《【書籍化】萬能スキルの劣等聖 〜用すぎるので貧乏にはなりませんでした》限界を超えて

「こんなところよ、あたしが世界を獲ろうと考えた理由はね。確かに驕っているのかもしれないわ。でも、ほっとけないのよ。理不盡に追い詰められてる人を、何の努力もせずに権力を振りかざしている連中を! あたしはみんなに言っているわ、リーダーに相応しくないとじたら力ずくでも構わないから、あたしを下ろしなさいってね。青臭いかもしれないけど、自分に噓をつけないわ」

アリシア様はしだけ恥ずかしそうな顔をされて、自分の理想を語りました。

この方に直で仕えたいと思って正解です。本心からそう思います――。

「それで、あなたに頼みたいことがあるんだけど……」

「は、はい」

アリシア様が頼みたいこと……?

私は立ち上がり背筋をばしました。

「この部屋に本棚があるでしょ? 実は剣関係の本も沢山あるのよ。でも、あたしは魔法専門だし、剣士のグレンは我流にこだわっているから誰も活かせてないの。大昔に活躍した魔族の剣士たちの奧義について書かれているんだけど、あなたに読んでもらいたいのよ」

アリシア様は本棚を指さしながら、そんなことを仰せになります。

魔族の剣士の奧義ですか……。まったく見當もつきません……。

「魔族の剣士は魔力と剣を融合した剣技、いわゆる魔剣という技を奧義として使っていたの。あの本に載っているのはその全てよ……。もちろん修得しろとまでは言わないけど、あなたがもっと強くなるつもりなら、読んでおいて損はないはず――」

アリシア様は私に魔剣とやらを使えるようになってしいみたいです。

確かに今世では聖になっていますから、魔力も並の人間以上にありました。

確かに魔剣とやらを習得することは出來るかもしれません。

「あなた、いいセンスしてるわよ。どういうわけか、剣も魔法も魔族の基準からしても一流みたいだから。これは、あなたにしか頼めないことなの。エルザ……」

アリシア様は私を褒めて下さりました。これだけで何でもしてしまいたくなってしまいます。

魔剣を覚えるのにあたっては、前世の記憶と今世の経験がどちらも役に立ちそうですね……。

「畏まりました、アリシア様! 絶対に修得してみせます!」

「ありがとう。――じゃあ、今日はもう遅いし寢ましょ」

「はっはい。お休みなさい、アリシア様」

私はそう返事をしたが、眠れる気がしません。

々あった、死にかけて、救われて、主君と友人が出來て、泣いて、魔法を覚えて……。

そして目の前には、無防備な寢顔をさらしている可憐な金髪の魔王さまがいらっしゃる。

「これは、想像以上に……、悶えてしまいます……」

抱き締めたい、そんなこと許されない、でもっ……。

生殺し狀態とはこのことです。

「むにゃむにゃ……」

くっ、見ちゃだめです。堪えられなくなってしまいます。

私は必死になって目を閉じました。

心臓の音がこれほど響いたことはないかもしれません。

しかし、疲れていたのでしょうか? いつのまにか私も眠りの中にいたようです。

気がつけば朝になり、私の顔がアリシア様と數センチ程まで接近しており、びだしそうになりましたから。

「ふわぁ、おはよう。エルザ、よく眠れた?」

アリシア様は目をりながら私に朝の挨拶をされました。

本當はあまり眠れなかったのですが、心配されると困りますので笑顔で頷きます。

「ええ、とても良く眠れました」

「そっ、よかったわ。今日は々とあたしも忙しくってね。あなたに付きっきりって訳にはいかないのよ。とはいえ、何か任せられる仕事もないし――」

「あのっ、アリシア様! 私、アリシア様のために強くなりたいです! 魔剣を一刻も早く覚えたいのですが……」

私は希を伝えてみました。アリシア様はし驚かれているように見えます。

「――あたしのために強く? ふふっ、嬉しいわ。じゃあ、お願いしようかしら。この城の裏は荒野が広がっているだけだから好きに特訓すると良いわ。本も自由に持って行っちゃって」

アリシアはニコリと微笑んで私を見ました。

期待してくださっている。それだけで私は強くなれる気がします。

「剣の稽古――。アリシア様からバスタードソードを頂きましたから、先ずは準備運から……」

私は剣を下段に構えます。そして――。

仮想の敵を想定して剣を振り、新しい武の手応えを確認します。

この剣……リーチは鋼の剣よりも長いのに、軽いですね。もしや、これはかなりの業なのでは?

「へぇ、いいきしてんじゃん。流石、アリシアが見込んだ剣士だ――」

「――っ!?」

突如として、グレンが剣を抜いて私に斬り掛かってきました。私は咄嗟にグレンの剣をけます。

「なっなんですか? いきなり」

「ああ、オメーの特訓に付き合えって、アリシアに頼まれてな。ほれっ、こんなじの方が臨場あるだろっ」

グレンはニヤリと笑って、流れるようなきで私に連撃を繰り出します。

グレンという男のきは私よりも早く重いです。前世は最強の剣士でしたが、飽くまでも人間の中でという話でした。魔族とはここまでパワーがあるのですね……。

アリシア様がこの方を信頼するわけです。

「ほう、オレの剣の軌道が見えているみてぇだな。大したもんだ。じゃあ、ギアを上げるぜ!」

なっ――!? さっきよりもずっと鋭い上に、剣の軌道が見えなくなってしまいました……。

この予想不可能な自由なきが、彼の真骨頂なのかもしれません。

くっ、今の私では剣技でこの方(グレン)には勝てないです。

しかし、私はアリシア様に頼りにされたい。グレンよりも、誰よりも――。

昨日と今朝、しだけ読んだだけですが――。

魔剣を使ってみます――。

私は中の力が剣に吸い寄せられるような覚にとらわれました。

そして、それと同時にバスタードソードは黒い炎を纏い、爛々と燃えています。

「ほう、それがアリシアの言っていた魔族の剣の奧義か――。人間が使うたぁ、驚きだけどな」

「いいえ、これはあくまでも前段階。奧義はこれからです――“魔剣……魔炎無雙”!」

私が剣を振ると、黒い炎の刃が不規則なきでグレンを襲いました。

「なっ、マジかよっ! くっ……」

グレンは躱しきれずに防姿勢をとりました。

今ですっ――。

「――っ!?」

グレンは咄嗟に私の剣を剣でけましたが、折れてしまいました。というよりも溶けてしまったの方が適切な表現かもしれません。

しかし、私が力加減を間違ったがために、グレンのをそのまま斬り裂いてしまいます――。

目の前にはから青いを噴出するグレンの姿がありました……。

わ、私は何ということを――。

「おーっ、すげぇ技だなぁ。オレぁ驚いたぜ。こりゃあ、あっという間に力関係逆転しちまいそうだ」

「えっ? あの、私は――」

「ああ、オレを斬っちまったことを気にしてんのか? んなこと、気にすんなよ。これくらいすぐに治せるんだ。そもそも、オレが仕掛けたんだからよぉ、オメーは正しいきをしてたぜ。1つ目の魔剣修得おめでとさん」

グレンは彼を傷つけた張本人の優しく私に話しかけてくれます。なんて懐の深い方なのでしょう。

魔剣というのは恐ろしい力です。心からそう思います。

しかし、私は戦慄しながらも魔剣修得こそ、私がアリシア様のために今できる1番重大なことのようにじていました。

この日から私の魔剣の特訓に夢中になります。

そして、ドンドン奧義を修得することに功しました。

そのたびに自分が人間の限界を超えた力を手にれたことを実します。

そう、私は既に最強の剣士と呼ばれていた前世を遙かに超えるほどの力をに著けていました――。

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