《【書籍化&コミカライズ2本】異世界帰りのアラフォーリーマン、17歳の頃に戻って無雙する》3章:神ってにまみれたヤツ多いよな(10)
「白鳥家の人間に見つかりそうになった場合は迷わず逃げてほしい」という、事前に聞いていた由依の希通り離したオレだが、さすがに気になって電話をしてみた。
どうやら、敷地にやってきたヴァリアントを由依が倒したということで、収まったそうだ。
もちろん、トールの存在は隠し、道場がふっとんだのは自のせいということにしてだが。
監視カメラの映像も事前の仕込み通り、上手くごまかせていたらしい。
今回はこれで通ったが、なにか疑をかけられた可能はあるし、調査は始まっているかもしれない。
いずれ白鳥家と接した際の出方も、由依と打ち合わせておいた方がよいだろう。
そしてトールを倒した翌日、當然ながら加古川と保健委員は登校してこなかった。
1日休んだ程度で騒ぎになるはずもない。
だが、いつもなら誰が加古川のお見舞いに行くか騒いでいた子達も靜かなものだ。
このまま靜かに忘れ去られていくのだろうか。
家庭でどうなっているかも気になるが、首を突っ込んだところでどうにもならないな……。
イヤなヤツだったが、殘された家族のことを思うと、すこしが痛む。
家族も悲しみが続かないのが救いと言えば救いか。
由依によると、人間を喰ったヴァリアントと戦った者は、喰われた人間に関する記憶が殘りやすいという。
因果律との接點が生まれるからだとかなんとか。
だがいずれ、この記憶も消えてしまうのだろう。
いや、前の人生ではどうだった?
ブラック企業時代、高校の頃を思い出すことがたまにあった。
その時、あの保健委員のことも頭をよぎったのではなかったか?
イヤな子がいたなと。
オレが過去に戻ったことで、死ぬ人間が変わった?
人の死を喜ぶべきではないのだろう。
だがこの事実は、未來は変わることを示している。
因果がどうのという概念に縛られた世界であれば、運命は変えられないという懸念があった。
だが、人の生き死には変えられる。
つまり、由依が助かる道があるということだ。
ならば話は簡単だ。
オレがいれば由依を助けられる。
もちろんただ生きるだけではなく、幸せだと思える人生を歩んでしい。
だが、近な人を必ず救うと決めることは同時に、世界の全てを救うのを諦めることでもある。
世界を救うには、自分個人にとって大切なものを諦めることに繋がると、オレはよく知っているのだ。
世界は一度救った。
ならば、今度の人生では、わがままを通すことを許してほしい。
ここまでお読み頂きありがとうございます。
ご想もたくさんありがとうございます。
一部にしかお返事できていませんが、目は通させて頂いています。
設定や展開に関しては、參考にさせて頂いたり、これから出てくるからまっててね、的なものありお返事できなかったり……。
続きをぜひお待ちください!
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