《異世界から日本に帰ってきたけど、やっぱりダンジョンにりたい! えっ、18歳未満は止だって? だったらひとまずは、魔法學院に通ってパーティーメンバーを育しようか》31 お斷りします!
それぞれのクラスでは……
期末試験が終わると、他の高校と同様に魔法學院でも學科の授業は殆ど行われなくなる。
反復しなければならない基礎実習と専門実技は相変わらず1日おきに組まれているものの、學科の時間で埋まっていた授業時間帯にポッカリが開く形となる。
普通の高校生ならば友達と一緒にゲームセンターに繰り出したり、カラオケボックスで盛り上がって時には意中の異としでも近付きになりたいと、遊び優先の計畫を立てるであろう。
だがここ魔法學院では々事が異なっている。
実力本位でクラス分けすら績順に並べられる當學院では、殆どの生徒がライバルよりも一歩でも二歩でも前に出ようと必死なのである。努力を怠った生徒、もしくは努力をしていても実を結ばない生徒は、否応なく下のクラスに落とされる。
また、たとえ底辺と見做されているEクラスの生徒であっても、ひとつでも上に這い上がろうと目のを変えている。期末試験が終わったからといって羽をばしていては、その間にライバルに追い越されてしまうのだ。むしろ試験によって自らの立ち位置が改めて確認できた分だけ、次の新たな目標に向かって日々進していこうと気持ちを新たにしているはず。
た、たぶん…
でもあのメンツが果たして…
ゲフンゲフン! 一応そういうことにしておこう。
このようなシビアな環境の中で、Eクラスではホームルームの前に學科テストの最後の答案が生徒に返卻されていた。
「お兄様、試験の結果はいかがでしたか?」
「桜、全科目50點以上をクリアしたぞ」
隣の席から話しかけてきた妹に向かってグッととサムアップして聡史が返事をする。機上に置いてある數學の答案には67點と記載されている。
「よかったですわ。これで大手を振ってダンジョンにれますわね。私もひとまず最低限の點數は確保いたしましたし」
桜の答案は78點であった。この娘、意外とやりおる! 2か月間の授業を全くけていないブランクがあっても知力100は伊達ではない。時折頭の使いどころをウッカリ間違えるだけなのだ。
「桜ちゃん、お兄さん、結果はどうでしたか~?」
そこへ、ニコニコ顔の明日香ちゃんがやってくる。この様子だと、どうやら彼も無事にクリアしたよう。
「おや、明日香ちゃん、私もお兄様も全科目50點以上という目標を達いたしましたわ」
「よかったですよ~。私も無事に合格ラインギリギリセーフです。全科目50點~55點の範囲にきっちりと納めました」
「合理的か。もっと點數を取ってもいいだろう」
久方ぶりの聡史のツッコミが冴え渡る。クラス中に聞こえる大聲に、他の生徒全員が「またやってるよ」という呆れた表で3人を見ている。
「お兄さん、お言葉を返すようですが、私は無駄な努力はしたくないんですよ~。ただでさえ桜ちゃんにシゴかれて々大変なですから、學科の授業くらいは息を抜きたいんです」
「明日香ちゃん、學科はを休める時間ではないと何度言えばわかってくれるんですか?」
「これが私の生きる道ですよ~。誰にも邪魔させません」
「自分で邪魔をしているんだろうがぁぁ」
誰が何と言おうとも、明日香ちゃんは己の進む道を譲ろうとはしない。「そんなにを張って誇らしそうな表をしていないで、もうちょっと頑張ろうよ…」という生暖かい眼差しをクラスの一部生徒から向けられても、一向に気にしていなかった。
そんなこんなで聡史たち3人が取り敢えずは安堵の表を浮かべる橫では、頼朝たち自主練一派が真っ暗な表をしている。殊に頼朝は23點と書かれた數學の答案を握り締めて、茫然自失の有様。
「迂闊だった… 実技能力が向上したのが嬉しくて試験期間中も自主練をしていたのが、思わぬ落としだったか…」
「當たり前だろう。俺と桜でさえ試験の三日前から自主練を強制自粛させられていたのに、お前たちは何をやっているんだ?」
もちろん聡史たちに強制自粛をさせたのは、他ならぬ鈴であった。彼が強権を発しなければ、聡史たちも彼らと同じ立場であったかもしれない。
大雑把に言って、これが底辺Eクラスの実態。男子で魔法が使用できるのは聡史だけ。全員が単純労働者… 別名〔の盾〕とも呼ばれている何とも不遇な存在。
もうちょっと頭を使えば楽になる場面でも、気合と力頼みで強突破しようとするおバカ揃いである。揃いも揃ってFランクの頭脳の持ち主なので、學問に頭を使おうとは、これっぽっちも考えない脳筋集団であった。まだ桜のほうが、ある意味でまともに話が通じるかもしれない。
もちろんごく數、それなりに勉強も頑張っている生徒もいるにはいるのだが、クラス全の流れはこんなじが多數派を占めている。
さすがに子はここまでヒドくはないと彼たちの名譽のためにも一応弁解しておく。実際には他のクラスに比べて慘憺たる有様なのだが、あまりこの場でぶっちゃけると読者が幻滅を抱く可能がある。
せっかくダンジョン管理事務所から渡された懇切丁寧にルートが書き込まれている地図を誰一人読み取れないとか…
ダンジョン地図ならまだしも、街中でのスマホのルート案すらわからずに、つい道行く人に目的地までの行き方を聞いてしまうとか…
せっかく誰かに道順を聞いても、曲がる方向を間違えてさらにドツボに嵌るとか…
半數が分數の計算が結構怪しいとか……
要するにごく數を除くほぼ全員が、この底辺クラスに集まるべくして集まっている。テストで半分以上をマークした明日香ちゃんが実はかなり尊敬されてしまうという、クラス全が実に悲しいレベル。
実技は訓練次第で差を埋めることができても、生まれ持った頭は取り替えない限りはどうにもならないような気がしてくる。もちろん一念発起して勉學に真剣に取り組めば、おそらく結果は違うのだろう… しかしどちらかというと男とも本能優先で生きているので、中々真剣に將來を見據えようという生徒は數人しか見當たらない。
東先生はよくぞこんなクラスをけ持っている。年齢とともにやや寂しくなりがちの頭皮が、ますます元気を失っていくのではないだろうか?
◇◇◇◇◇
ところ変わって、こちらはハイソサエティーなAクラス。どこかの底辺クラスとは違って學科試験のクラス平均得點が80點オーバーという、実技だけではなくて頭脳まで優秀な生徒の集まりである。
その分だけ、Eクラスのような友や義理人に厚い生徒は存在せず、利己主義の塊と呼べるようなある意味選民意識に凝り固まったエリート集団であった。
なまじっかステータスに記載されている初期能力が高かったばかりに、自分は選ばれた人間だと勘違いしている生徒が男とも大半を占めている。
その中にあって、鈴やカレンは數ない例外といえるであろう。彼たちは自らの能力にけっして慢心せずに、さらなる向上を目指している。それだけではなくて、誰からの意見やアドバイスでもけようとする謙虛さも持ち合わせているのだった。
ところでAクラスにおいても、期末試験で鈴が公開した魔法は注目の的であった。日本では誰も実現していない超級魔法を完全な形で披したのだから、當然クラスで鈴の評価は上がりしている。
そうなるとこれまで誰からも顧みられていなかった鈴を、何とかして自分たちに取り込もうというきが活発化してくる。これまでは生徒會活のためフルにダンジョンにっていられないという理由でどこからも聲を掛けられなかった鈴であるが、誰しもがあの能力を見たら自分たちのパーティーにしくなってしまうのは當然の流れ。
ホームルームが始まるのを席で待っている鈴の元に、遠藤明が自信満々な表でやってくる。彼は試席次第5位で、今回の実技試験でもそこそこの威力のファイアーボールを披していた。また彼が所屬するのは、勇者である浜川茂樹たちに次ぐクラスでは有力なパーティー。
「西川さん、よかったら僕たちのパーティーに正式メンバーとして加わらないかい? 君が加してくれたら、僕たちはいよいよ2階層にチャレンジしようと考えているんだ」
遠藤がこれだけ自信たっぷりな表をしているのは、鈴がAクラスのどのパーティーにも所屬していない點と、2階層にチャレンジするという殺し文句であった。まだこのクラスで… というか1年生で2階層で活していると広く知られているのは、浜川茂樹が所屬するパーティーのみ。だからこそ遠藤はこの魅力的な提案に鈴が飛びつくであろうという、全く拠のない自信を持っている。
「勧してもらえるのは嬉しいんですが、私が所屬するパーティーはすでに決まっています。管理事務所でもメンバー登録してありますので、今から変更する考えはありません」
一応の禮儀を弁えてはいるが、鈴の口調はこれ以上ないほどキッパリと遠藤の申し出を撥ね付けている。聡史から離れるなど、今の鈴にとって論外のさらに外であった。
「西川さんが登録したというのは、もしかしてあのEクラスの生徒が中心のパーティーのことかな? もしそうだったら、今から僕たちのところに加わることを勧めるよ。所詮はEクラスなんだから、西川さんの能力が寶の持ち腐れだ。その點僕たちと一緒なら、君の力を存分に発揮してもらえるからね」
遠藤の言い草に、鈴の心では「わかってない。こいつ全然わかってない!」という哀れすら催すが立ち込めてくる。だが鈴はこうも考える。「あまりにも高い山の頂など、凡人には如何ほど高いのか理解が及ばないのだ」と、なんだかちょっと哲學的に。
実際に聡史と桜の戦闘を間近で垣間見た鈴でさえも、あの二人がどこまで強いのかなど判斷がつかない。遠藤の言い分に凡人の悲哀をじたのは「あの二人に比べたら自分自も限りなく凡人」と、鈴が自覚しているせいに違いない。だからこそ鈴は生來の人の好さで、遠藤の主張をまるっきり否定するわけにもいかなかった。もし聡史たちと出會っていなかったら、自分もそのような思考に陥っていた可能があったと気が付いている故に…
「遠藤君の言いたいことはよくわかっています。ですが私は所屬パーティーを変更する気持ちはありません。今後このような勧をおけしても私の気持ちは変わりませんので、どうかご了承ください」
「わ、わかったよ。あとから後悔しても知らないからな」
結局鈴の丁寧な斷りのセリフは「遠藤君のこと嫌いじゃないけど、ゴメンナサイ(棒)」と同義語であった。け取り方によっては最も傷付く斷られ方といえよう。鈴が遠藤の心を慮ったばかりに結果的に彼を深く傷つけている。鈴には悪気はない。むしろ可能な限り遠藤にやさしい口調で斷ったつもりでいる。
鈴に相手にされなかった遠藤は「一なぜだ?!」という、いまだに理解不能といわんばかりの表で自分の席へと戻るしかない。プライドが相當ズタズタにされている様子が誰の目にも明らかであるのに、遠藤自はその心を周囲に悟られてないと勘違いしている模様。クラス全の得も言われぬ生暖かい視線を一にけながら、彼は席に著いてホームルームを待つのだった。
午前中の基礎訓練と専門実技実習が終わり、晝食兼晝休みの時間となる。1年生のどの生徒もなるべく早めに晝食をとって、午後はしでも早くダンジョンへ向かおうと準備をする。
Aクラスでは、ロッカーに仕舞っておいたスポーツバッグからヘルメットとプロテクターを取り出してに裝著しようとするカレンがいる。他の生徒も大彼と同様に裝備や武の點検を開始している。
「神崎さん、今日は僕たちのパーティーに所屬してもらうから、いつものようによろしく頼むよ」
そこに現れたのは、どんな巡り合わせだかまたもや遠藤明。カレンダーに記載された順番では本日は彼のパーティーにカレンが所屬する日なので、リーダーとして確認に訪れたよう。
「ああ遠藤君、ゴメンナサイ。今日から他のクラスの人たちとパーティーを組むから、このクラスの人たちとはもう一緒に行できなくなりました」
「そ、そんな… 回復擔當の神崎さんがいなかったら、もしもの時にどうすればいいんだ?」
「今まで順番で私がいないことのほうが多かったはずですから、最初からいないつもりでどうか頑張ってください」
「神崎さん、ちょっと待ってくれ!」
「急ぎますので、悪しからず」
こうして遠藤は、教室を出ていくカレンの後姿を茫然と見送るしかなかった。全が燃え盡きた真っ白な灰になって、口から白い何かが出掛かっている。あまりにも哀れ過ぎて、その姿はクラスの同を… 全然集めなかった。
子たちは、遠慮なしに遠藤に指をさして聲をあげて笑っているし、男子は「俺たちの順番じゃなくてよかった」とをで下ろしている。
この出來事がきっかけで翌日からAクラスで遠藤のあだ名が広まっていった。
〔1日に2回フラれた男〕
當然この噂は尾ひれがついて、他のクラスにも広がっていくのであった。
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