《異世界から日本に帰ってきたけど、やっぱりダンジョンにりたい! えっ、18歳未満は止だって? だったらひとまずは、魔法學院に通ってパーティーメンバーを育しようか》45 神聖魔法

聡史たちが學院に戻ってきたところから、お話はスタートです……

聡史たちが秩父から戻ってきた翌日の魔法學院は、夏休みまであと3日ということもあって、終日自由課題となっている。

本來ならば、1~3年生までの各パーティーが朝からダンジョンへ向かうのだが、明日まで大山ダンジョンは閉鎖中のため、各訓練場には生徒の姿が溢れ返って芋の子を洗うような狀態であった。

ちなみに大山ダンジョンであるが、現在自衛隊の2個中隊が場してゴブリンを片っ端から討伐している。3階層程度であれば弾薬の補給が容易なので、撃練習も兼ねて自衛隊の皆さんが思う存分実弾をブッパしているのだった。

當然ながらゴブリン相手であれば、剣よりも銃のほうが圧倒的に効率が良い。自衛隊のメンツに懸けて、異常発生したゴブリンを手あたり次第討伐している最中であった。本日朝に管理事務所にもたらされた報告では、湧き出てくるゴブリンが目に見えて減ってきており、明日から一般場再開が決定しているのは、學院生たちにとっては朗報であった。

話を學院に戻すと、現在聡史たちのパーティーは全員が地下に設置されている第ゼロ演習場に集まっている。日頃は屋外で訓練している桜と明日香ちゃんも、珍しく魔法の練習の見學に來ているのだった。二人とも訓練場所が十分に取れなくて、屋外での実技演習を諦めて已む無くこの場に來ている…… のではなかった。

桜との地獄の訓練が中止になった明日香ちゃんは、大喜びで魔法の練習を見學している。レベルが上昇しても、もって生まれた格は中々変わらないようだ。ただ、その気持ちはなんとなくわかる気がする。誰もが、あんな過激な訓練を進んでけようとは考えないはずだ。

今日は鈴の練習は後回しにして、カレンの神聖魔法のテストから始めるようだ。開始戦に立つカレンと聡史の二人が、何か打ち合わせをしている。

「カレン! フィールドの周囲は結界で覆ってあるから、遠慮なくブッ放してくれ!」

「はい、わかりました」

「最初は何からいくんだ?」

「ホーリーライトです」

今日は威力が弱い順に試していく予定なので、カレンの答えに聡史は納得した表で頷く。異世界で活當時、聡史は大賢者が発する神聖魔法を間近で目撃していたので、その威力に関してはおおよその予想がついている。

「桜ちゃん! カレンさんの魔法が楽しみですねぇ!」

「そうですね。神聖魔法は威力が強烈ですから、もうし離れて見ていましょう!」

魔法に憧れている明日香ちゃんは、瞳をキラキラさせて離れた場所からカレンに熱い視線を送っている。『いつかは自分も、魔法をりたい!』というのは、明日香ちゃんの心からの願いなのだ。

だが、明日香ちゃんは気付いていない。トライデントが最後のとどめに魔に流し込む電流は、実は明日香ちゃんの魔力を使用している。トライデントを間に挾んでいるものの、明日香ちゃんはすでに電撃の魔法をその手でっているのだった。無自覚ほど恐ろしいものはない。

一方鈴は、カレンの神聖魔法を解析するべく、すでに魔法解析スキルを発して腕まくりをしている。もちろん実技試験の際に勇者の魔法を解析しようと試みたのだが、あまりにその容が複雑すぎてほとんど読み取れていなかった。この機會にしでも神聖魔法を解明しておこういう気合を前面に押し出しているのだった。

世界樹の杖を手にするカレンは、開始戦に立って真剣な表神集中している。手慣れた回復魔法とは違って今回初めて発するだけに、果たして功するかどうか若干の不安をじている表をしている。

秩父ダンジョンで初めて世界樹の杖を手にした際に、魔法式が頭の中に流れ込んできたとは言うものの、現段階では杖を手にしているほうがより明確に魔法式をイメージできるらしい。したがって、今日のところはこうして世界樹の杖を手にしてテストに挑んでいる。

「それでは発します! 聖(ホーリーライト)!」

カレンが手にする世界樹の杖の先端から淡いが発せられて、的に向かって飛翔していく。は無事に的に命中して何ら効果を発揮しないうちに霧散した。

「桜ちゃん! 桜ちゃん! せっかく魔法が飛んで行ったのに、何の効果もなかったですよ! どうなっているんですか?」

「明日香ちゃん! ちょっと落ち著いてください! 今の魔法はちゃんと功していますから!」

「益々わかりません! もっとしっかり説明してください!」

桜から『威力が強烈』などと聞いていたものだから、凄い魔法が飛び出して大発するだろうと構えていた明日香ちゃんは、なんだか肩かしを食らったようにじているのだった。魔法に関する知識が全くないので、この反応は無理もないであろう。

対して桜は、兄同様に異世界で何度も神聖魔法を目撃しているので、落ち著いた表をしている。明日香ちゃんよりは多はマシにしても、魔法に関しては門外漢の桜。それでも、どのような効果があるのかぐらいは過去に自ら目撃した経験で分かっているのだった。

「明日香ちゃん! 今カレンさんが実演したのは、下級アンデットに効果がある魔法です! あのを浴びると、ゾンビやスケルトンは一撃で消滅しますよ!」

「ほえぇぇぇ! そんなに凄い魔法なんですか! ところで桜ちゃん! 本當にゾンビなんかいるんですか?」

「ええ、普通にいますよ。ダンジョンの10階層ぐらいまで降りると、多分出てくるんじゃないですか」

「そ、その時は、気持ち悪いから全部カレンさんにお任せします」

ビビりな明日香ちゃんは、ゾンビと聞いただけで腰が引けている。幽霊が大の苦手であるが、ホラー映畫も怖くて満足に見ていられない明日香ちゃんであった。

一方聡史は、カレンに歩み寄っていく。

「カレン、ステータスを開いて、魔力をどれだけ消費したか確認してくれ」

「はい、聡史さん。えーと、今の1発で魔力を5消費しています」

「そうか、わかった。常に魔力の殘量を確認しながらテストを続けてくれ」

「はい」

こうしてカレンは、ある程度式に慣れるまで聖を撃ち出していく。カレンが杖を向ける方向に正確に聖が飛んでいくので、どうやら実戦で使用してもオーケーの手応えを彼摑んでいるようだ。

「それでは、次はホーリーアローを試します」

「うん、いいんじゃないか」

聡史からオーケーが出たので、カレンは再び神集中をしてから杖を構える。

「ホーリーアロー!」

杖から真っ白なが的を目掛けて一直線に飛び出していく。

ズガガガーーン!

聡史が展開した結界の部が、猛烈な発音と白いで満たされる。その威力は、勇者が実技試験で披したホーリーアローの比ではなかった。

魔法を放ったカレン自も、あまりの威力の茫然自失の模様だ。そして、もう一人……

「明日香ちゃん! 大丈夫ですか?」

「さ、桜ちゃん! ビックリしすぎて、こ、腰が抜けました!」

明日香ちゃんは、目の前で生じた大発に驚いて、見事なまでに後ろにひっくり返っていた。それはもう裏返されたカエルのように、両腕を萬歳した完璧なコケ方だ。お笑い蕓人でもここまで思い切ってを張れないに違いない!

もし仮に、明日香ちゃんにする男子がいたとしても、この姿を見たら恐らくスッとこの場から去っていくであろう。だが安心していい! 今のところ明日香ちゃんに気持ちを寄せる男子は、影も形もない! 絶対にどこにもない! 世界中を探し回ってもまず見つからない、ツチノコレベルの幻と斷言しておく!

「カレン、魔力はどのくらい消費しているんだ?」

「今ので50くらいです」

「そうなのか? とても魔力50で出せる威力ではないようにじるが…… もしかしたら、杖の効果が発揮されているのかもしれないな」

「杖の効果ですか?」

カレンが手にするのは、異世界製の世界樹の杖。明日香ちゃんのトライデントと同様の、神話級の品だった。この杖が使用者にどのような効果をもたらしているのかは、聡史自にもわかっていない。例えば魔法の効果を増加するとか、使用する魔力を半減するとか、何らかの効果を発揮していると想像するしかなかった。

「カレン、威力を抑えるのは可能か?」

「今のが最低の威力みたいです」

「そうか……」

聡史は考え込んでいる。こんなバカ威力の魔法をダンジョンの通路で放ったら、敵と味方をまとめて吹き飛ばす未來しか浮かばない。ということで、すぐに結論が出る。

「カレンのホーリーアローは、ボス戦の切り札以外には使用しないように! 迂闊に使用すると、パーティーが全滅する恐れがあるからな」

「は、はい…… わかりました」

カレンも実はそうなんじゃないかなぁ…… なんて心の片隅で思ってはいたが、改めて聡史から宣告されてガーンという表になっているのだった。

鈴は鈴で、ベンチに腰掛けたまま頭を抱えている。

「な、何なのよぉぉ! ただでさえ長ったらしい魔法式なのに、重要な部分が『×××××××』って、全部伏字になっているじゃないのよぉぉぉ! 解析なんて、絶対に無理よぉぉ!」

選ばれた者しか使用できない神聖魔法は、式の容がバレないように魔法式が暗號化されているようだ。この難解な式を解読できる人間は、おそらく神聖魔法に適がある人間のみと制限かかけられているのであろう。鈴の魔法解析スキルでどうにかできる代ではなかった。

とりあえず、當面はカレンの神聖魔法は封印という結論が出たので、本日のカレンのテストはこれにて終了する。これ以上威力がある魔法のテストは、どうやらこの演習場をもってしても不可能であった。そのうえ、カレンの魔力もだいぶ心許なくなっている。さらに上級の神聖魔法は、カレンのレベルがもっと上昇してからテストする他なかった。

聡史は鈴をパートナーに変えて魔法式の練習を開始する。といっても、現在こちらはデスクワークの如き作業となっているのだった。

鈴が読み取った魔法文字をノートに書きとって、聡史がそれを翻訳する形式で、式の構文を日本語に訳しているのだった。この作業を開始してから、鈴には〔言語理解レベル1〕のスキルが加わっている。そのおかげで異世界の文字に対する理解が早くなって、以前よりも翻訳作業が楽になっているのだった。

鈴の最終目的は、異世界の文字に頼らずに日本語で魔法式を構築することであった。そのためには、聡史が知っている限りの魔法式を片っ端から日本語に改めていくという膨大な作業を、二人で繰り返している。

「さて、明日香ちゃん! いつまでノビているんですか! 場所が空いたから始めますよ!」

「ええええ! 完全に油斷していましたぁぁぁ!」

桜は、最初から場所が空いたら明日香ちゃんの訓練を実施するつもりで、この第ゼロ演習場に來ていた。せっかくに著きつつある槍のスキルをもっとばしたいと考えているのだった。

當然そこには、明日香ちゃんの都合など全く考慮にってはいない。どうせならもっとトライデントを使いこなしてもらいたいという、桜なりの思いやりが籠った親切心があるだけだ。

神聖魔法のテストが終わって暇になったカレンも、明日香ちゃんの準備を兼ねて木槍と棒で打ち合いに參加させられている。といっても、全くの初心者であるカレンは、桜から懇切丁寧に棒の基礎を教えられている。いざという時は世界樹の杖を武にして、を守らないとならない可能もあるからだった。

「桜ちゃん! なんでカレンさんにはそんなに丁寧に教えているんですか?」

「えっ! 明日香ちゃん、これが普通ですよ!」

「絶対に違います! 私の時は最初から『さあ、好きなように打ち掛かってきなさい!』って言いながら、実戦並みに私をバシバシ叩いていましたよね! 忘れたとは言わせませんよ!」

「さて、何のお話でしょうねぇ? 最近忘れが激しくって、昨日の晩ご飯すら思い出せません!」

明日香ちゃんを相手に、シラを切り続ける桜であった。

次回、場が再開された大山ダンジョンへ向かう一行…… 続きは明日投稿する予定です。どうぞお楽しみに!

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