《ファザコン中年刑事とシスコン男子高校生の愉快な非日常:5~海をまたぐ結婚詐欺師!厳島神社が結ぶ、をんな達のえにし~人ヴァイオリニストの橫顔、その翳が隠す衝撃の真実》総員、突!!!!!

準備は整っている。

後は突の合図を待つばかりだ。

全神経を耳に集中させる。

ぱさっ。

手袋が落ちた音。

カウントダウン開始。

3、2、1……。

『総員、突!!』

突然、部屋中が真っ暗になった。

停電だ。

それから、ガラスや他の何かが割れる大きな音が響く。

ドカドカと複數の大きな足音。そして怒聲。

いくつか空気を切り裂くような覚がすぐ傍をかすめた。

うめき聲が聞こえた。恐らく進一だろう。

微かにの匂いがする。

そして何か、焼け焦げたかのような臭いも。

何が起きたのかわからないが、気がついたら周の両腕も足も自由になっていた。

周は急いで起き上がり、暗がりの中、とにかく外へ……ああ、でも貓がまだ……あれこれ考えていた。

「周君!?」

和泉の聲だ。

「和泉さん!!」

周は聲の限りにんでみた。

ふわり、とが浮き上がるような覚。

ああ、いつものだ……。

安心したら一気に力が抜けた。

だけど、まだ安心できない。いろいろと大きな音が聞こえる。

が壊れて砕ける音も。

誰がどう言っていて、何がどうなっているのかさっぱりわからない。

でも、そんなことはいい。

周はきつく目を閉じた。

「來るぞ!!」

ガチャガチャ、玄関のドアが開こうとしている。

駿河は銃を構えた。

が早まる。

「待て! こういう時は……これだ!!」

そう言って日下部が取り出したのは懐中電燈。

彼は玄関に向かって燈りを照らす。

扉が開く。

西島進一が飛び出してきた。

「こっちを見ろ!!」

日下部の聲に反応した進一だが、目にライトを浴びせられると、眩しそうに両手で目元を覆い、そのまま廊下に膝をついてしまった。

電力會社に協力を要請し、意図的に停電を起こすと聞いていた。その時が突のタイミングだと、も。

暗い所から急に明るい所へ出ると、眩しさに目が追いつかない。

【暗調応】というやつである。

「葵!! そっち行ったぞ?!」

友永の聲に呼応し、駿河は手錠を取り出す。

西島進一の腕にその鋼のは、綺麗にはまってくれた。

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