《【書籍化】天才錬金師は気ままに旅する~世界最高の元宮廷錬金師はポーション技の衰退した未來に目覚め、無自覚に人助けをしていたら、いつの間にか聖さま扱いされていた件》32.アブクゼニーの驚愕

【★☆★読者の皆様へのお知らせ★☆★】

あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。

最後まで読んでくださると嬉しいです。

セイが従業員たちに指導するとなってから、しばらくたったある日。

一人の中年男が森の中を歩いていた。

アブクゼニー。かつて工房の現場責任者だった男だ。

「ちくしょぉお……わしにこんなことしておいて、ただではすまんぞぉ~!」

彼は先日、突然訪れた旅の商人セイから、暴行をけたのだ。

現場を見たいというから見せただけなのに急に憤り、その配下の奴隷に命令して、強烈な拳の一撃を食らわせてきたのである。

森の外まで吹っ飛んだアブクゼニーは重傷を負った。通りかかった冒険者に保護され、近くの町の治療院で手當をけ、今に至る。

一緒に多額の金がふってきたのだが、そんなものはどうでもいい。きちんと著服したが、どうでもいい。

「あの……のくせにわしにたてつきよってぇ!」

アブクゼニーはを下に見ているところがあった。やられたのが相當悔しかったのか、意趣返しするため、この工房へと舞い戻ってきた次第。

「ぶち殺してやる……おぼえてろよぉ!」

彼は魔道師ギルド蠱毒の食家の工房へと戻ってきた。

「おい! わしが帰ってきたぞ! 誰かで迎えんか!?」

すると近くを通りかかった従業員が、アブクゼニーを見てぎょっとする。

「あ、アブクゼニー……さん? なんで……?」

「なんでとはどういうことだ? ここはわしの工房だぞ!」

「え、い、今は……セイ様が現場責任者ですが……」

「なにぃい! あの小娘が責任者だとぉ!」

アブクゼニーは憤る。勝手に工房を乗っ取られたことが、許せなかったのだ。

「おいあのはどこに居る! 會わせろ!」

「セイ様は森の浄化作業に向かわれて、お晝前にならないと帰ってきません……」

「ふんっ! しかたない、では待つか。ところで……おい貴様! 魔道はどうなってる!」

そう、ここ數日、現場責任者であるアブクゼニーが居なかったのだ。

さぞ、現場は混していることだろう。ひょっとしたら、魔道が期日までに納品できずにいるかもいれない。いい野草に違いない。だって自分がいなかったんだから。

「あ、それでしたら……」

「どうせ間に合わなかったんだろう! このグズどもめ!」

従業員が不愉快そうに顔をしかめる。

そんな態度が、アブクゼニーは気にらなかった。

「何だその顔は! わしが居なければ仕事もできんゴミのくせに! わしがいないから期日までに商品が作れんかったのだぞ! わしの信用が落ちたら……」

「作りました」

「どうする……え? つ、作った?」

「はい、期日通り魔道を作し、きちんと納品しました」

そんなばかな……とアブクゼニーは従業員の言葉を信じられなかった。

だって一番偉い、責任者の自分がいなかったのだ。現場が回るはずがない。

「セイ様がいらしたので。あの方が全部ひとりで作ってくださりました。また、あの人の指導のおかげで、もう來月分までの魔道をすべて作終えています」

「う、噓をつくな!」

「噓ではありません。見てみますか?」

「當然だ! 案しろ! どーせ、酷い有様なのだろうがなぁ……!」

だが……。

「な、なんだこれは……!?」

アブクゼニーは作業場の中を見て、驚愕の表を浮かべる。

今までの作業場とは、まるで別の工房のようになっていたからだ。

以前は掃除も整理整頓もされていなかったが、今はきちんと片付けがなされ、掃除が行き屆いている。

薄暗かった部屋の中には日差しがさしこんでいる。

また、作業員たちの數がなかった。以前の三分の一の人數しか居ない。しかも、働いてるものたちはみな笑顔だ。

従業員達の目の下にあったクマはなく、談笑しながら、休憩を取っている。

「なんだこれは……殘りの作業員どもはどうした!?」

「今日は非番ですよ。現在はシフトをくみ、代制で作業をしております」

「なっ!? そんなことしたら納品に間に合わなくなるではないか!?」

「問題ありません。見てください」

休憩を取っていた作業員のひとりが、椅子の前に座る。

魔力結晶を手に取って、片手を結晶かざす。

するとゆっくりとだが結晶が変形しだし、やがて球形……魔核へとなる。

「なっ!? なんだその技はぁああああああああああああああああ!?」

魔核を作るのには普通、かなりの集中力と時間を要する。結晶を割って、ヤスリで削って丸くする……という手間がかかるはず。

だが今作業員はそれらをすべてカットし、ほぼ一瞬で魔核を作していた。驚くほど短時間で(それでもセイには及ばないが)。

剣を加工して、魔核をはめこんで、納品予定の斬鉄付與の剣が完していた。

「し、しんじられん……なんだこれは……夢でも見ているのか……」

アブクゼニーは大きなショックをけていた。

従業員達が使っていた技は未知のもの。そして、自分ができない高度なテクニックを習得していたのだ。ただの作業員が、である。

しかも周りを見渡すとさっきの彼だけでなく、全員が同じテクを使った作業をしていた。

これなら、ない人數で納品に間に合わせることも可能だろう。

「いったい……どうなってる……? 何がこの工房に起きたというのだ……」

「だから、セイ様のおかげですよ」

そこに現れたのはテリー。セイが最初に出會った従業員である。

彼は今、現場副監督として就任している。

「セイ……だと?」

「ええ、この改革はすべてセイ様お一人で実行なさったことです」

「あ、ありえん……貴様らグズは、わしがいなければなにもできんゴミの集まりだったじゃないか……」

はぁ……とテリーはため息をつく。

その態度からはアブクゼニーに対するリスペクトは全くじられない。

「ゴミはてめえのほうだろ」

「なんだと……?」

「だってそうだろ。自分のことばっかで、下の奴らの気持ち何も考えない。けれどセイ様は違う。おれたちのことを気遣ってくれる。いつも、おれたち現場で働く従業員の気持ちを汲んで、技指導や、改革を行ってくれた」

「ぐぬ……」

びしっ、とテリーが指を突きつける。

「技力、指導力……すべての點においてあんたは、セイ様に劣ってるんだよ」

……なにも、言い返せなかった。

現場責任者をれ替えた途端、従業員達のスキルが向上したことも、生産力が上がったのは事実。

アブクゼニーが無能だったという何よりの証拠。

「出て行けよ。あんたみたいな無能のクズの居場所なんて、ここにはもうないんだよ!」

「う、ぐ、ち、くしょぉおおお! 言いたいこと言いやがって!」

アブクゼニーは立ち上がると、テリーに毆りかかろうとする。

だが彼は強化ポーションを取り出して飲むと、アブクゼニーにアッパーを噛ます。

ばごぉんん! という大きな音とともにアブクゼニーが吹っ飛ぶ。

壁に激突し、ぐったりと倒れる。

「出てけ、ここはセイ様の工房だ。次無斷でってきたら、ただではすまさないからな!」

テリーを含めて、現場の人間達全員から敵意のまなざしを向けられる。

圧倒的な疎外を覚えた。

「うぐぐぅう……ううう……ぢくしょぉおお……」

アブクゼニーは悔し涙をうかべながら、とぼとぼと去って行ったのだった。

【★皆さまへ 大切なお願いがあります】

現在、今作はランキング4位です。

1位とのポイント差はあと「1688pt」。

後もうしで、1位になれるところまでこれました。

ただ差がなかなかまらない狀態です、、、

そこで、しでも、

「面白そう!」

「続きが気になる!」

「毎日更新がんばれ!」

と思っていただけましたら、

広告の下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして評価してくださると執筆の勵みになります!

    人が読んでいる<【書籍化】天才錬金術師は気ままに旅する~世界最高の元宮廷錬金術師はポーション技術の衰退した未來に目覚め、無自覚に人助けをしていたら、いつの間にか聖女さま扱いされていた件>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください