菓子(上生菓子)も出てきます。 また、剣道部での様子や、そこでの仲間とのあれこれも展開していきます。 番外編の主人公は、慶子とその周りの人たちです。 ※2021年4月 「前に進む、鈴木學君の三月」(鈴木學) ※2021年5月 「ハザクラ、ハザクラ、桜餅」(柏木伸二郎 慶子父) ※2021年5月 「餡子嫌いの若鮎」(田中那美 學の実母) ※2021年6月 「青い柿 青い心」(呉田充 學と因縁のある剣道部の先輩) ※2021年6月「嵐を呼ぶ水無月」(慶子の大學生編& 學のミニミニ京都レポート)
8 193ファザコン中年刑事とシスコン男子高校生の愉快な非日常:5~海をまたぐ結婚詐欺師!厳島神社が結ぶ、をんな達のえにし~美人ヴァイオリニストの橫顔、その陰翳が隠す衝撃の真実
ファザコン中年刑事とシスコン男子高校生シリーズ6作目です。 兄は……本當は俺のことをどう思っているのだろう? たとえ半分しか血がつながっていなくても、ずっと優しくしてくれた。 その意図に裏なんてないと、ずっと信じてきた。 でも、今はもう真実がわからなくなってきた……。 優しかったはずの異母兄が、本當は自分を疎んじていたことを知った藤江周は、ある日、義姉の口から自分の出生の秘密を知らされることになる。 なんとしてでも義姉を兄と離婚させ、本當に好きな男と結ばれるようにしてやりたい。 そう考えたが、現実は思うようにならない。 そんな折、義姉の実家が経営する溫泉旅館『御柳亭』が廃業の危機に追い込まれていることを知る。なんとか経営を立て直すことができないだろうかと、周が和泉に相談したところ、知り合いの會計士を紹介してくれる。 その會計士は旅館従業員の中に橫領犯がおり、その不正が経営を圧迫していることを突き止めるが、真相に迫るにつれ、命を狙われるようになる。 一方そのころ、宮島の紅葉谷公園で白人男性の他殺體が発見される。被害者は結婚詐欺師として捜査2課がずっと追っていた人物だった。 警察は詐欺被害者の內の誰かが犯人だと考え、捜査本部を設置するが、判明している詐欺被害者達には全員、アリバイがあった。
8 131女顔の僕は異世界でがんばる
主人公はいつもいじめられていた。そして行き過ぎたいじめの果てに“事故”死した。はずだったが、目が覚めると、そこは魔法も魔物も存在する異世界だった。 *以前小説家になろうというサイトで投稿していた小説の改変です。事情があって投稿できなくなっていたので、こちらで連載することとしました。
8 192三人の精霊と俺の契約事情
三人兄妹の末っ子として生まれたアーサーは、魔法使いの家系に生まれたのにも関わらず、魔法が使えない落ちこぼれである。 毎日、馬鹿にされて來たある日、三人のおてんば娘の精霊と出逢う。魔法が使えなくても精霊と契約すれば魔法が使えると教えてもらう。しかしーー後から知らされた條件はとんでもないものだった。 原則一人の人間に対して一人の精霊しか契約出來ないにも関わらず何と不慮の事故により三人同時に契約してしまうアーサー。 おてんば娘三人の精霊リサ、エルザ、シルフィーとご主人様アーサーの成り上がり冒険記録!! *17/12/30に完結致しました。 たくさんのお気に入り登録ありがとうございます。 小説家になろう様でも同名作の続編を継続連載してますのでご愛読宜しくお願いします。
8 107Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜
全校集會で體育館に集まっていた人間達が全員異世界に召喚された!? おいおい冗談はよしてくれよ、俺はまだ、未消化のアニメや未受け取りのグッズを元の世界に殘してきてるんだ! え、魔王を全て倒したら元の世界に返してやる? いいよ、とっととやってやるよ! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 學校関係者全員が勇者召喚されたとある高校。 〜元の世界に殘してきた、あなたの大切な物の數だけ、代わりにチートスキルを付與します〜 神のその言葉通りに全員が、それぞれ本當に大切な所持品の數だけチート能力をもらうことになる。 全員がだいたい平均2〜4くらいしか付與出來なかったのだが、重度のコレクション癖のある速水映士だけは1000ものスキルを付與できることになっていて!? しかも最初に極運を引いたことで、後に付與されたスキルが超再生、超成長、更には全屬性特攻etc,etc……というあからさまに強そうな能力たち! 元の世界ではただのヲタクソ野郎である彼がこの世界では英雄! しかし、彼は英雄の座には興味を一切示さず!? 「魔王なんてサクッと全員倒してやる。俺には、さっさと地球に戻って未消化のアニメを消化するっていう使命が殘ってるからな!」 ギャグ要素強めな情緒不安定ヲタクソ野郎×チート能力の組み合わせによる、俺TUEEEE系異世界ファンタジー! ※小説家になろうにも投稿しています 《幕間》噓つきは○○の始まり、まで改稿済み 2018/3/16 1章完結 2018/6/7 2章完結 2018/6/7 「いや、タイトル詐欺じゃねぇか」と指摘を受けたため改題 第63部分より3章スタート 第2章まで完結済み 2月3日より、小説家になろうにて日刊ランキングに載せていただきました! 現在作者都合と病弱性により更新遅れ気味です。 《番外》は一定のテーマが當てられてます。以下テーマ。 2018バレンタイン→初めてのチョコ作りをするシルティス 2018ホワイトデー→理想の兄妹の図が出來上がるエイシルコンビ 2018エイプリルフール→策士な王女様と騙された勝気少女 ◇◇◇ ご不明な點がございましたらコメントかTwitterのDMにどうぞ 7/9 追記 公開しようと予約した一括投稿のうち最終話のみ、予約ではなく後悔にしてしまっていたので削除しました。 全體的な更新はまだ先になります。
8 156発展途上の異世界に、銃を持って行ったら。
「おめでとう!抽選の結果、君を異世界に送ることになったよ!」 「……抽選の結果って……」 『百鬼(なきり) 樹(いつき)』は高校生―――だった。 ある日、授業中に眠っていると不思議な光に包まれ、目が覚めると……白い空間にいた。 そこで女神を自稱する幼女に會い『異世界を救ってくれないか?』と頼まれる。 女神から『異世界転移特典』として『不思議な銃』をもらい、さらには『無限魔力』というチート能力、挙げ句の果てには『身體能力を底上げ』してまでもらい――― 「そうだな……危険な目には遭いたくないし、気が向いたら異世界を救うか」 ※魔法を使いたがる少女。観光マニアの僕っ娘。中二病の少女。ヤンデレお姫様。異世界から來た少女。ツッコミ女騎士、ドMマーメイドなど、本作品のヒロインはクセが強いです。 ※戦闘パート7割、ヒロインパート3割で作品を進めて行こうと思っています。 ※最近、銃の出番が少なくなっていますが、いつか強化する予定ですので……タイトル詐欺にならないように頑張ります。 ※この作品は、小説家になろうにも投稿しています。
8 116