「それで、その……私の力は、どうでしたでしょうか？」

クラリスにわっしゃわっしゃとバスタオルでを拭かれているソフィアがアランに尋ねる。

自分でを拭きながら、アランは口を開く。

「想像の遙か上、と言って差し支えない」

「えと……ご期待には添えられた、という事でよろしいでしょうか？」

「期待以上の以上、そのまた上だ」

まるで、後世に語り継がれるレベルの神を前にしたように。

その聲には、興が宿っていた。

「昨晩、ソフィア様に水の霊魔法をお見せいたしましたよね？」

「うん、水をれてくれたやつよね」

「そうです。私も平均的な霊力を持っているのですが……それでも、一度に生じさせられる水は、あの量が限界なのです」

「……と、いうことは」

「そういう事だ」

言いながら、アランがお腹周りの水気を拭うために服をいだ。

綺麗に六つに割れた、鍛え抜かれた腹筋がわになる。

突如として姿を表した逞しい男の象徴に、ソフィアの思考は明後日の方向に吹っ飛んでいき代わりに視線が釘付けになった。

「単純な量で言うと、平均的な霊力の何千倍……いや、何萬倍もの力を保有している事になる。正直俺も、君がここまで強大な霊力を持っているとは思っていな……聞いているのか？」

「はっ、ごめんなさい！　しぼーっとしていました」

頭を振って、ソフィアは思考を切り替える。

「……無理もない。今までフェルミでは、こういった力は使えなかっただろうから、突然……それも、桁違いのレベルの力を使えたとしても実はないだろう」

口が裂けても腹筋に見惚れていましたなんて言えまい。

「それも、イメージの強化に必要な詠唱もなし。本來、無詠唱で力を発現させるのは非常に困難な蕓當なのだ。それを、一発目で功させるとは……」

「あ、詠唱は単純に忘れていました……」

「……驚異的、とはまさにこの事だろう」

想像の遙か上、期待以上の以上、そのまた上、驚異的。

アランの評価をすぐにけいられるほどの実は、ソフィアにはなかった。

今まで自分に投げつけ続けられた言葉は、それらとはまるで正反対だったから。

でも……。

「何はともあれ、お役に立てそうで……良かったです」

えへへと、ソフィアがはにかむ。

アランの反応を見れば、なくとも自分が全くの役立たずでない事はわかる。

それが何よりも、が震えるほど嬉しかった。

この力を使って、誰かの役に立ちたい。

アランの役に立ちたい。

ソフィアはそう、強く強く思った。

「風の霊よ……ウォーム・ドライウィンド」

クラリスが唱えると、ぶわわわーっとソフィアを溫かい風が包み込む。

タオルである程度乾いたの水気がさーっと引いていく覚が心地よい。

ものの數十秒ほどで、ソフィアのはすっかり乾いた。

「ありがとう、クラリス」

「どういたしまして」

ほっこり落ち著いたソフィアに、アランは言う。

「あとは力の制……どの場所にどのくらいの出力で、どのくらいの量の力を発現させるのか、その辺りを重點的に練習すれば、思った通りに力を使う事ができるだろう」

「ゔっ、そうですよね……今のままじゃ、使い勝手が悪いですよね……」

今回は水の霊魔法だったから良かった。

だがもし火とかだったら……エラい事になっていただろう。

「心配しなくても、君には才能がある。力の制も、そう時間もかからず出來る事だろう」

才能がある。

そう言われすんなりとけれるほど自信があるわけじゃない。

だけど、アランに言われたら……出來る気がした。

拠はないけど、ソフィアのアランに対する信頼がそうさせていた。

何よりも、アランの期待に答えたい……褒められたい。

そんな思いが、ソフィアにやる気をもたらした。

「よしっ」と、の前で拳をぎゅっと握って意気込むソフィア。

「では、今から練習をします！」

「……今からか？」

アランが呆気に取られたように言う。

「はい！　一刻も早くアラン様のお役に立てるよう、迅速に力の制をできるようになり……って、あら……？」

急に、視界がぐらりと傾いた。

ふっと全から力が抜けていく覚

「ソフィア様！？」

クラリスのかけ聲虛しく、ソフィアのは地面へと……。

倒れる寸前、アランに優しく抱き止められた。

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