《【電子書籍化】婚約破棄のため冷酷騎士に決闘を挑んでみましたが、溺されるとか誰か予想できました?》13 タイムの香りと刺繍糸。
✳︎ ✳︎ ✳︎
今日もいつものカフェテリアで、ヘレナとお茶をしている。落ち著いた雰囲気の店に、鮮やかな赤の髪はそこだけ空間を切り取ったみたいに良く目立つ。
大人びてスタイルもいい、しい友人のこと、思わず誰かに自慢したくなってしまう。しかも、しキツく見える外見とは裏腹に、ものすごく格がいいのだ。
隠騎士のシーク様は、私の後ろの席に控えている。今日は、騎士服ではなく普段著で、きちんとカフェテリアに馴染んでいる。
さすが隠。
ただし、普段著姿があまりにかっこいいため、周囲の視線を獨占してしまい、隠活には向かないようだ。店員さんが、通り過ぎるたびに、チラチラと視線を向けているのを、私は見逃さなかった。
「それで、結局は、婚約破棄できなかったの」
「出來なかったというか……」
「……応援してあげたいけど、住む世界が違う人と一緒にいて幸せになれるのか心配だわ」
住む世界が違う。
同じ貴族でも、大きな派閥を持つランディルド侯爵家と、騎士といっても隊長になるのがやっとの父しかいないフローリア伯爵家では、天と地くらいの差がある。
「うん……。でも、もうしそばにいたいと思って」
まるで、溶けかけた氷みたいな瞳が忘れられない。あんなに嫌われていると思っていたのに、急に態度が変わった理由も知りたい。
……せめて、ハンカチを渡すまでは。
「それにしても眠そうね。また、職にを出しているの?」
「違うけど、似たようなものかな」
思わず出てしまったあくび。
隠したつもりだったけど、ヘレナにはお見通しだ。
昨日の夕方、高価な裁道と刺繍糸、そしてどう見ても最高級のハンカチが大量に屆けられた。
この枚數、全部使うつもりなのだろうか?
疑問に思いながらも、嬉しくなってしまって一晩中刺繍に勵んでしまったのだ。
刺繍道の中には、どう見ても最高級の絹でできたリボンもたくさんっていた。
その中の一つを、今日はにつけている。
淡い淡い氷みたいな水のリボン。
このを選んだことに他意はない。決して。
「それにしても、その桃のドレス、良く似合っているわ。婚約者様の貢かしら?」
「貢なんて……。まあ、何も返せていないからそう言われても仕方ないけれど」
そう、あれから毎日いただいたドレスを著るようにしている。シンプルで、優しいのドレスは、著心地まで、とても良い。
こんなに良くしてもらっても、何もできない。せめてハンカチを渡そうと、今も頭の中で図案を考えている。
ハンカチなら、いつもにつけてもらえるもの。
でも、一枚だと大事に仕舞い込まれてしまいそうだから、たくさん作ってから渡すことにしよう。
テーブルクロスに刺繍して褒めてもらったミモザの花と、ワンピースに刺繍していたかすみ草のハンカチは今朝完した。でも、流石に向けのデザインだったかもしれない。
ランディルド侯爵家を表す、タイムを刺繍しようか。タイムの香り……ほのかに甘くてピリッとしていて、まるで、ゼフィー様みたいだもの。
「完全にする乙ね……。リアステアは、好きなものを見つけると直進してしまうから。暴走しないといいけど」
友人がついたため息に、私は気がつかなかった。
最後までご覧いただきありがとうございました。
『☆☆☆☆☆』からの評価やブクマいただけるとうれしいです。
《書籍化&コミカライズ》神を【神様ガチャ】で生み出し放題 ~実家を追放されたので、領主として気ままに辺境スローライフします~
KADOKAWAの『電撃の新文蕓』より書籍化されました。2巻が2022年5月17日に刊行予定です!コミカライズも決定しました。 この世界では、18歳になると誰もが創造神から【スキル】を與えられる。 僕は王宮テイマー、オースティン伯爵家の次期當主として期待されていた。だが、與えられたのは【神様ガチャ】という100萬ゴールドを課金しないとモンスターを召喚できない外れスキルだった。 「アルト、お前のような外れスキル持ちのクズは、我が家には必要ない。追放だ!」 「ヒャッハー! オレっちのスキル【ドラゴン・テイマー】の方が、よっぽど跡取りにふさわしいぜ」 僕は父さんと弟に口汚く罵られて、辺境の土地に追放された。 僕は全財産をかけてガチャを回したが、召喚されたのは、女神だと名乗る殘念な美少女ルディアだった。 最初はがっかりした僕だったが、ルディアは農作物を豊かに実らせる豊穣の力を持っていた。 さらに、ルディアから毎日與えられるログインボーナスで、僕は神々や神獣を召喚することができた。彼らの力を継承して、僕は次々に神がかったスキルを獲得する。 そして、辺境を王都よりも豊かな世界一の領地へと発展させていく。 ◇ 一方でアルトを追放したオースティン伯爵家には破滅が待ち受けていた。 アルトを追放したことで、王宮のモンスターたちが管理できなくなって、王家からの信頼はガタ落ち。 アルトの弟はドラゴンのテイムに失敗。冒険者ギルドとも揉め事を起こして社會的信用を失っていく…… やがては王宮のモンスターが暴れ出して、大慘事を起こすのだった。 舊タイトル「神を【神様ガチャ】で生み出し放題~「魔物の召喚もできない無能は辺境でも開拓してろ!」と実家を追放されたので、領主として気ままに辺境スローライフします。え、僕にひれ伏しているキミらは神様だったのか?」 第3章完結! 最高順位:日間ハイファンタジー2位 週間ハイファンタジー3位 月間ハイファンタジー5位
8 105転生して進化したら最強になって無雙します
主人公はある日突然意識を失い、目が覚めるとそこは真っ白な空間だった、そこでとある神にスキルを貰い異世界へ転生することに そして貰ったスキルで最強になって無雙する 一応Twitterやってるので見てみてね、つぶやきはほぼないけど…… @eruna_astr ね?
8 113蒼空の守護
蒼総諸島が先々帝により統一されてから百十余年、宮家間の軍拡競爭、対立がありながらも「蒼の國」は戦いのない平穏な日々が続いていた。危ういバランスの中で保たれてきた平和の歴史は、1隻の船の出現によって大きく動き始める。激動の時代の中を生きる、1人の姫の數奇な人生を描く長編大河小説。
8 141名探偵の推理日記〜雪女の殺人〜
松本圭介はある殺人事件を捜査するため、雪の降り積もる山の中にあるおしゃれで小さな別荘に來ていた。俺が事件を捜査していく中で被害者の友人だという女 性が衝撃的な事件の真相を語り始める。彼女の言うことを信じていいのか?犯人の正體とは一體何なのか? 毎日1分で読めてしまう超短編推理小説です。時間がない方でも1分だけはゆっくり自分が探偵になったつもりで読んでみてください!!!!初投稿なので暖かい目で見守ってくださると幸いです。 〜登場人物〜 松本圭介(俺) 松本亜美(主人公の妻) 松本美穂(主人公の娘) 小林祐希(刑事) 大野美里(被害者) 秋本香澄(被害者の友人) 雨宮陽子(被害者の友人) 指原美優(被害者の友人)
8 125俺、覇王になりました。
主人公の転道 覇道は全てに置いて卓越した才能をもっていた。とある中3の夏に寢ていると転生神によって転生させられてしまう。_これは主人公の覇道が最強になるお話です。_
8 70世界がゲーム仕様になりました
『突然ですが、世界をゲーム仕様にしました』 何の前觸れもなく世界中に突然知らされた。 何を言っているかさっぱり分からなかったが、どういうことかすぐに知る事になった。 普通に高校生活を送るはずだったのに、どうしてこんなことになるんだよ!? 學校では、そんな聲が嫌という程聞こえる。 外では、ゲームでモンスターや化け物と呼ばれる今まで存在しなかった仮想の生物が徘徊している。 やがてそれぞれのステータスが知らされ、特殊能力を持つ者、著しくステータスが低い者、逆に高い者。 ゲームらしく、勇者と呼ばれる者も存在するようになった。 そして、 ステータス=その人の価値。 そんな法則が成り立つような世界になる。 これは、そんな世界で何の特殊能力も持たない普通の高校生が大切な人と懸命に生きていく物語。 ※更新不定期です。
8 192