《ファザコン中年刑事とシスコン男子高校生の愉快な非日常:5~海をまたぐ結婚詐欺師!厳島神社が結ぶ、をんな達のえにし~人ヴァイオリニストの橫顔、その翳が隠す衝撃の真実》しむら~後ろ~!

すっかり揺している。

振り返らなくても和泉は駿河のが手に取るようにわかった。

彼は真っ直ぐで純なのが點だが、何もかも額面通りにけ取ってしまうきらいがある。

い頃から、人の笑顔の裏を読み取ろうとして生きてきた和泉とは大違いだ。

刑事部屋のり口で、和泉は晝休憩から帰って來た結と廊下でばったり出會った。

「あ、和泉さん。お疲れ様です」

朝からずっと気になっていたのだが、彼は何か言いたそうな顔でこちらを見ている。

が、こちらから水を向けるほど和泉は人が良くはない。

すると覚悟を決めたのか、結は和泉の前に立ちはだかった。

「あの、和泉さん! 來週か來月でもいいんですけど、都合のつく日ってあります?」

「何、合コンのおい?」

「う、まぁ……はい」

冗談のつもりだったが、まさかビンゴとは。

「何も事件が起きなければ、いつでもいいよ。と、言いたいところだけど……」

何を言い出すつもりかしら? と結の顔には書いてある。

「僕なんかでいいのかな? 流川のゲイバーで、年をでる趣味があるんだけど」

ひぃっ!! 結が妙な悲鳴を上げた。

「う、う、噂は本當だったんですか?!」

この子はリアクションがおもしろい。

それでつい、余計なことを言いたくなってしまう。

「実は、奧さんに逃げられた原因ってのがね……それなんだ」

の額に大粒の汗が浮かぶ。和泉は悪ノリして、

年にとどまらず、イケてるオジさんにも興味の対象は広がっちゃって……一時期は聡さんとの仲も疑われたことがあってね」

今度は顔からの気が引いた。

「今じゃ事実婚っていうんだってね? 同棲のこと。聡さんと一緒に暮らしてるからってそんなふうに言われてるんだよ。でも僕、聡さんとなら……」

ごーん!!

和泉は後頭部に激しい衝撃を覚え、つい廊下に膝を著いた。

「そ、聡さん……中ったペットボトルは兇ですよ……」

「本気にするな、うさこ」

痛い……と呟きながら和泉は自分の席に戻った。

駿河はまだ自販売機の前で固まっているのだろうか? 姿が見えない。

まぁいいや、仕事に戻ろう。

結局、あれから淺井梅子には會えていない。

今朝、例の元刑事から連絡があった。

はしばらく院するのだと。どこの病院かまでは知らないそうだ。

には院できるほどの規模の病院はないはずだ。

となると、市のどこかに違いない。

そうのんびりもしていられない。片っぱしから病院を探るか。

そうかと思えば一方で、元妻の出現でし面倒くさいことになった。

和泉について、彼が流川のゲイバーに出沒しているという噂が、よりによって県警の運営するホームページの掲示板に書き込まれたと今朝、聞いた。

すぐに靜香の仕業だとピンときた。

ネット社會の今、噂の広がりは驚くほど早い。

書き込みはすぐに削除されたが、消してもすぐに追加されるいたちごっこだ。

暇なだ。まぁ、軽犯罪者のほぼ100パーセントが無職ということを考えると納得もいく。

別に県警の誰にゲイだと疑われようが、ホモだと言われようが気にならない。

それよりも今はもっと大切なことがある。

その時、和泉の攜帯電話が鳴った。

挿し絵に大きなミスが……あああ(汗)

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