《星の海で遊ばせて》エピローグ ~星の海で遊ばせて~
文化祭が終わり、十月三十一日は、ハロウィン演奏會があった。吹奏楽部、管弦楽部、ピアノ部、コーラス部が、放課後の育館を貸し切って行う、二時間のコンサートイベントである。生徒の他にも、教員や、近隣住民も聴きに來る。文化祭で誕生したカップルの初デートとしても良いイベントであるが、本來は、文化祭のステージ発表を観られなかった裏方のために開催されたのが始まりである。
育館り口には演奏會の付があり、ドラキュラや魔に扮したコーラス部、吹奏楽部の生徒が演奏會のパンフレットを配っていた。表には星空の背景に『starry skies』という筆記の表題、裏には演奏曲が書かれている。
しかし、天気は生憎の曇り。
ぱらぱらと、小雨が降り始めてきていた。
パンフレットをけ取った柚子は、「今日星、見えないね」と、うきうきした口調で言った。柚子にとっては、星が見えようが、見えまいがどちらでも構わなかった。この小雨が土砂降りに変わって、嵐になったとしても、もう充分幸せだった。隣には詩乃がいて、柚子の目は、詩乃の橫顔を見つめていた。詩乃はパンフレットの裏面を見て、こっそり笑った。
「たぶん、見えると思うよ」
詩乃はそう言うと、柚子の前にパンフレットを持ち上げて、演奏される曲のうちの一つを指さした。柚子はその曲の題名を小さく口に出し、その歌詞を口ずさんだ。有名な英語の曲だから、最初の數センテンスはが覚えている。そうしてから柚子は、あっ、と、思い出すことがあって聲を上げた。柚子は、じっと、詩乃を見上げた。
詩乃は、突然柚子に、熱っぽい目で見られて驚き、ドキリとしてしまった。
観覧席に隣り合って座り、柚子は、詩乃に囁くように訊ねた。
「――じゃあ、月までお願いね」
「え?」
詩乃は聞き返し、それから、その意味を直し、顔を真っ赤にしてしまった。育館の電気が落ち、柚子はらかい笑顔を詩乃の肩に乗せた。ステージがぱっと明るくなり、最初の演奏が始まった。
〈あとがき〉
たくさんの作品の中から、この作品を見つけて、そして読んでいただきありがとうございます。キーワードに「ラブコメ」とっているのにコメディー要素がっていないじゃないかと思った皆さん、本當に申し訳ありません。ちょっとでも読んで貰いたいという出來心でつい……。またもう一つ謝らなければならないことは、1部分ごとの區切り方についてです。読みにくい部分、多々あったと思います。これについても、すみませんでした。そして誤字字――報告の方、本當にありがとうございました。下読みの甘さを反省しております。そしてまた、ブックマークや評価についても、お禮を申し上げます。そもそもポイントで上位を取ろう、という路線では活してはいないのですが、それでもやっぱり、評価をもらえると嬉しいものです。
さて、詩乃と柚子のお話ですが、當初は10萬文字の予定でした。ところが話が進むと、二人がどんどん行を起こしてしまったので、これはもうしょうがないと、現在の16萬文字の文字數となってしまいました。ただ、ラブコメっぽい展開を期待した方にはすみません、そういう展開は、ありませんでした。
詩乃は孤獨を苦に思わない文蕓年、柚子は可がられて育った優しくて人なの子――ではあるのですが、じゃあ珍しいかと言うと、どの學校にも一人くらいはいる年・だと思います。舞臺は私立茶ノ原高校という、ちょっと獨特な校風の學校ですが、全國的に珍しいかと言えば、特に私立校なんかは、それぞれに特徴があるので、茶ノ原高校が別段珍しいわけでもないと思います。その珍しくない中で起こるちょっとした出會い、切っ掛けの連鎖というものの中にこそ「魔法」があるのではないかと、そういう著想がこの話の原點にあります。
とは言いつつ、「なろう」に投稿してるのに魔法も出てこなければ、魔が出てくるわけでもない。我ながら、どうしてこの作品をファンタジーが売りの「なろう」に投稿したのだろうかと、ぽつっと思ったりします。『ネット小説大賞九』を取るぞ! と気合をれた作品ではありますが、応募する賞を間違えた可能に、今更ながら怯えています。
実は、詩乃と柚子の話はまだ続きがあったりします。本編中、回収されていない伏線なんかがあるのはそのためです。その続きのお話を、皆さんの前にお披目できる日が來ると良いのですが、果たして発表できるかどうか、まだ私自わからないでいます(-_-;)
そういうわけで一先ずこのお話はこれで「完結」としますが、想等々、隨時け付けております。この作品を通して何か、皆さまの心の琴線にれるものがあれば、嬉しく思います。
ご読、ありがとうございました。
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