《【書籍化】「お前を追放する」追放されたのは俺ではなく無口な魔法でした【コミカライズ】》いに乗ってみた
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二日目となり、テレサは警備の仕事のため浜辺を歩いていた。
昨日とは違って著ぐるみを著ておらず、『こちらが最後尾です』の看板を掲げながら歩き回っている。
周囲の人間は、一人の例外もなくテレサを見ると魂を抜かれたように立ち盡くしてしまう。
自分が周りから注目されていることに気付くテレサだが、看板が目立つからだろうと見當をつけると、持ち場へと著いた。
(ガリオンが代わってくれないのなら構わないです。自分で渉しましたから)
先日。ガリオンに意地悪をされ「ずっと著ぐるみ姿でいろ」と言われたテレサは、宿舎に戻ると魔法を使える人間を探し代してもらえないか強迫(こうしょう)した。
最初は斷っていた魔法使いも、テレサの熱意に圧された形で頷くと、著ぐるみをきて擔當場所へと向かった。
(ガリオンは一人だけずるいです。他の冒険者や観客ともべったりして)
自分が炎天下の中、子どもに蹴られてて耐えている間、ガリオンは若いから食糧を食べさせてもらい、他の冒険者とも和気あいあいと楽しそうに話をしていた。
その姿をみるたび、いらいらしてしまい。ガリオンを著ぐるみに閉じ込めてしまえば、このような想いをしなくてすむのに、と考えるようになった。
これまで、一緒に仕事をする上で、他の人間が絡んだことがなかったので、ガリオンが自分以外の冒険者とどう接するのか知らなかったテレサだが、思いの他社的な面を見せられて、がチクリと痛むのをじたのだ。
(私だってやればできるんです)
テレサは『こちらが最後尾です』という看板を掲げながら客の整理をする。
ガリオンができていたのだから自分にも可能だと考えたのだが……。
「わぁお。君可いね?」
(えっ?)
テレサが振り返ると、そこには三人の若い男が立っていた。
彼らは厭らしい視線をテレサに向けると、下心を隠そうともしない。
「毎年ここの祭りに顔出してるけど、君みたいなレベルの高い娘は初めてみるよ」
「ほんとほんと」
「水著も気合がってるしな」
著ぐるみを著ない冒険者は水著で案をするということで、適當な水著を選んだテレサだったが、祭りを盛り上げるため、の魅力を引き出す水著が貸し出されていた。
ただでさえ、良いデザインをしている水著をテレサが著ればどうなるか?
その答えはこれまで浜辺を歩いていた時にすれ違った観客の態度をみればあきらかだった。
突然、話し掛けられてテレサはどうしてよいかわからなくなった。
男たちは観客なので無下にするわけにもいかず、かといって聲が出せないので自分の意志を伝える手段もない。
「よかったら、俺たちと飲みに行こうぜ」
「仕事なんていいからさ。あっちで話そうぜ」
敵ならば魔法でぶっ飛ばせばいいが、ここでトラブルを起こすと祭りが臺無しになってしまう。
次々とまくし立てられては自分の意見を聞くことなく話を進めていく。
テレサがどうしてよいかわからずに震えていると、
「はい。決まりっと! それじゃあ、俺たちが泊っている宿で呑みなおすってことで行こうか!」
決して逃がすまいと、男たちの手がびてきてテレサにれそうになると……。
――ドドドドドドドドドドドドドドドッ――
砂煙が上がり、遠くから誰かが走ってきた。
「ちょ、ちょっと待った!!」
「なんだ、あんたは?」
「はぁはぁはぁはぁ……」
炎天下の中、足場の悪い砂浜を全力ダッシュしてきたガリオンは、即座に息を整えると立ち上がる。
「な、なんだよ……」
対峙してみると、全が引き締まっているガリオンに比べ男たちの貧相さが目立つ。
自分たちが渦中におり、目立っていることに気付くと、急に居心地が悪くなった。それでも、テレサのことは諦めきれないのか、男たちはガリオンに食ってかかった。
「な、なんだよ? お、俺たちは客だぞ。まさか暴力振るうつもりじゃないよな?」
テレサとて普段の狀況なら男たちを撃退して終わりだった。
だが、今は街の依頼をけてこの場に立っているので、無礙にすることができなかったのだ。
立場が変わっても同じこと。今のガリオンではこの場を収めることはできない。テレサはそう考えていると……。
「はっ? 何を急に手なんて握って……」
「お前さんたち、実にいいやつだなぁ?」
「「「はっ?」」」
ガリオンが満面の笑みを浮かべる。
「ただで酒を振舞ってくれるってんだろ? あまりにも味しい話だったからあっちから走ってきちまったぞ」
「なっ、別にあんたに言ったわけじゃあ……」
ガリオンの想定外の態度に男たちは混していると、
「安心しろって。俺は男もいける口だからな、楽しませてやるからよぉ」
「「ひっ!」」
殘る二人が両手を自分のへと向ける。
「というわけで、テレサ。お前さんは著ぐるみに戻れ。俺はこいつらと呑みに行くから列の整理も頼んだぞ」
「ちょ……待てっ! 俺たちは……アーーーーッ!」
男たちの悲鳴を聞きながら、テレサは突然の事態にポカーンと口を開くのだった。
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