《異世界から日本に帰ってきたけど、やっぱりダンジョンにりたい! えっ、18歳未満は止だって? だったらひとまずは、魔法學院に通ってパーティーメンバーを育しようか》30 カレン
パーティーメンバーが増えて……
カレンが新メンバーに加わって、リビングではこれまでのパーティーの活に関する話題で、盛り上がっている。
そこに聡史が一石を投じる。
「鈴がカレンさんと顔見知りなのはわかるけど、桜と明日香ちゃんはいつの間に知り合ったんだ?」
「ああ、それはねぇ、今日私が危ない目に遭ったのを、カレンの機転で助けてもらったのよ」
聡史の目がギラリと騒なを放つ。
「鈴が危ない目に遭った? どういう事なんだ?」
「聡史君には、まだ何も話していなかったわね。実は、同じクラスの…」
鈴の話が進むたびごとに、聡史の表が一段一段険しくなっていく。
「それで、背後から抱え込まれて、粘著テープでグルグル巻きに…」
「桜ぁぁぁ! そいつらのいる場所に案しろぉぉ! この手で叩き斬ってやるぅぅ!」
「お兄様、どうか落ち著いてくださいませ」
アイテムボックスから抜の魔剣オルバースを取り出しては、立ち上がって玄関へ向かおうとする兄。妹は兄の腰の辺りに両腕で抱き著いて、必死で押し留めようとしている。
「まあ、聡史君ったら。私のためにあんなに怒ってくれて…」
「お兄さん、今の気持ちをどうか一言」
「お兄様、どうか早まらないでくださいませぇぇ!」
「えーい、妹よ。早く敵の居場所を教えろぉぉ!」
カオス再來であった。
「ほ、本當にこのパーティーに加したのって、正解だったのかしら?」
カレンはカレンで、早まってしまったかと後悔の念を滲ませている。
桜の懸命な説得が功を奏して、聡史は魔剣をアイテムボックスに仕舞って席に戻る。脳で『怒っちゃダメだ!』『怒っちゃダメだ!』と、300回くらい繰り返したおかげで、ようやく多の冷靜さを取り戻したようだ。
席に著くなり、おもむろに聡史が鈴に聞く。
「それで、鈴は怪我はなかったのか?」
「ええ、ブラウスを引っ張られたせいで、ボタンが二つ飛んでちょっと蹴てしまったけど…」
「桜ぁぁ! 今度は絶対に止めるなぁぁ! 早く居所を教えろぉぉ!」
魔剣オルバース再び。聡史が立ち上がって玄関へと向かう。
「聡史君が、あんなに怒ってくれるなんて…」
悲劇のヒロインモード全開の鈴。
「お兄さん、やはり怒っていますか? コメントをお願いします」
レポーターモード全開の明日香ちゃん。
「お兄様、敵はこの私がボコりましたから、どうか早まらずに」
力全開で聡史を止めに掛かる桜。
「やっぱり加の件は、白紙に戻した方が…」
後悔全開のカレン。
リビングをカオスの熱い空気が包み込み、騒の時間がしばし続く。
だが、この騒からいち早く立ち直り、我に返ったのは、実に意外な人であった。
「そうでした! お兄さん、たった今、いい方法を思いつきましたよ~」
全員の注目が一気に明日香ちゃんへと集まる。殊に聡史の怒りに任せた圧力に押し負けて、玄関の手前まで追い込まれていた桜にとっては、どんなアイデアであっても飛びつきたい心境であった。
「皆さん、一旦テーブルに集まってください」
明日香ちゃんのめったにない真剣な呼び掛けに、聡史も何事かと魔剣を仕舞ってテーブルに戻ってくる。
「お兄さん、よく聞いてください。ここに主犯の東十條雅のとっても恥ずかしい畫像があります」
「どれどれ… うわっ! これは相當恥ずかしいな」
「それから、こんな畫像もありますよ~」
「これもヒドいな」
「これが一番のベストショットですよ~」
「あちゃー! 全部寫っているじゃないか」
「それでですね、これをこうして… ゴニョゴニョゴニョ…」
明日香ちゃんのアイデアに関する説明が約5分続く。
「そうか… 叩き斬れないのは憾だが、明日香ちゃんのアイデアで手を打とうか。そろそろ時間だから、夕食を食べてから仕込みにろう」
「お兄様、そうですよ、そうしましょう!」
こうしてカオスから卻した5人は、揃って食堂へと向かう。
食事を終えると、全員で々と準備をして、そろそろいい時間となる。
「それじゃあ、私は寮に戻るわ」
「本當は今日もあの部屋に泊まりたいですけど、我慢して帰りますよ~」
鈴と明日香ちゃんが子寮へと戻ろうとする。當然カレンも…
「それでは私も… しまったぁぁ! お部屋にスマホを置いてきてしまったようです。一度戻らせてもらえますか?」
「ええ、どうぞいらしてください」
こうしてカレンだけが兄妹と連れ立って、今一度特待生寮へと戻ってくる。
「カレンさん、スマホはリビングですか?」
「いいえ、私のポケットの中にあります。実はお二人に折りってお話したい件があったんです」
聡史と桜は、どんな用件だろうと首を捻りながらも。カレンをもう一度部屋に招きれる。
テーブルの上には人數分の麥茶が、お馴染みの紙コップで提供される。3人が一口飲んでから、カレンが口火を切る。
「実はもっと早くに、お二人とはこうしてお話しする機會を持ちたかったんです」
「というと?」
「私の姓は神崎です。聞き覚えはありませんか?」
「あまり記憶にないですわね」
「うーん、最近どこかで聞いたような気がするんだが、思い出せなんだよなぁ」
聡史にはおぼろげながら聞き覚えがあるようだが、桜にはまったく記憶にない姓だった。
「それでは、異世界と聞いて、何か思い出しませんか?」
聡史と桜の表が変わる。カレンは一何を知っているんだと、彼の考えを窺うような表になっている。
「神崎、異世界、この二つのキーワードを持つ人と、最近會っていないですか?」
ここまでカレンがヒントを出したおかげで、聡史の脳裏にようやく彼が言わんとする人像が浮かび上がる。
「ま、まさか… 學院長か?」
「その通りです。私、神崎カレンは學院長の娘です。そして、異世界のをけ継ぐ者です!」
「なんだってぇぇぇぇ!」
「なんですってぇぇぇぇ!」
兄妹の聲が微妙にズレる。桜にカレンの姓に関する記憶がなかったのは、學院長が自己紹介した時點ではまだニート宣言中で部屋に籠っていたためだった。
「と、取り敢えず、カレンが學院長の娘だというのは理解した。それで、異世界のというのは?」
「はい、私の母は異世界に渡って冒険をしている時期に、たまたま巡り合った男とに落ちたそうです。そして、母のお腹の中に私が宿って… ですが、私が生まれる前に母は日本に戻されてしまったんです。そして、日本で私は生まれました」
何という不思議な縁の巡り合わせか、聡史たちの前にもうひとり、異世界に関係する人が現れたのであった。
「それじゃあ、回復魔法も…」
「おそらく、異世界にいる父親の影響ではないでしょうか。最初からステータス畫面にあったんです」
こうして、カレンという謎の子生徒の正が判明した。だが異世界人とのハーフだなんていう事実は、さすがの聡史兄妹でも寢耳に水の出來事と言えよう。
「実は鈴さんを助けたのも理事長側の生徒… 殊にその娘である東十條雅の向を探っている時に偶然知りました。今回の件で當分理事長はきを封じられると思いますから、母も結果については喜んでいます」
「なるほどねぇ… 理事長が娘を使って生徒の支配を企む裏側では、學院長の娘がその向を探っていたというわけか」
「端的に言えば、そうなります」
「でも結果として鈴が助かったんだから、俺たちに取ってはありがたい話だ。本當に助かった」
「そうですわ。カレンさんがいなかったらと思うと、ゾッとしたしますの。鈴ちゃんを救ってくれてありがとうございました」
「そんな改まってお禮を言われても私が困ります。スパイのようなことをしている最中にたまたま行き當っただけですから、あまりを張って威張れないです」
カレンは、あくまでも謙虛に手柄を認めようとはしない。それが卻って、聡史たちにとっては好が持てる要素でもある。
「いずれにしても、これからは同じパーティーだから、どうかよろしく頼む」
「こちらこそ、お願いします」
こうしてこの夜の話を終えると、カレンは子寮へと戻っていった。
◇◇◇◇◇
翌日、寮の自室で雅は最悪の目覚めを迎えていた。昨夜は、恐怖、後悔、苦悩、懊悩、不満、憤怒、憤り等々、やり場のない負のが次々と湧き上がって殆ど寢れなかった。目の下にはどす黒い隈が出來上がっており、寢不足で青白い顔と相まって鏡を見るのも嫌になってくる。
昨日は、呆然自失となって木の幹にもたれ掛っていたら、真っ先に意識を取り戻したひとりの師に肩を揺すられて意識が現実に戻ってきたような気がする。
その後はどこをどうやって帰ってきたのか記憶は全くないが、気が付いたら寮の自室にいた。
事件が表沙汰となって、學院からの事聴取や警察からの取り調べが行われるのではないかという不安を覚えたが、もう今の自分にはどうでもいいことのようにじてしまう。
最悪の気分を抱えながら、仕方なしに支度を整えて寮を出て教室へと向かう。食は全くなくて朝食はパスしたままで、始業の10分前にAクラスの自分の席へ座る。
ふと下を見ると、機のれに何か封筒のようなの端が顔を覗かせている。何だろうと手に取ってみると、それはピンクの封筒であった。
シールで留めてあるだけの封を開いて中を確認すると、3枚の寫真が出てくる。その寫真の裏側には、このように書かれていた。
〔東十條雅のおらし寫真〕
何だこれは? 寫真を持つ手が震えてくる。
ふと顔を見上げると、そこにはひとりの子生徒が立っていた。その姿は鈴に他ならない。ニヤリとした悪魔的な表を浮かべながら、鈴は至極ゆっくりした口調で語りかける。
「その寫真は気にったかしら? データは保管してあるから、あなたのおみのままに何枚でも印刷できるわよ」
「イヤぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
雅はそのまま教室を飛び出して、何処かへ姿を消したままこの日以降教室に姿を見せなかった。しばらくするといつの間にか休學の手続きがなされて、一か月後には除籍処分となったという噂が広がるが、真偽のほどは定かではない。
飛び出していく雅の後ろ姿を視線の端でチラリと見遣りながら、鈴はザマアという表で機に殘された3枚の寫真をそっと回収するのであった。
ローファンタジーランクの20位です!! 皆様の応援のおかげだと、心から謝しております。ベストテンまであと一息! せっかくだから、ランクインを目指したいなぁ。日間ランキングにも載りたいなぁ。(チラチラッ)
一歩一歩上を目指すためにも、どうか、以下の點にご協力ください。
「面白かった!」
「続きが気になる!」
「もっと早く投稿しろ!」
と、思っていただけましたら、ブックマークや評価を、是非お願いします!
評価はページの下側にある【☆☆☆☆☆】をクリックすると、簡単にできます。
皆様からお寄せいただくポイントが、執筆を続ける原力になりますので、どうか溫かい勵ましを賜わりますよう、どうぞよろしくお願いします!
勇者パーティーに追放された俺は、伝説級のアイテムを作れるので領地が最強になっていた
【今日の一冊】に掲載されました。 勇者パーティーから追放された俺。役に立たないのが理由で、パーティーだけでなく冒険者ギルドまでも追放された。勇者グラティアスからは報酬も與える価値はないとされて、金まで奪われてしまう。追放された俺は、本當に追放していいのと思う。なぜなら俺は錬金術士であり、実は俺だけ作れる伝説級アイテムが作れた。辺境の領地に行き、伝説級アイテムで領地を開拓する。すると領地は最強になってしまった。一方、勇者もギルドマスターも栄光から一転して奈落の底に落ちていく。これは冒険者ギルドのために必死に頑張っていた俺が追放されて仲間を増やしていたら、最強の領地になっていた話です。
8 54黒月軍事學園物語
能力を持った者や魔法を使う者が集まる學園、黒月軍事學園に通う拓人が激しい戦闘を繰り広げたり、海外に飛ばされいろんなことをしたりと異常な學園生活を送ったりする物語
8 64ブアメードの血
異色のゾンビ小説<完結済> 狂気の科學者の手により、とらわれの身となった小説家志望の男、佐藤一志。 と、ありきたりの冒頭のようで、なんとその様子がなぜか大學の文化祭で上映される。 その上映會を観て兄と直感した妹、靜は探偵を雇い、物語は思いもよらぬ方向へ進んでいく… ゾンビ作品ではあまり描かれることのない ゾンビウィルスの作成方法(かなり奇抜)、 世界中が同時にゾンビ化し蔓延させる手段、 ゾンビ同士が襲い合わない理由、 そして、神を出現させる禁斷の方法※とは…… ※現実の世界でも実際にやろうとすれば、本當に神が出現するかも…絶対にやってはいけません!
8 66最弱の異世界転移者《スキルの種と龍の宿主》
高校2年の主人公、十 灰利(つなし かいり)は、ある日突然集団で異世界に召喚されてしまう。 そこにある理不盡な、絶望の數々。 最弱が、全力で這い上がり理不盡を覆すストーリー。
8 94聲の神に顔はいらない。
作家の俺には夢がある。利益やら何やらに関わらない、完全に自分本意な作品を書いて、それを映像化することだ。幸いに人気作家と呼べる自分には金はある。だが、それだげに、自分の作人はしがらみが出來る。それに問題はそれだけではない。 昨今の聲優の在処だ。アイドル聲優はキャラよりも目立つ。それがなんとなく、自分の創り出したキャラが踏みにじられてる様に感じてしまう。わかってはいる。この時代聲優の頑張りもないと利益は出ないのだ。けどキャラよりも聲優が目立つのは色々と思う所もある訳で…… そんな時、俺は一人の聲優と出會った。今の時代に聲だけで勝負するしかないような……そんな聲優だ。けど……彼女の聲は神だった。
8 50戀愛の女神に會ってから俺の日常が暴走している
2次元至上主義の男子高校生''上里 翠(かみさと みどり)''は、突如現れた女神に「ラブコメの主人公になってほしい」と告げられる。 対する翠の返答は「3次元とラブコメなんぞできん」だった。 ラブコメさせた女神とラブコメしたくない主人公の謎設定作品(予定)
8 94