《【書籍化】萬能スキルの劣等聖 〜用すぎるので貧乏にはなりませんでした》裏切りと絶

「ルドルフ殿下、何の冗談でしょうか? 恥をかかせたお話にも心當たりがありません!」

私は頭が真っ白になりそうだったが、必死に訴えた。本當に恨みを買うようなことをした記憶がないからだ。

「――君は本當に頭が悪いんだね。前に會ったときのことも忘れるぐらいなんだから!」

ルドルフの表はまるで悪魔のように見える。いつもの端正な顔立ちがこうも変質するなんて思ってもみなかった。

前に會ったとき? わからない。何をしたって言うの?

「まさか、僕のいを斷るとは思わなかったよ」

ルドルフは自らのシャツをナイフで切り裂きにも赤いをかけた。

これは、このままだと……。私は自分の置かれている狀況を理解した。

そして、ルドルフが何に恨みを持っているのかも……。

「そんな、それだけの為に……。私はそういった行為は伴となった者としかしませんと申し上げただけじゃないですか……」

「そんなことだとぉ? 僕はその次の日に自慢するつもりだったんだ。友人の貴族や王族たちにな。回數や、君の癖、の隅々まで詳細に伝えるつもりでね。君は顔とだけはいいから、みんな天才と言われる剣姫の話題には興味津々だったよ。それなのにっ……。失敗を笑われた僕の気持ちはわからんだろ? 君には死よりも恐ろしい苦痛を與えてやるよ! この僕のいを斷ったんだからな!」

なっ、なんて破廉恥な……。まるで、珍しいを自慢するような、つまらない見栄の為に私はこのような……。

間もなく、ルドルフの従者を先頭に王宮の兵士たちがこの部屋にってくる。

「こっ殺される、早くアイツを取り押さえてくれぇぇぇぇ!」

ルドルフは大聲でんだ。やはり彼の目的は……。

部屋のなかにはから赤いを垂れ流して、苦しそうにを抑えているルドルフと、私の足元に落ちていた真っ赤なナイフ、そして突然の狀況に茫然としていた私。

そう、私はルドルフに嵌められたのだ。

「殿下ぁぁぁぁ! これは……、どういうことだ? エルザ様が殿下に狼藉を!」

「なっ、聖様が……なんと言うことを……」

「そっそんな……。聖様が、聖様が……。信じられない!?」

従者はルドルフを抱きかかえながら私を非難して、兵士たちも驚いた顔をしながら私に侮蔑を込めた視線を送る。

「違います、これは殿下が……」

私は必死に潔白を主張しましたが徒労に終わりました。執事のアモスまでも必死に取り押さえに參加して、すぐに私は拘束されたのでした。

おそらく、今日この格好でこの部屋にれさせることからが彼の計畫だったのでしょう。

わざわざ、私が鍛錬場に赴く時間まで調べ上げて……。執念のようなモノをじます。

當然、私は憲兵隊に柄を拘束され、監獄の中にれられてしまいました。間違いなく死罪だと思います。

――しかし、生き殘ることが出來たのなら私は絶対に彼を許さない。

私の中で復讐の炎が燃え上がっていました。

「ったく、皇太子殿下暗殺未遂犯なんて死罪に決まってるはずだろ? 何でこんな回りくどいことを?」

「殿下の溫らしいぜぇ。お優しいことだねぇ」

「おい、著いたぞ。《剣姫》の大罪人さんよぉ。ほらっ、剣だけは置いといてやる。まっ、拘束が解けりゃ生き殘れるかもなぁ。ははっ、もしくは魔に犯されるか、殺されるか……」

私は後ろ手を鉄の錠で拘束された狀態で馬車から降ろされました。傍らには鋼の剣が置かれて。

「とっとと帰るぞ。聖水の効き目が切れちまったらオレたちも危ねぇ」

聖水で魔避けのコーティングがしてある馬車は私を置いてすぐに見えなくなりました。

私に下された判決は魔の森への追放。

魔の森というのは、この場所のことで巨大な魔の巣です。

ルドルフの希により、私は死罪を免れてこの森への追放処分となりました。

公爵家の娘へのせめてもの溫、慈悲深い皇太子殿下ということで談のように言われているらしいですが、彼の最後の言い草から察するに私が魔に酷たらしく殺されることをんだのでしょう。

晝間だというのに夜のように暗い。大きな木々が生い茂っているこの森から早速魔たちの息遣いが聞こえてきました。

――ガサッと音が聞こえる。

最初に私に立ちふさがったのは二本足で立っている狼のような顔をした魔、本で見たことがあります。あの魔はウルフアサシンです。

私が人生で初めて魔に遭遇した瞬間でした。

「なるほど、鎧なしですと牙や爪で大ダメージは確実ですね。しかし……」

私の服裝は薄い布の服のみ。その上両手は不自由という狀況でした。

「疾いですが、その程度のきなら――」

ウルフアサシンの爪による攻撃を見切り、私は両腕を拘束している錠に爪が當たるように回避しました。

――そしてガキンッと鈍い金屬音が靜かな森でこだまする。

鉄で出來た錠とウルフアサシンの爪がぶつかり衝撃音が鳴り響いたのである。

さすがに一撃で破壊とはいかないか。

ガキンッ、ガキンッと何度も何度も私は気よく、素早い爪の攻撃を後ろ手の錠にヒットさせる作業に沒頭しました。

もちろん百発百中とは行かずに、腕や肩は既ににまみれています。

このまま、出死してしまうのか? 気が遠くなる時間が過ぎました。

「グルルルルッ」

――バキンッと乾いた音がなった瞬間に私は歓喜する。

破裂音と共に鉄の錠が砕け散ったのだ。

やっと忌まわしい拘束が解けました。私は悪趣味なけで放置された鋼の剣を握ります。

「――斬りたい。全部斬ってしまいたい」

斬る。全てを斬る。何もかも斬る。目の前のものを、全部。私の絶と恨み、今まで知らなかったこの黒いを全て乗せて。

――私はドス黒いに全てを委ね、剣を振り切った。

「グルルルル……。グルッ?」

ウルフアサシンは首だけになったことに遅れて気がつく。

「《殺す》というのは、こんな覚でしたか。意外と何もじませんね。ふふっ」

私は不思議な高揚にとらわれて、この暗い森を敢えて殺気を丸出しにして歩き出しました。

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