《【書籍化】萬能スキルの劣等聖 〜用すぎるので貧乏にはなりませんでした》パーティーとしての強さ

「魔法防壁(アークバリア)十重奏(デクテット)――ッ!」

十個同時に展開した魔法防に特化したバリア。

氷の王よりも強力な氷魔法ですが、何とかこれで抑えてみせます。

「ロレンス行くぞ!」

「ああ、僕のしい剣技であの魔族にひと泡吹かせてみせる!」

超極大氷刃魔法(グランアイスニードル)がまだ抑えきれていないにも関わらず、エレインとロレンスは巨大な氷の刃に突っ込んで、ウィリーを目指します。

何という無鉄砲――しかし、飛び出すタイミングとしては大正解かもしれません。

ウィリーはもう一発、超極大魔法を撃とうとしていますから――。

「ちっ! 手が凍ってきやがった!」

「くっ、こんな氷など効くか!」

十層に渡る魔法防壁で威力が衰えたといえども、エレインとロレンスのはどんどん凍りついてしまいます。

しかしながら、二人はそれでも構わずに突進を続けました。

「僕のグランアイスニードルはたとえ威力が多落ちたところで全てを凍らせる。さぁ、これで決めさせてもら――」

「極・雷刀魔法(ライトセイバー)ッ!」

「蕓的剣技・追憶の金木犀――!!」

ここでリルカの施した遅効の治癒魔法が発

エレインとロレンスはウィリーが次の魔法を撃とうとしたタイミングで同時に刃を浴びせます。

「ぬぐっ……! こんな知の欠片もじられない突撃で私がダメージを――!」

「おらぁっ! もういっちょ!」

「次は急所を外さないよ!」

「ちっ! 雑魚の癖に調子に乗るな……!」

腹に十字の切り傷を負ったウィリーは治癒魔法を使う間も與えられずに、追撃をけそうになりましたので、堪らずテレポーテーションでエスケープしました。

一度、間合いを取ってから回復するつもりなのでしょう。

「はぁ、はぁ……、こんな傷くらい簡単に――」

「ぬおおおおおおおっ! アジール流・奧義! 黃泉送りハイキック! 連続正拳突きッッッッ!」

「聖なる刃群(スライサーラッシュ)ッッッ!」

「がはっ――! ど、どこにテレポーテーションをするか読んだ……だと!? パーティーが揃った瞬間に火力が跳ね上がって――!」

エリスにテレパシーでどこにウィリーが回避行を取るのか予測した結果を伝えておいて、ジンと共に移してもらい連続攻撃を加えてもらいました。

パーティーとしての連攜は何度もシミュレーションしています。

私たちは一人で強くなるのではなく全員で強くなると誓ったのですから。

「こ、こうなったら仕方ない。一度、要塞の奧地までテレポーテーションで――。て、テレポーテーション出來ない……!?」

「私があなたの腕を握っているからですよ。テレポーテーションはの魔力の流れをせば簡単に封じられますから――」

エリスとジンが作ってくれたスキを利用して私はウィリーの腕を摑むことに功しました。

私は自らの微弱な魔力を流すことで彼のテレポーテーションを封じることに功したのです。

「なるほど、良い手を使う。ついでに治癒魔法の邪魔もしているというのだから、実に悪辣だ」

「褒め言葉だとけ取っておきましょう」

更に魔力の流れを邪魔することで似た原理の治癒魔法も封じ込めに功します。

つまりウィリーは私に摑まれることで、回復と回避を封じられたのです。

「だが、私の能力は先程見せたとおりだ。手負いでも君よりも強い――。――っ!?」

「東の海の奧の島に不思議な武があります。腕さえ摑めば相手の力を利用してカウンターを仕掛けられる、と。合気と呼ばれるミステリアスな力です……!」

私はウィリーを地面に組伏せました。

彼は中から夥しい量のを流しつつ、息を切らせています。

魔法力の高さや、治癒魔法や空間移魔法の度で気付くことが遅れましたが、ウィリーの力は我々人間と大差ありません。

魔族は人間以上にタフな者が多いですが、彼はその例外に當たるみたいです。

「どうやら私の弱點を見切ったみたいだね……。そもそも、私は裏方なんだ。戦場に駆り出されて迷していたんだよ」

「この要塞を海に沈めなさい。そうすれば、聖の名にかけて貴方の命は見逃しましょう」

私は彼に取引を持ち出しました。

この人が死んでは要塞はエデルジアに落ちてしまいます。

ですから、命と助ける代わりに要塞を捨てることを勧めたのでした。

「ふむ。素敵な話だが、私とて魔王軍の端くれだ。命惜しさに要塞を落としたのであれば、魔王軍に居場所を無くしてしまうだろう」

「思ったよりも忠誠心があるのですね……」

「だが死ぬのも免だ。だから、君たちだけは葬って逃げることにするよ――」

ウィリーが降伏を拒否したかと思えば、急に床が大きく揺れ始め、壁が崩れてきました。

こ、これは何をされたのでしょう……。

「あと五分でこの要塞は木っ端微塵に発する。生憎、私が魔力を解放したせいでコントロールを失ってしまい荒野の上空まで來てしまったが、エデルジアは落ちずとも厄介な大聖のパーティーを消せるのなら戦果と言えるだろう」

ウィリーがそう言い放つと、今度は天井が崩れて、瓦礫が落ちてきました。

こ、これは本當に要塞を自させるつもり――。

「さっさと逃げ道を探すことをオススメする。尤も、こんな要塞奧地から逃げるなどないだろうがね」

「――っ!?」

頭上に瓦礫が大量に落ちてきた瞬間に私はウィリーの腕を思わず離してしまいます。

彼はその瞬間を見逃さずに、私から距離を取り――姿を消してしまいました。

空中要塞を退けることには功しましたが、ここから早く出しませんと、命の危険が……。

崩れゆく空中要塞からの出劇が始まりました――。

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