《【書籍化】「お前を追放する」追放されたのは俺ではなく無口な魔法でした【コミカライズ】》警備をしてみた
「テンタクルス焼きの待ちはこちらが最後尾になる」
炎天下の中、水著に著替えた俺は列の整理を行っていた。
燦燦と太が降り注ぎ、がじりじりと焼けていく。浜辺には大量の観客が訪れては、名の『テンタクルス焼』を食べようと大挙して押しかけてきた。
周囲では、同じく依頼をけたであろう冒険者たちが水著姿で案をしている。
警備という名目なのだが、観地でいかにもな連中が武を持って警戒をしていては景観を損ねるということで、このスタイルで警備をすることが條件だった。
途中、すれ違うたびに同じ警備のたちが聲を掛けてくる。容は「あっちは問題なし」「向こうで注意が必要な人がいた」などと、警備に関するものも多いのだが、祭りの雰囲気に浮かれているのか、仕事が終わった後の呑みのいもあったりする。
炎天下の中での作業もそうだが、毎年この仕事で人同士になる連中も出るらしく、獨の冒険者は張り切っている様子だった。
俺はそれらのを振り切りながら、ひたすら警備の仕事をこなしていく。
周囲から味しそうな匂いがして、ときおりお姉さんからかき氷や串焼きを勧められていただいているが、酒だけは我慢している。
そんな風に、観客とも仲良くしていると……。
おそろしい怒気に満ちた魔力が発生しているのを確認した。
視線を向けると、そこには地元のマスコットキャラクターの『テンタ君』の著ぐるみがいた。
全部で十本ある手がうごめいており、実に気持ち悪い造りとなっているのだが、信じがたいことに子供に人気があるらしい。
あの著ぐるみは魔力に反応するらしく、著るのは魔法使いだと決まっている。
子どもたちにどつかれたりしながら、プラカードを掲げ、視線だけは決してこちらからそらそうとしない。
この炎天下の中、著ぐるみを著せられ魔力作までさせられるよりはましだったなと考える。
結局、俺たちの警備擔當時間が過ぎる夕方まで、その著ぐるみは俺を睨み続けるのだった。
「ぷはっ! 汗掻いた後の酒は味いなっ!」
あれから、仕事を終え、汗を流した俺たちは宿舎を出て屋臺で食事をしている。
祭りも夜の部へと突しており、酒で酔っ払う大人や、遊戯系の屋臺を楽しむ子どもを連れた家族連れなどで賑わいをみせていた。
「最初は渋っていたが、警備の後でこうして屋臺を巡れるのも悪くないな?」
酔っ払いや迷を掛ける客がいた場合は働かなければならないが、その代わり警備の仕事をしている者が分証を見せれば屋臺の料理が半額となる。
晝間は酒が呑めなかったからか、テンタクルス焼きが実に味しくじた。
先程から俺が話し掛けているのに、目の前の人は一心不に食事をしている。どうやらかなり機嫌が悪いようだ。
やがて、彼はエールを含み、料理を流し込むと『ガリオンばかりずるいです』とでも言いたそうに俺を睨みつけてきた。
「仕方ないだろう、著ぐるみをかす魔法使いは必要だったし、俺だって警備の仕事をしていただけだ」
そう、あの『テンタ君』の中にっていたのはテレサだった。
前日の夜、翌日からの警備擔當を決めることになったのだが、誰もが嫌がる仕事が『テンタ君』だった。
俺はその仕事をテレサに割り振ったのだ。
『私があの著ぐるみの中で、何度子どもに蹴られたかおわかりですか? 途中頭が沸騰しそうになり、危うく手を兇に変えてガリオンに襲い掛かろうとして思いとどまりました』
既に沸騰していたのではないかと思ったのだが、思いとどまってくれた當たりテレサにも理が殘っていたようだ。
「だから言っただろ、後悔するってさ……」
きつい仕事を押し付けたのは俺だが、そもそも依頼を強行したのはテレサ。自業自得なのだ。
彼は押し黙るとしばらく考え、
『明日は変わってください』
そんな要を伝えてきた。
恨めしそうな視線が俺に注がれ続ける。普段から俺はテレサに甘い部分があるので、このような目を向けられると非常に弱いのだが……。
「駄目だ。代はできない」
ショックをけたのか、ハンマーでぶん毆られたかのような顔をするテレサ。それだけ俺の返事が意外だったのだろう。
「俺はこの依頼をける時に止めた。それを破ったんだから自己責任としてちゃんと仕事をまっとうするんだ」
ここで甘やかすのは本人のためにならないし、今のこいつを野放しにするのはありえない。
『ほ、本當に、このまま働かないといけないのですか?』
手をばし、腕にれる。心が揺れそうになるが、すべてはテレサのためなのだ。
「ああ、依頼が終わるまでこのままだ」
表を変えることなく、俺が告げると、彼は手を引き……。
『わかりました。もういいです』
席を立つと、一人で宿舎へと帰っていくのだった。
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