《【書籍化】萬能スキルの劣等聖 〜用すぎるので貧乏にはなりませんでした》死の淵にて
大魔の森は果てしなく広大。私は既に何十もの魔を屠り、剣は既に刃こぼれと返りに塗れて鈍に近くなっていました。
前世のときと変わらなかった銀髪も、白いも全て魔のがべっとり付いて紅に染まります。
それでもなお、私は亡霊のように獲を探しさまよっていました。
「――斬る度にわかる。力が増していく覚……。ようやく勘を取り戻しました……」
魔を一葬るたびに、強さを取り戻しました。剣を振る速度も重さも、勘の良さも剣姫と呼ばれていたあの頃に近付きます――。
――最強の剣士と呼ばれていたあの頃の領域に……。
◇
木々と生い茂った草は風で揺れ、日は相変わらず遮斷され闇がこの場を支配しました。
この場所は無數の息づかいをじる。おそらく魔の群生地帯にでもったのでしょう。
「――いいですよ、何でも。私もいずれ、地獄(そこ)に行きますから……」
私は真っ赤に染まった鋼の剣を構えました――。
「ギィィィィ」
「クギャァァァ」
巨大な猿型の魔、ビッグエイプの群れに囲まれます。數は30くらいです。
2メートルを超える巨に加えて、鋭い爪、素早いき……殺傷能力は今までの魔とは比較にならないでしょう。
「……確かに疾いですが、躱せない程ではありません」
私は一斉に襲いかかるビッグエイプの攻撃を僅かな作で避けきりました。
これが前世からの私の特技。敵の攻撃がどの位置にくるのか、全てがの線になって示されるのです。
意識するよりも早く……私は安全地帯にくだけ。それで完璧に攻撃を回避できます。
「回避さえ出來れば、後は急所に一撃を叩き込むのみ――」
私は回避の瞬間にビッグエイプの頭を狙って鋼の剣を突き刺します。
ぐしゃりという、気の悪いが私に相手の死を伝えました。
狙うのは頭です。
一撃で……最小限のきで……。
命を狩り取る――。
私は狂ったように、魔の頭を斬り裂き、首を落とし、心臓を貫きました。
――これは八つ當たり。
そう私は果たせぬ復讐の代償行為に耽っているだけです。なんて醜いのでしょう……。
先日まで慈に溢れた聖を演じていたのに、やはりこれが私の本なのかもしれません。
しかし、意識が続く限り殺戮(ソレ)は止められません――。
◇
気付いたとき、私は頭が潰れたビッグエイプの死骸の山の上でうずくまっていました。
を流しすぎましたか……。いつ傷つけられたのかわからないが、中からが流れています。
いくら安全地帯がわかっても、きが付いてこれなくなれば意味がありません。
がどんどん冷たくなります――。
確実な死が私に近づく。結局、あの男の目論見通りですね……。
私はもうすぐ死ぬでしょう――。
「ギャァァァオォォォォス!」
大きな雄びが聞こえます。私は虛ろな目で聲の方向を見ました。
目の前には10メートルを軽く超える大きさのビッグエイプが立っています。
ああ、この森の主ですか。私は直でそれを理解しました。怒っていますね――。
當たり前です。勝手に侵して大殺を行ったのですから。
――もはや、そんなことはどうでもいい。
私は死をけれました。この大きな怪に殺されるのも致し方ないでしょう。
ビッグエイプの吐息が顔に當たります。喰われるのか――。
私は目を瞑りました――。
“天よ嘶け、全てを滅せよ……! 闇の雷!”
魔法の詠唱が聞こえます。そう思って反的に目を開いた瞬間――。
目の前で黒い落雷が発生し、ビッグエイプに直撃しました。
その威力は凄まじく、一瞬にして10メートル以上のビッグエイプが骨すらも殘らず灰になってしまったのです。
者は只者ではないです。前世でもこれほどの魔の使い手は見たことがありませんでした。
暗い上に目が霞んでよく見えませんが、木々の奧からこちらに誰かが歩いてきました。
――まさか、この人が者?
「さっきまでの戦いぶりみてたわよ、あなた中々やるじゃない」
私の目の前に、腰に手を當てて立っていたのは、金髪で赤い目をした可らしいでした。
し変わった點は耳が尖っていることです。まさか魔族でしょうか?
年齢は十歳前後に見えます。カーキのローブにを包み、自信満々の表で私を見ていました。
こんなに小さなの子が先程の魔を? 私はなからず驚愕しました。
「このまま死ぬのは惜しいわね、助けたげるわ」
金髪のは獨り言をつぶやくと、私に顔を近づけてきました。一何を?
「んっ……、んんっ……」
金髪のは私のを奪いました。
えっええーっ!
らかなと甘な香りに私の脳は掻き回されてしまう。
――気持ちいい。恍惚とした覚が焼き付きます。
気付いたとき、呪いのチョーカーが砕け散っていました。
「傷を治すのは簡単よ、でも厄介な呪いをかけられていたでしょ」
金髪のは満足そうな顔をしました。
治療と同時に解呪……? 聖の私でもそれは不可能なのですが……。
「その目だけは治せなかったわ。あなた、自分は1番不幸ですっていう目をしてるわね」
金髪のは私の目をじっと見ます。
「――あなたには分かりませんよ。私はもう……」
助けてなどしくなかった。死をけれていたのです。もう、死んでしまいたかった――。
「そうね、そんなもん分かりたくもないわ」
金髪のはそれでも私から目を逸らしません。
「なんで、そんな目で私を見るのですか? もうほっといてください……!」
私は生まれて初めて泣きました。涙が溢れて止まりません。
なんで、こんなにが追いつかないのでしょう。
「いいわ。あたしがあなたの目を変えてあげる。あなた、この魔王アリシアについてきなさい! 最っ高の景を見せたげるわ!」
金髪のは私の肩を抱いて、再び顔を近づけます。この子が魔王?
「そう、魔王よ。あたしは、世界を手にれるの! 謝なさい! あなたには特等席を用意してあげるんだからっ」
アリシアは私に壯大な野を語りました。
魔王軍の噂は聞いています。他の大陸ですが次々と國を滅ぼして、世界中の冒険者ギルドや軍隊と死闘を繰り広げるようになった、と。
まさかその魔王が彼のようなだったとは……。
その小さなからは信じられないくらいの大きな力と理想、そして何よりも気高い神がじられます。
彼は本當に世界を摑む。私は自然にそれを信じました。
眩しかった。暗い森に太がやって來た如く。
いや、太が來たのは私の心の中です――。
さっきまで死にたいと本気で思っていました。しかし今は生にしがみつきたい……。
こののために生きたい――。
そう、私は彼に魅せられてしまったのです――。
「――全ての力をアリシア様のために、盡くします」
私はこの小さな魔王に忠誠を誓いました。
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