《ファザコン中年刑事とシスコン男子高校生の愉快な非日常:5~海をまたぐ結婚詐欺師!厳島神社が結ぶ、をんな達のえにし~人ヴァイオリニストの橫顔、その翳が隠す衝撃の真実》約束

「……プリンだよ」

「そうだったね。じゃあフルネームはプリン・アラ・モードかな?」

不意に周は背中と両肩に溫もりをじた。そして柑橘系の爽やかな匂い。和泉だ。

「寒いでしょ? 周君」

振り返ると、和泉が笑っている。

「なんで、ここがわかったの……?」

「そこはほら、僕も刑事だからさ」

というかもはや『和泉だから』で論理はり立つのではないだろうか。

これ著たらいいよ、と彼は周の背中に自分のジャケットをかけてくれる。

溫かかった。

車に乗ろう? と言われて、周は素直に従った。

公園のすぐ傍に、見慣れた和泉の車が停まっている。

周は腕に三貓を抱いて、助手席に乗り込んだ。

はやはり暖かい。

「なんか久しぶりだね、いつ以來だっけ? 周君、試験期間中だったし、僕も何かとバタバタしてて。會えて嬉しいよ」

はい、と和泉は溫かい缶コーヒーを差し出してくれる。

周は禮を言ってけ取り、しばらくそのぬくもりに浸ることにした。

確かに會って話をするのは久しぶりかもしれない。

仕事から、捜査から離れると和泉は途端に優しくなる。

「ところで、今日はどうしたの? 久しぶりに咲さんとケンカした?」

周は苦笑するしかなかった。

「いろいろ、びっくりするような話ばっかり聞かされて、パニックになって……気がついたらここにいた」

「……もしかして、出生のとか?」

整った綺麗な顔立ちが間近に迫る。

周は思わず目を逸らした。

「……そんなとこ、かな。ここんとこあまりにもいろいろありすぎて、なんか……」

和泉は前を向き直し、靜かな口調で言う。

咲さんが、周君の実のお姉さんだったってこと知った?」

驚いた。

「なんで……?」

「ごめんね、実はいろいろ聞いているんだ。君や咲さんに関する本當のことをね」

「誰から……?」

「石岡孝太さんから」

姉の馴染みであり、旅館の板前だった優しい人。

あの事件の後、回復した彼はどこでどうしているのかを周は知らない。

「孝太さん?」

なぜだろう……?

「彼はね、本気で咲さんのことをしていたよ。だから、僕に彼と周君のことを守ってしいって言ってくれた……」

和泉は真っ直ぐにこちらの眼を見つめて答えてくれた。

いつもと違って、どこまでも真剣な顔つきだった。

「どうして……」

「詳しいことは、今はまだ話せないけど。彼は僕を信じてくれた。だから僕は、彼に約束したんだ。必ず君達を守るって」

信じる。

今の周にはその概念がひどく曖昧であやふやで、摑みどころのないもののように思えてならなかった。

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