《家から逃げ出したい私が、うっかり憧れの大魔法使い様を買ってしまったら》獨占(コミックス2巻発売日記念)

本日、尊すぎる神コミックス2巻が発売です!

詳しくはあとがきににて( ; ᴗ ; )‬

SSは學生時代、四章おわりくらいの二人です。

「わあ、ジゼル、上手に焼けましたね」

「うん! とっても味しそう!」

今日の薬草學の授業では、様々な効果を持つ魔草を混ぜたクッキーを作る調理実習を行っている。とても上手くでき、一緒の班だったリネも褒めてくれた。

冷ました後に袋にれていると、周りのの子達がやけに騒がしいことに気が付く。

「みんな楽しそうだけど、何かあったのかな?」

「ふふ、誰に渡すか悩んでいるみたいですよ」

「えっ」

どうやらみんなは好きな相手や気になる相手に渡すらしく。話をして盛り上がっているようだった。

3時のおやつとして自分で食べるつもりだったわたしは、しだけ驚いてしまう。リネはリンちゃんのことでお世話になっている、寮母さんに渡すつもりらしい。

「じゃあ、わたしはエルに渡そうかな」

「ぜひ! きっと喜ばれますよ」

好きな相手、お世話になっている相手というと、わたしはやはりエルしか思いつかない。

エルも別の班で同じ授業をけていたけれど、もう既に全ての作業を終えて教室に戻ったようだった。

喜んでくれるといいなと思いながらクッキーを手に教室に戻れば、すぐにエルの姿を見つけて駆け寄る。

「エル! もうクッキーって食べた?」

「食ってない。あの草、昔から嫌いだし」

「そっかあ……」

エルは好き嫌いが多いし、仕方ない。自分で食べようと思いながら、ふと気になったことを尋ねてみる。

「あれ、エルのクッキーはどうしたの?」

しいって言われて、知らん子にやった」

「……え」

ふわあと欠をしながらエルがそう言った瞬間、心の中にもやっとした気持ちが広がったのが分かった。

「ま、捨てるよりはマシ──って、なんだよその顔」

エルは眉を顰め、わたしの顔を覗き込むと「風船みたいな顔してんじゃん」なんて言う。

理由は分からないものの、もやもやとした気持ちと、むかむかする苛立ちがの中に広がっていく。

「……ジゼル?」

「エ、エルなんてもう知らない!」

「は? なんだよいきなり」

何故か泣きたくなって、わたしはそれだけ言うとクッキーを片手に教室を飛び出した。

◇◇◇

「……わたし、どうしちゃったんだろう」

とぼとぼと廊下を歩きながら、行き場のなくなってしまったクッキーを見つめる。

どうして、エルにあんなことを言ってしまったのか、すごく嫌な気持ちになってしまったのかも分からない。

後でエルにちゃんと謝ろう、そう決めた時だった。

「あの、ハートフィールドさん」

「はい?」

不意に名前を呼ばれ顔を上げると、何度か挨拶をされたことがある男子生徒がいた。その視線は、わたしの手の中のクッキーに向けられている。

「もし良かったら、それ──」

「おい、クソバカ」

「わっ!?」

そして彼が再び口を開いた瞬間、肩を摑まれてぐいと後ろに引き寄せられた。

そこにはしだけ息を切らしたエルがいて、驚いてしまう。突然あんなことを言ってしまったわたしを、追いかけてきてくれたのだろうか。

「行くぞ」

「あ、ご、ごめんなさい!」

そのままエルに腕を引かれ、廊下を歩き出す。聲を掛けてもエルは振り向いてくれず、ひたすら歩いていく。

そうしてついたのは、空き教室だった。

「何やってんの、お前」

わたしに向き直るなり、明らかに不機嫌な顔をしたエルはそう言ってのける。

「な、なにって……」

「それ、よこせ」

「えっ? だって、嫌いだって」

「うるさい」

エルはわたしが持っていたクッキーを引ったくるように取ると、そのまま食べ始めた。

そしてあっという間に全て平らげ、青い顔をして「悪くなかった」と今にも消えりそうな聲で呟く。

先ほども嫌いだと言っていたし、どう見ても無理をしているようで心配になる。大きな溜め息を吐いたエルが何を考えているのか、さっぱり分からない。

「どうして……」

「お前、ほんと俺のこと好きだよな」

「えっ?」

「俺が他のやつにやって、妬いたんだろ」

そう言われて、ようやく自分がやきもちを焼いていたことに気が付いた。

エルが自分以外のの子にクッキーをあげてしまったことが寂しくて、悲しくて、拗ねてしまったのだ。

「こんなまずい草りのクッキーひとつで拗ねるとか、どれだけ俺のこと好きなんだよ」

「……ご、ごめんね。自分でもびっくりするくらい、エルのことが大好きみたい」

正直な気持ちを告げると、エルはアイスブルーの瞳を瞬いた後、再び盛大な溜め息を吐いた。

「ほんと、何なのお前。俺が恥ずかしくなるんだけど」

エルはわたしの頬を摘むと、ふっと口元を緩める。

「まあ、お前がどうしてもって言うなら二度としない」

「あ、ありがとう……?」

「その代わりお前は他の奴と喋んなよ」

「ええっ」

なんだか全く程度が違う気がするけれど、さっきまでのもやもやは一瞬で吹き飛んでいく。

思わずほっとしていると、エルのしい弧を描いていた。機嫌の良い時の顔だと、わたしは知っている。

「エル、すごく嬉しそうだね」

「……別に」

「ふふ、大好き」

「あっそ」

もう見んなと後頭部を摑まれ、ぼふりとエルの元に顔を埋める形になり、大好きな溫に包まれる。

些細なことでもやきもちを妬いてしまうくらい、改めてエルが大好きだと実しながら、わたしはとても幸せな気持ちに包まれていた。

鷹來タラ先生による家逃げコミックス2巻が紙・電子ともに本日発売です!

短髪になったかっこよすぎるエルと、すぎるかわいいジゼルの緑カバーが目印です♪

2巻は魔法學園に通い始めた二人が、様々なイベントを通して心を育てていくところです。

育祭のあのシーンや、クライドVSエルのあのシーンも超絶麗な作畫で見ることができ、私はあまりのときめきで泣きました( ; ᴗ ; )‬( ; ᴗ ; )‬神です

信じられないくらいにエルがかっこいいです!!!

家逃げをここまで読んでくださっている皆さまは絶対絶対間違いなく最高に楽しんでいただけると思うので、ぜひご購よろしくお願いします!!!!!!!!!!

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