《異世界から日本に帰ってきたけど、やっぱりダンジョンにりたい! えっ、18歳未満は止だって? だったらひとまずは、魔法學院に通ってパーティーメンバーを育しようか》2 家に戻ってみると……
1話に引き続いての投稿です。本日中に6話まで投稿します。
兄妹がアークデーモンを片付け終わった頃、そんな出來事など知らぬままに政府並びに自衛隊の面々は眼になってダンジョンの捜索を開始していた。その捜索態勢は完全武裝した自衛隊員が1萬人以上員されている大規模な制。
その中心地にいる聡史と桜の耳にはサイレンを鳴らして走行するパトカーの音が聞こえてくる。數臺のパトカーが「危険なので外出を控えてください」と、スピーカーの音量を最大にして地域住民に呼び掛けている模様。
パトカーのサイレンに気を取られていると、暗がりをついて學校の正門を突き破って自衛隊の裝甲車が続々と校庭にってくる様子が目に飛び込んでくる。周辺はすっかり夜半の時間帯であるが、二人の目はスキルによって夜間視力が確保されている。
「ずいぶん々しい様子だな。一何事が起きたんだろう?」
「私たちの戦いが嗅ぎ付けられるにはタイミングが早すぎますわ」
もちろんたった今異世界から帰還したばかりの兄妹には、この場で膨大な魔力が生じた一件など、まったく想像の埒外であった。だが、なんとなくこの場にいるのは不味いのではないかという予が沸き起こる。
「今なら間に合うか?」
アイコンタクトで頷き合うと、二人は助走をつけて屋上のフェンスを飛び越える。そのまま地上5階から落下してしまうかと思わせて、スタっと著地を決める。桜は無駄に高い能力にを言わせて空中で5回転2回捻りを加えている。高飛び込みの競技か何かと勘違いしているのではないだろうか?
そのまま兄妹は校舎の裏側へと走り抜けていく。學校の敷地と外を隔てる2メートルの塀をいとも簡単に飛び越えると、二人はそのまま夜に紛れて久方ぶりの我が家へと走り去るのだった。
◇◇◇◇◇
実家の玄関先に聡史と桜が立っている。當然夜の10時を回っているので、玄関にはカギが掛かっている。
ピンポーン
「はい、どなたですか?」
「俺だよ」
「詐欺なら、間に合っていますから」
どうやら変な方向に勘違いしている二人の母親のが一切こもらない返答が出迎える。このままでは埒が明かないので、桜が兄に助言する。
「お兄様、言い方に問題があります」
「そうだったか? あの、この家の息子と娘ですが」
「ですから、詐欺は間に合っています」
言い方を改めても、なおもインターホン越しの母親は詐欺だと思い込んでいるらしい。どこの世界にわざわざ家に押しかけてくるオレオレ詐欺の犯人がいるのだろうか? 二人の母親も大概な格をしているよう。
こんな頼りない兄には任せておけぬとばかりに、今度は妹がインターホンに顔を近づける。
「お母様、桜が帰ってきましたので玄関を開けてくれますか?」
「えぇぇぇぇ! 本當に桜ちゃんなのぉぉぉぉ」
バタバタと足音を立てて玄関に近づいてくる人の気配がしてくる。そして、勢いよくドアが開くと、そこには信じられないものを見たという表の母親が立っている。
「お母様、ただいま戻りましたわ」
「母さん、ただいま。なんだか俺と桜の扱いに差をじるんだけど?」
「お兄様! 男は細かいことを気にしてはいけません」
妹の説得に対して聡史はまだ納得いかない表をしているが、そんなことはお構いなく母親が捲し立てる。
「二人して連絡もしないでどこに行っていたのよ?」
「母さん、信じてもらえないだろうが、俺たち二人は異世界に召喚されていた。連絡をしようにも、電話もなかったんだよ」
「適當なウソを言うんじゃありません。ちゃんと事を説明しなさい」
母親は、聡史の申し開きを一向に取り合おうとはしない。むしろ疑いの目を向けている。だが…
「お母様、本當ですわ。私たちは、異世界に召喚されていたんですの」
「あら、そうなの… まあ桜ちゃんが言うんだったら、きっと本當のお話なのね」
「俺って信用なさすぎっ」
桜が聡史の肩を一つポンと「お兄様、どんまいですよ!」お兄様、どんまいですよ」の気持ちが込められている。桜の兄を思う気持ちゆえの行なのだが、この行為自が聡史の心を微妙に抉っていく。
だがこの空気を母親は敏に察した。このままでは息子がスネてしまうのではないかと危懼する母親ならではの勘が働いたよう。そこで息子を納得させるために、心からの言葉を送ろうと決心する。
もうそれは長年二人を見てきた親として最上級の聡史をめる言葉のつもりであった。
「も、もちろん聡史の言うこともちゃんと信用しているわ。ホントウデスヨ!」
「母さん、完全に棒読みだぞ」
しまった、息子にあっさりと読まれた… そんなアリアリの様子が母親の表から一目瞭然。この狀況を取り繕うために、意を決した表の母が告げる。
「冷靜に考えてみれば、あなたたち二人だったら異世界くらい行って當たり前でしょう。むしろ行かないほうが不自然じゃないかしら」
「我が子を、どういう目で見ているんだぁぁぁ」
どうやら母親の苦し紛れの思いは聡史には伝わらなかったようだ。
「まあいいから、早く中にりなさい。桜ちゃんはお腹が空いているのかしら?」
「お母様、もちろんペコペコです」
「それじゃあ、今から味しいご飯を用意するわ」
どうやら母親は自分の気持ちを中々理解してくれない聡史は放置して、ターゲットを桜ひとりに絞ったよう。
「あのぉ… 俺の立場は?」
「さあさあ、二人が帰ってきたお祝いに、腕によりを掛けるわよ」
「お母様、とっても嬉しいです」
「俺の立場は?」
こうして母親に何となく誤魔化されて、ごくごく自然に雙子は帰宅を果たす。
聡史だけが、なんだかにモヤモヤした気分を殘すのだった。
「面白かった」
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