《ファザコン中年刑事とシスコン男子高校生の愉快な非日常:5~海をまたぐ結婚詐欺師!厳島神社が結ぶ、をんな達のえにし~人ヴァイオリニストの橫顔、その翳が隠す衝撃の真実》仕事に集中できない
世の中にはまだ、自分の知らない世界がたくさんある。
駿河は仕事をしながら頭の中でぼんやり考えていた。
いや、あんなのは特殊なケースに違いない。そうだ。
和泉に言わせればああいうタイプが『普通の』らしいが、たぶん彼の基準は他人とかなり異なっている。
ああ、そうだ。うさこ。
彼ならきっと、まともで正常な覚を持ち合わせているに違いない。
しかし、どうやって切り出そう?
日頃、業務上のこと以外で彼と遣り取りをしたことなどほとんどないのに、いきなり世間話を振ったりしたら引かれるだろうか?
そもそも、今は業務時間中だ。
どうしたものか、考えているに晝休憩の時間になった。
うさこが立ち上がる。
「うさこ」
思わず駿河は彼を呼び止めた。驚いた顔で振り返られる。
「……私、ですか?」
「他に誰がいる?」
ですよね、と彼はこちらへ近付いてくる。
どうしたのだろう? なんだか構えられているようだが。
「……晝は、誰かと約束したりしているか?」
「え? い、いいえ。別に誰とも……」
「だったら、僕に付き合ってくれないか」
思いっきり、驚きを前面に出されてしまった。
悩むことはなく、社員食堂へ向かう。
その途中、うさこはまったくと言っていいほどしゃべらなかった。日頃、日下部や友永とは笑いながら雑談をしているというのに。
「……やっぱり、嫌だったのか?」
「えっ? なんでですか?!」
「さっきから黙りこんでいる」
「それは、その……何を話していいのかわからなくて……すみません」
駿河は溜め息をついた。
「やはり、僕はつまらない男か?」
うさこは返答に悩んでいるようだ。困らせるつもりはなかったのに。
すまない、と、とりあえず言っておく。
「……実は、君に聞きたいことがある」
「私で答えられることなら……」
やはり、構えられているようだ。
それぞれ食べたいものをトレーに乗せて會計を済ませ、窓際の席に向かい合って座る。
駿河は麥茶を一口飲んで唐突に切り出した。
「もやはり、浮気をするものなのか?」
「……へ?」
「だから、付き合っている男がいるのに、他の男と遊んだりするのか?」
「えーと……」
「どんな気持ちでそうするんだ?」
ますます困させてしまったようだ。
しばらくして彼から卻って來た答えは、
「週刊誌でも読んだらどうですか?」
あれか。電車の中吊り広告でよく見る、ゴシップばかりを扱った雑誌。
「……どんな顔をして、レジに持って行けばいいんだ?」
ですよね、と返事がある。
それからややあって、うさこは一口緑茶を飲んでから再び口を開く。
「駿河さんって、テレビ見たりしないんですか? いつだったか、結婚してる蕓能人のが、旦那さんの留守中に他の男を家に連れ込んで、予定より早く帰って來た旦那さんと鉢合わせして離婚したっていう話があったじゃないですか」
「……そうなのか?」
「有名な話ですよ。でもやっぱりそのタレント、テレビからほとんど姿を消しちゃいましたけどね」
「でも、なんでいきなりそんなこと訊くんですか?」
「……」
それはそうだ。彼の疑問はもっともだ。
しかし、誤解のないように上手く説明できる自信がない。
すると、
「駿河さん、もしかして心理に興味があるんですか?」
「……なくは、ない。知りたいことがある……」
ほえぇ~、と奇妙な聲が聞こえた。それから、
「だったら、今夜空いてます? 合コンするんですけど一緒に來ませんか? と言ってもごく人數ですけど……」
合コン。
久しぶりに聞く単語だ。
大學生の頃はやたらにおいがかかったが、アルコールが飲めない上に、父親からそういう席に出席するのはやめろと言われていた駿河は、ほとんど出席したことがない。
おかげで変人のレッテルをられたが。
「誰が來るんだ?」
「それが……」
あっ、と口を抑えてからなぜか、うさこは気まずそうな顔をする。
「和泉さんか?」
あの意味不明な男は先日駿河が、あまりにも腹が立った末に毆ってしまったことについて、何も責めてこなかった。
いつもと何も変わらない。
今のところは、そう見える。
「ええ、まぁ……そうです」
「行っても問題ないのなら、參加させてもらおう」
やや不安そうなうさこの顔を見て、とりあえず大人しくしていようと駿河は心に決めた。
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