《【書籍化】捨てられた妃 めでたく離縁が立したので出ていったら、竜國の王太子からの溺が待っていました》25話 まない再會
「ロザリア様、郵便が屆いてます」
「ありがとう! あら、セシリオからだわ。早速返事をくれたのね」
王城でお世話になって一週間後に以前出した手紙の返事が実家から屆いた。竜人の國での手紙のやりとりは國ごとに擔當者がいて、まとめての配送になるためやりとりに時間がかかる。何かあれば本人が転移魔法で移して用事をすませるので、もっぱら番とその家族たちの連絡に使われていた。
それでもお母様かお父様からの返事だとばかり思っていただけに、送り主が弟であることを意外にじる。
「お母様もお父様も忙しいのかしら……?」
もしかしたら案外セシリオが進んで返事を書いてくれたのかも知れない。それはそれで可い弟だから嬉しく思う。ウキウキとお茶の用意をして、手紙を読みはじめた。
だけどすぐにその容に愕然とする。
「噓でしょう……どういうことなの!? どうしてお父様とお母様が投獄されるのよ!!」
セシリオからの手紙ではお父様とお母様は私からの手紙をけ取ったことで、報洩の嫌疑をかけられて投獄されたというのだ。そうだとしたら私が家族を投獄させたも同然だ。
まさかあの人たちがここまでするなんて思わなかった。ただ近況を知らせるための手紙を送っただけで、ありもしない嫌疑をかけて牢屋にれるなんて信じられない。
「どうして……私に関わる者も許せないということなの……?」
もしそうだとしたら。
私が存在しているだけで家族に迷がかかるというなら、その時はどうすればいいのだろう?
私が消えてしまえばいいのだろうか?
そうしたら、誰にも迷がかからない?
鼻の奧がツンとして、熱い雫が込みあげる。折れそうな心をい立たせて揺れる視界を飲み込んだ。
アレスがいたらきっとすぐに抱きしめて「お嬢様、心配いりません」とめてくれただろう。でも今は私が頼んだ素材を必死に集めてくれている。あと數日で戻るかも知れないし、一週間以上かかるかも知れない。
それまでいわれのない罪で捕らえられている両親や、心細い思いをしているセシリオを放っておけない。
「セシリオ……実家に戻らないと……!」
私は心配をかけないように、戻ってくるであろうアレスとお世話をしてくれている方に宛てて書き置きを殘した。そしてできるだけの魔道を持って、転移の魔道を発させる。
もしかしたら、ここにはもう戻って來られないかも知れないという不安は振り払って、魔道のにを委ねた。
* * *
真っ白な魔道のが収まると、懐かしい伯爵家の扉が目の前にあった。転移の魔道は膨大な魔力を使うため、また使えるようにするためには魔石の換が必要になる。
そっと魔道を収納ポーチに戻して、半年ぶりの屋敷へと足を踏みれた。
「ロザリア様!?」
「ブレス、久しぶりね。大変だったでしょう。私のせいなの、迷をかけてごめんなさい」
「違います! そのようなことは決してありません。きっと何か行き違いがあったのでしょう」
「セシリオはどうしているの?」
「はい、ご案いたします」
屋敷の中はいつもより靜かではあったけど、変わらず手れが行き屆いていた。案されたのは父が使っている執務室だ。
ブレスがノックして扉越しに聲をかける。
「セシリオ様、ロザリア様がお戻りです」
その言葉に反応するように、勢いよく扉が開かれた。
嬉しそうで泣きそうなセシリオが姿を見せる。溌剌とした瞳は不安に染まっていて、私がこんな顔にさせたかと思うとギリギリとを締め付けられた。
「姉上……! 戻ってきてくださったんですね!」
「セシリオ、ごめんなさい。私が手紙を出したばかりに……ツラい思いをさせてしまったわね」
「姉上のせいなどではありません! このような冤罪をかけられるのがおかしいのです」
「ところでお父様の執務室で何をしていたの?」
チラリと見える室は書類がひっくり返されて、まるで賊がったあとのように荒らされていた。
「あっ、その……父上と母上の無実を証明するようなものがないかと、ずっと探していたんです」
「そう、それなら私も一緒に探すわ。そのために戻ってきたのだから」
「姉上……ありがとうございます……!」
潤んだ瞳から雫をこぼすまいとセシリオがグッと眉をよせる。不安を隠して最善を盡くす姿はもう立派な貴族だ。大人になった弟の背中に伯爵家の嫡男としての覚悟をじて、なんとも言えない寂しさが込みあげる。
昔はあんなにポロポロ泣いて私に縋ってきたのに……でもセシリオの様子なら、安心して伯爵家を任せられるわ。私がいなくなってもきっと大丈夫ね。
そう思い直してお父様の執務室で作業を進めた。
* * *
途中で一度休憩を挾んで、散らかった書類を片付けながら使えそうなものがないか目を通していく。そろそろ夕食かというタイミングでブレスがやってきた。
「ロザリア様。お客様が……ウィルバート殿下がご來訪されてます」
「えっ!? ウィルバート殿下!?」
「左様でございます。只今は応接室にお通ししております」
「本當にウィルバート殿下?」
「はい、間違いございません」
「もしかしたらソックリさんとか……」
「ではございません」
ウィルバート殿下はスレイド伯爵家は田舎の領地でつまらないと來たことがなかったので、聞き間違いではないかと何度もブレスに尋ねてしまった。
誰かを寄越すかもしれないとは思ったけど、まさか本人が來るとは思っていなくて揺してしまう。しかも私がこの屋敷に戻ってきてからまだ半日程度だ。見張りをつけられていて、転移の魔道を使ってやってきたのだろう。
「私宛なのね。わかったわ、今行きます」
よっぽど私を捕まえたいみたいね。城から追い出すのでは足りなかったということかしら?
「姉上、ボクも同席します」
「いいえ、ダメよ。あなたにまで何かあったら困るもの。幸い私宛だし、ひとりで構わないわ」
「姉上!」
「セシリオ、今的になることは得策ではないわ。こんな時こそ冷靜に事を判斷するのよ」
どんな言いがかりをつけられるかわからないので、セシリオには待機していてもらおう。萬が一私に何かあれば、お父様とお母様のためにけるのはセシリオしかいないのだ。
私は深呼吸してから応接室に向かう。一際高級な扉をノックすると、以前とは別人のような聲が聞こえてきた。
「ロザリアか! ってくれ!」
「お待たせいた……」
「ああっ! 本當にロザリアだ……ロザリアッ……!!」
最後まで言葉を続けることもできず、極まった様子で抱きしめてくるウィルバート殿下に困する。
何? 一何なの? え、私はボニータではないわよ?
そもそも婚約してからだって、私にれたことすらなかったくせに……気持ち悪いわっ!!
全にゾワリと立った鳥を何とか堪えつつ、ウィルバート殿下のをそっと押した。
「ウィルバート殿下、お離しください。今は婚姻関係ではありませんので」
「そんなこと気にせずともよい。ロザリア、ボクは迎えにきたんだ。やり直そう」
「意味がわかりませんわ。私は離縁されて城から去ったのです」
「だからそれは間違いだったのだ。私の伴はロザリアしかいないと気づいたんだ。このまま城に戻ろう」
何を言っているの? あれだけ私を邪険にして都合よく使っておいて、今更やり直そうですって!? なんて勝手な……!!
言い返したくなるのをグッと堪えて、肩に乗っているウィルバート殿下の手を払い除けようとした。でもその手をつかまれて、もう片方の手で顎を持ち上げられる。強制的に視線を絡み合わせたウィルバート殿下は、いやらしい笑みを浮かべて私に告げた。
「ロザリアが王城に戻ってくるなら、君の両親はすぐに釈放する。君は賢いからわかるだろう? さあ、城に戻ろう。ボクのロザリア」
それで私はすべてを悟る。これは王家が仕組んだものだったと。私を王城に連れ戻すために仕組んだ罠だったと。
だけど私はその言葉に逆らえるだけの手札を何も持っていなかった。
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