《ファザコン中年刑事とシスコン男子高校生の愉快な非日常:5~海をまたぐ結婚詐欺師!厳島神社が結ぶ、をんな達のえにし~人ヴァイオリニストの橫顔、その翳が隠す衝撃の真実》退院おめでとう

確か今日、醫師の許可が出ればビアンカは退院できるはずだ。

咲は家事を終えたあと、すぐ病院に向かった。

ところが。

ビアンカの顔が悪い。

病室にって一目彼を見た瞬間、咲はそのことが気になった。

しかし、

「今日、退院できるのよ。お醫者さんの検診が終わったら自由の!!」

「そう! じゃあ、お祝いしなきゃ。ぜひ家に來て。ご馳走するから。でも……なんだか顔が悪いわ。どうかしたの?」

ビアンカははっとした表を見せ、それでも首を橫に振る。

「やだ、私は元気よ! だって病気じゃなくて怪我だもん。食べられないものだってないのよ? ねぇ、いろいろ味しいお店に行ってみましょう? あと、お買いも。やっと自由になれるわ~!」

嬉しそうに笑顔を見せながら、ビアンカは咲の両手を握って振る。

その時、攜帯電話が鳴った。

私のだわ、とビアンカが電話を耳に當てる。

「あら、高岡さん?! ねぇ、聞いてよ。今日やっと退院できるの……ええ。え? それは……」

初めは元気だった彼の口調が段々と萎んで行く。

「はい、それじゃ……」

通話は終わったようだ。

「どうしたの?」

「高岡さんが私に、何か訊きたいことがあるって……すぐに來るって」

「そう、じゃあ私は席を外した方がいいかしら?」

「ううん。お願い、一緒にいて」

咲は了承した。

隣室に住む刑事は比較的すぐにやってきた。

ちょうど醫師がやってきて、退院の許可を出した直後のことだ。

疲れているのだろうか、目の下にクマができている。いつもきちっとセットされている髪もややれ気味で、それでも瞳のだけはしも変わらない。

「ねぇ、高岡さん。これから咲と一緒にお晝に行こうと思うんだけどあなたも一緒にどう? 話なら、そこでお食事でもしながら……ね?」

わかりました、と彼は答えた。

「ねぇ、どこかおススメのお店ってある?」

ビアンカは嬉しそうだ。

「ありますよ。緒の話をするのに持ってこいの、良い店が」

刑事は笑って言ったが、咲にはどこか素直に喜べないような気がしていた。

彼が連れて行ってくれたのは商店街の路地裏に潛む小料理屋であった。

暖簾をくぐる直前になって、

咲さん」

隣人はいつも通り、優しい笑顔で話しかけてくる。

「申し訳ないのですが、しの時間、彼と大切な話をしたいので……店の1階でお待ちいただけますか?」

そういうことだろうと思った。

「どうして? 咲が一緒じゃダメなの?」

ビアンカは子供のような言い方をしながら、それでも顔いっぱいになぜか不安のを浮かべていた。

彼はそれに答えず、店にった途端、勝手知ったる様子でどんどんと2階席へ続く階段を上っていく。

咲は言われるまま、1階のカウンター席に1人で腰かけた。

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