《テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記》33 一等級冒険者、<オールレンジ>のディラン
明後日までの三日間は『OVL大賞5』に応募するため駆け込み投稿(苦笑)として、一日二回更新します。
更新時間は6:00と18:00です。
「お前ら、後で覚えていろよ……」
怒り心頭なおじいちゃんをデュランさんと二人で、まあまあとなだめる。
さすがは歴戦の冒険者なだけあって、本気で怖い。さっきの威圧よりよっぽど逃げ出したいじです。
「デュランさん!付き合いが長いんだったら、ちゃんと超えちゃいけない一線は守ってくださいよ!」
「ちょっ!?リュカリュカ君だって生き生きとやっていたじゃないか!私にだけ責任を押し付けるのはどうかと思うよ!」
「お前らなあ……。はあ……。もういい。なんだか馬鹿らしくなってきた」
小聲で口論するボクとデュランさんの姿に、おじいちゃんが大きなため息を吐く。しかしその目は雄弁に「茶番は終わりだ」と語っていた。
それを見て小さく肩を竦める。まあ、これでボクが冒険者協會に隔意を持っている訳ではないという証明にはなっただろう。
「さてと……。それじゃあ、ディラン。後は任せたよ。主に戦力的な意味でね」
「待て、どこに行く?」
「騎士団の詰所にまで。任務中の騎士にいきなり冒険者が絡んだのだから、その監督責任がある私が頭を下げる必要があるだろう」
「……キレてお前まで牢屋にぶち込まれないようにしろよ」
「はっはっは。若い頃じゃあるまいし、そんな無茶はしないよ」
つまり若い頃はやったっていうことだよね?それにエルフって壽命が長いということは、老化も遅いんじゃないの?よって、まだ若い?
……うん、胃にを開けたくはないからこれ以上は考えないようにしよう。
「それにしても、ディランがおじいちゃんと呼ばれて喜ぶとはねえ……。君も丸くなったということかな?」
「ちょっと待て!誰が喜んでいるだと!?」
「おや?訂正させないから、てっきりそうなんだとばかりに思っていたのだが?……おっと、あまり時間が空くと向こうの心証が悪くなってしまう。それでは私はこれで失禮するよ」
おじいちゃんの文句なんて右から左というじで意に介さずにそう言うと、デュランさんは飄々とした態度のまま出て行ってしまったのだった。
「リュカリュカぁ……」
「そんな恨みがましい目で見られても困りますよ。第一、ボクはまだおじいちゃんからちゃんとした自己紹介をけていないんですけど?」
「!!……そういえば、そうだったな。すまん。なんだか今さらな気もするが名乗っておこう。俺の名はディラン。一等級冒険者で職業は<オールレンジ>だ」
「全距離程範囲(オールレンジ)?」
「複數の武を扱う上位職<マルチウェポン>のさらに派生先だな。近・中・遠とどの距離からでも攻撃できるように理攻撃の技能を鍛えたらこうなった」
「凄いじゃないですか、それ!」
「そうでもねえ。俺には一つの武を極められるだけの才能がなかったからな。急場しのぎの苦の策だ」
そうかな?確かに一點集中のスペシャリストの方が育は楽かもしれないけれど、その分対応できる幅は狹まってしまうと思う。
キャラクター作の時にアウラロウラさんが理と魔法、両方の攻撃手段を持つように勧めてくれたのも、そうした攻撃手段がなくなってしまうことを防止するためだった。
「急場しのぎだろうと苦の策だろうと、それを使いこなして一等級冒険者?とかになっているんだから、やっぱり立派だと思います」
特にある程度は一人で活する必要があるボクたちプレイヤーからすれば、多方面に才能があるゼネラリストというのは理想の型の一つだといえる。
理攻撃のみではあってもそれを現しているのだから、十分に尊敬に値する人だと思う。
「そうか……。ありがとな」
じたままのことを素直に告げると、おじいちゃん、もといディランさんはポツリとそうらしたのだった。
それにしても上位職は細分化していくとは聞いていたけど、その総數はかなりの數となっているのかもしれない。
「ところでおじいちゃん、一等級冒険者って何?」
ふと疑問になっていたことを尋ねると、その場にいた人全員がズッコケたりよろめいたりしていた。
某お笑い劇団並みの反応だとかに思ったのは緒です。
「リュカリュカ!お前冒険者になろうっていうのに、等級のことも知らないのか!?というか、俺の呼び方は結局そのままか!?」
「あ、なんだか呼び慣れちゃって。「ディランさん」の方が良いならそう呼ぶよ、「おじいちゃん」?」
「……お前の好きな呼び方で構わん」
はい、おじいちゃん呼びの許可を頂きましたー。
実のところ、デュランさんと似ているから間違えそうだったんだよね。
「それで等級のことなんだが……、これは実際に冒険者登録をしてからの方が分かり易いか。誰か登録の準備をしてくれ」
「は、はい!ただいま!」
お姉さんの一人が慌てて奧へと引っ込んでいく。
それにしてもこの世界でも付とか顔になる場所にいるのは人なお姉さんたちなんだね。もっともこちらの場合、そのうちの何人かはケモ耳アンド尾があるセリアンスロープのお姉さんだったけど。
ちなみに冒険者の人たちも含めた冒険者協會のホール――カウンター越しの職員さんたちのいる場所も込みだから、一階部分という方が妥當かも?――にいる人のおよそ七割がヒューマンだ。
そして二割がセリアンスロープで殘りの一割がドワーフとピグミーといったところ。
デュランさんが出ていってしまったのでエルフは一人もいない。種族ぐるみの引きこもりは伊達ではないということです。
「お待たせしました。こちらにどうぞ」
「俺も付き添わせてもらうぞ」
「はい。ディラン様もどうぞこちらへ」
おじいちゃん、様付けで呼ばれてる!?
「どうした?」
「ボクも「ディラン様」って呼んだ方が良い?」
「……なんだか寒気がしたからそのままでいい」
ひどっ!?そりゃあ、わざとらしくびるような聲音で言ったけど、その返しはないんじゃないかな!?
おにょれ、今度からはお小遣いをせびるようなじで「おじいちゃん」と呼んでやるぅ。
「ほら、早く行くぞ」
「はーい」
そしてお姉さんに案されて向かったのは、先ほどボクがエッ君と話し合いをしたのと同じような小部屋だった。
違うのは中央に置かれたテーブルの上に水晶玉っぽいものが設置された怪しい機械が置かれていることだろうか。
「『冒険者カード製造機』だな。いつ見ても胡散臭い外見だぜ」
おじいちゃんの臺詞に、心では同じように思っていたのだろうお姉さんが困った顔で笑みを浮かべていた。
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