《異世界から日本に帰ってきたけど、やっぱりダンジョンにりたい! えっ、18歳未満は止だって? だったらひとまずは、魔法學院に通ってパーティーメンバーを育しようか》48 夏の予定

久しぶりのクラスの話題に……

この日は5階層のボスを倒してから、その後1時間ほどオークやその他の魔を相手にしながら、夕方にはパーティーは學院に戻ってくる。

その足で五人は、特待生寮に集まって本日の反省會を開いている。反省會とはいってもそれほど堅苦しいものではなくて、お茶を飲みながらリラックスして適當に気付いたことを話し合うだけだ。

秩父でお小遣いを稼いだ明日香ちゃんは、大好のフルーツパフェを食堂でテイクアウトしてとってもご機嫌な表をしている。この一杯のために見るからに恐ろしいオークを討伐したのだから、自分へのご褒なのだろう。

サラリーマンのお父さん方が仕事帰りの一杯を楽しむのと同じように、そのうちパフェを食べながら『プハー! この一杯がたまらない!』などと言い出しそうだ。

それはともかくとして、この場で本日の結果を踏まえたステータスの確認を行う。まずは明日香ちゃんから……

【二宮 明日香】 16歳 

職業 フフフフ! 君は魔法になってみるのかな?

レベル 20

力 89

魔力 92

敏捷 62

神力 52

知力 36

所持スキル 僕と契約して魔法になってみるのかい? 神耐レベル6 槍レベル3

「明日香ちゃん! 數値はともかくとして、なぜ職業が疑問形なんでしょうね?」

「桜ちゃん! 私自、もうその辺を考えるのはやめました!」

「そうですねぇ…… なんだか見ようによっては、良くないいのようにもけ取れますし」

「誰が悪魔のいですかぁぁ! 魂を対価に契約するんですかぁぁ!」

「明日香ちゃん! どうか落ち著いてください! 悪魔のいなんて言っていませんから」

桜はこれ以上話を続けるのを止めた。なんだか明日香ちゃんが、魔法になる前から絶に染まってしまいそうな気がしたのだ。

以前聡史の話では、レベルが20に到達した時點で、それまで隠されていた職業が表示されたということだった。

その話を聞いていた明日香ちゃんは、『レベル20になって今度こそ!』と意気込んでいただけに、心の中で大きなショックをけている。せっかく味しくいただいていたパフェが、どうもヤケ食い気味になっていそうだ。

続いては、鈴がステータスを開く。

【西川 鈴】 16歳 

職業 ……

レベル 20

力 133

魔力 691

敏捷 89

神力 247

知力 91

所持スキル 火屬魔法 闇屬魔法 無屬魔法 魔力ブーストレベル3 魔力回復レベル3 式解析レベル7 言語理解レベル1

「魔力に関しては、鈴のほうが俺の2倍近くになっているな」

「本當ですね! 鈴ちゃんの魔力のびは、さすがの私も帽します!」

兄妹が比較の対象にしているのは、異世界に渡る前の二人のステータスであって、現狀の本の數値ではないと付け加えておく。建前上はそうしておかないと、々とややこしい問題が発生してくるのだ。

鈴さんは、魔法が使えて羨ましいです! 早く私も魔法を使いたいなぁ……」

「明日香ちゃん! そうそう簡単にはいかないのよ。解析が難航してて、いまだにファイアーボールしか使えないんだから」

「それでも私みたいに、魔法のスキルが全然ないよりはマシですよぉ~!」

明日香ちゃんは、やっぱり魔法の夢を諦められないようだ。きっといつかは…… と、將來に思いを馳せている。本當に悪魔のいに乗ってしまうかもしれない。

「それにしても鈴も明日香ちゃんと同じように、レベル20になっても職業が表示されないんだな。これは相當にレアな職業が期待できそうだ」

「聡史君、そうなのかしら?」

「お兄さん! お兄さん! もしかして、私もレアな職業なんですか?!」

「明日香ちゃんにも、その可能は十分あるだろうな」

まあ、明日香ちゃんは橫に置いといて、いずれにしてもレベル20にして鈴のこの魔力量は異例中の異例である。ファイアーボールに換算して600発放てるというのは、それだけで大きな武となる。

最後に、カレンの順番となる。

【神崎 カレン】 16歳 

職業 ……

レベル 18

力 80

魔力 237

敏捷 46

神力 189

知力 77

所持スキル 回復魔法レベル4 狀態異常回復レベル1 解毒レベル1 神力上昇レベル1 理防上昇レベル3 魔法防上昇レベル2 魔力回復レベル2 神聖魔法レベルMAX 棒レベル1

「レベル的に、カレンはだいぶ鈴や明日香ちゃんに追い付いてきたな」

「皆さんのおかげです」

元々カレンは自分から前に出る格ではなかった。そこにもってきて、Aクラスでは各パーティーに持ち回りで參加する形となっていたので、常にお客様扱いで自分の意見を積極的に口にするのを避けていた。

その癖がいまだに抜け切れておらず、このパーティーの正式なメンバーとなった現在でも一歩引いた立場を頑なに守っている。というよりも、桜や明日香ちゃんといったどこにでも口を出す格の二人に押されて、口を挾む余地がないともいえる。

「カレンの神聖魔法は、今度5階層のボス部屋で試してみようか。ゴブリンキング程度ならば、一撃で倒せるだろう」

「そ、そうでしょうか?」

先日の第ゼロ演習室での試し撃ちであれだけの威力を実証した結果からみて、つい先ほど桜が見せた〔太極破〕に匹敵する威力をめている可能が高い。にも拘らず、カレンは控えめに自分の魔法が通用するのかと聡史に尋ねている。

するとそこに、カレンのせっかくの話題を遮るようにして、桜が口を挾む。

「カレンさんは、しばらく棒の訓練も続けていきましょう! ダンジョンでを守る方法が複數あるのは役に立ちますから! そうです! 鈴ちゃんもよかったら何か武を使えるようになりませんか?」

「わ、私は、魔法の解析に時間がかかるから、こ、今度暇があったらお願いするわ」

鈴は、桜の恐怖の勧から必死の逃げを打っている。ボロボロになっている明日香ちゃんの姿を見ていると、自分がとてもあの無茶苦茶な訓練についていけるとは思えないのだ。まさかこんなところで、自分にお鉢が回ってくるとは予想外であった。

こうして、次回はいよいよ6階層を目指してみようかという意見が出て、今回のパーティー會議は終了する。ちょうど夕食の時間ということもあって、五人は食堂へと向かうのだった。

翌日……

「聡史! 今日も早いな!」

「頼朝か! おはよう!」

「なんですってぇぇぇl! お兄様! 清盛ではなかったのですか?」

「それは平氏の親玉だろうがぁぁぁ! 敵方! 鎌倉幕府を立てる前の敵だから! 源平合戦くらい、登場人を覚えておけよ!」

桜はせっかく覚えた名前が間違っていたことに、素で驚いている。今回こそは相當自信があっただけに、ショックを隠せない表をしている。実はこの娘は本當はわかっているくせに、中々の演技派なのではないだろうか?

「おかしいいですねぇ…… 名前を頭に叩き込んだと思ったんですが?」

「相変わらず、叩き込む方向を間違えているからな! いいか頼朝! このくらいで涙目になっているんじゃないぞ!、それよりも、手に持っている紙はなんだ?」

聡史の指摘にハッとした頼朝は、彼の肩に腕を回して聲を潛めながら手にする紙を見せる。聡史の橫にいる桜と明日香ちゃんには、まだ聞かせたくないようだ。

「そうだった! こっちのほうが大事な話だった! 実はこのクラスで夏休み中に海に出掛けようという話が持ち上がっているんだ! 親戚が伊豆で旅館をやっている奴がいて、割引料金で泊まれるんだぜ!」

頼朝は聡史の檄で立ち直って、手にしている紙を差し出す。そこには、1週間後1泊2日の予定で伊豆の海に向かうおいが記されているのだった。殊に子に対して熱烈な勧のコピーが大きく描かれている。

それにしても、底辺の頭脳しか持ち合わせていないEクラスの男子生徒が作したにしては、中々しっかりとした容の計畫であった。この機會に子との親睦を深めたい悲しい男たちの必死の思いと努力の跡が、チラシの端々から浮かび上がってくる。

Eクラスの脳筋男子といえども、ひと夏の思い出くらいは作りたい。いくら厳しい訓練で知られる魔法學院とはいっても、夏休み中のたった2日間くらいは息抜きをしたいと考えるのも、若い彼らとしては當然であった。

そして、頼朝が本音をらす。

「実は子の集まり合が今一つで、聡史には期待しているんだ!」

「俺に何を期待するんだ?」

「パーティーの子全員をツアーに參加させること! 特にAクラスのお二方を、ぜひとも連れてきてもらいたい」

「俺の存在意義は?」

子の集客マシーンとして役立つと期待している!」

「扱いが酷いぞ!」

「聡史、どうか公平に考えてくれ! 俺たちが一人でも子を勧できると思うか?」

「自分で言ってて、悲しくならないか?」

聡史に背を向けた頼朝の表は、よくよく覗いてみると全てを達観している。窓の外に視線を向けて遠くを見渡しながら、モテない男たちの悲哀をこれでもかというくらいに背中から滲み出させているのだった。

「お兄様! 海とは何のお話ですか?」

「そうですよ! 藤原君と二人で何を話していたんですか?」

ここで、脇に置かれていた桜と明日香ちゃんが、なんだなんだ! と目を輝かせて參加してくる。殊に明日香ちゃんの好奇心レーダーが、面白そうな話題を知している。

「Eクラスの有志で、1泊で伊豆に出掛けようという話が持ち上がっているんだ」

聡史からの話を聞いた桜は……

(夏の海水浴! 海の家で食べる焼きソバ、カレーライス、おまけに屋外バーベキュー etc…)

同じく明日香ちゃんは……

(夏の海水浴! 冷たいスイカとキンキンのカキ氷、トロピカルなお飲み、口の中でとろけるアイス etc…)

二人とも脳裏に浮かぶのは、食べばかりであった。だが……

「お兄様! 楽しいバーベキューが待っています! ぜひとも參加しましょう!」

「お兄さん! 海はとっても味しいんですよぉ! 行きます! 絶対に行きますからぁぁ!」

詳しい話を何も聞かないうちから聲を大にして賛している二人に、聡史は戸った表を浮かべている。その橫では、ついに子の參加が実現した頼朝が、嗚咽をらしながら男泣きしているのだった。

「えーと、二人とも、本當に參加するのか?」

「お兄様! もちろんです! 鈴ちゃんとカレンさんも、絶対に連れていきましょう!」

頼朝號泣! 本當にいいの? と、聡史同様の戸った表を浮かべながらも、ニヤニヤが止まらない顔で泣き笑いしている姿がなんとも不気味だ。

この二人が參加を表明すると、過去のデータを鑑みれば、聡史のパーティーはなし崩しに全員が參加する方向となる。鈴は聡史が行くといえば必ず付いてくるし、カレンはいつものように全のムードに流されてしまうであろう。

こうして1週間後、否応なしに聡史は4人の子を連れて、1泊2日の伊豆の海へと足を延ばすことが決定するのだった。

◇◇◇◇◇

所変わって、こちらは魔法學院の理事長室。本學院理事長の東十條胤篤は、苛立ちを隠せない表で研究棟の最上階から窓の外を見下ろしている。この研究棟の最上階には聡史たちの特待生寮があるが、それはエレベーターに最も近い側で、理事長室は最も奧まった場所に設けられている。

魔法學院設立當初から、この學院の実権を乗っ取るために講じてきた様々な手段が現在あちこちに大きな綻びを見せて、今や理事長の権限が及ぶ範囲はごく限られたものとなっているのであった。これが苛立たないでどうするものかと、まるで苦草を煎じて煮詰めたものを飲み干した顔付きになるのも無理はない。

苛立ちに紛れて、期せずして呟きがその口から洩れる。

「クソッ! あの學院長め! ここまで見事にワシを遣り込めてくれるとは、思ってもみなかったわ!」

今振り返ると現學院長が就任以來、全てが理事長にとっては誤算の連続であった。次々に理事長派の教員はクビに追い遣られ、新たな魔法理論による教育カリキュラムの導に基づく式構築の教育は傍流に格下げされた。

ならば生徒をこの手で掌握しようと目論んで學したばかりの一人娘である雅に期待してみたが、先日の生徒會副會長拉致未遂事件においては、たった一人の子生徒によって全てが砕されてしまった。

驚くべきことに、その子生徒はつい最近編したばかりの特待生だと聞き及んでいる。學院長は、理事長に何の相談もなく二人の生徒を特待生として學させていた。

実はその裏には政府中樞の強い意向があったなど、この理事長には知らされてはいない。それは學院での権力闘爭などといった低いレベルの爭いではなくて、政治的により高度な次元で判斷が下されていたのだ。しかもその特待生二人が異世界からの帰還者であるなど、理事長にとっては想像の彼方の話であった。

ただ理事長の立場から見てはっきりとしているのは、あの特待生2名は確実に學院長側に味方をしているという點であった。

実際には聡史たちは、誰の味方などとは関係なく降りかかる火のを払っただけであった。その過程でたまたまカレンと知り合いになって、パーティーに加してもらっている。

だが、猜疑心の塊となっている理事長からすると、全てが學院長の思のままにいているように見えていた。

桜が鈴の柄を奪還する過程で、理事長が學院部に潛り込ませていた師の家系から集められて生徒は、全員が不甲斐ない姿で叩きのめされていた。さらには下級とはいえ応援のために配したプロの師すらも枕を並べて気絶するなど、理事長にとってはあってはならない出來事であった。

さらに理事長にとっては、頭の痛い事態が続く。

一人娘の雅が、あの事件の翌日から自宅に引きこもって學院に登校しようとしないのであった。理由を聞こうとしても泣きんで一切答えようとはしない様子を見て、理事長はしばらくの間放置するしかないと割り切るしかなかった。

學院長からの圧迫に加えて二の矢として放った生徒の掌握も、ここへきて完全に頓挫しているのであった。

「忌々しい特待生めがぁぁ!」

今や理事長の目には、學院長本人ではなくてその配下としていている二人の特待生が、より大きな障害に映っている。どうにかしてこの學院から排除できないものかと何らかの謀を張り巡らそうにも、校で直接手を下すのは監視カメラ等に証拠を殘してしまうので、打つ手をなくしているのが実であった。

「失禮いたします」

相変わらず窓の外を見るフリをして苛立ちを紛らわせている理事長の部屋に、書が室してくる。実はこの書は、東十條家に代々仕える師の家柄の出で、その腕を見込まれて理事長の懐刀を務めているのであった。

「ご當主様、例の特待生についての報がございます」

「なんだ?」

當主の懐刀を務めるだけあって、この書の報収集能力は特筆すべきものがある。件の兄妹について、何らかの有益な報を得たようであった。

今や最大の懸案とも言っていい特待生の報と聞いて、理事長の表が真剣なものに変化する。

「私の耳にりました話によりますと、例の特待生は、學院長の娘とともに來週伊豆へと向かうようです。學生同士が親睦を深める夏休みの旅行だと思います」

「なんだと! あいつらが學院長の娘まで同道してこの學院を離れるというのか!」

理事長にとっては、久方ぶりの朗報であった。今や天敵に昇華したともいうべき特待生二人が、學院を離れて警備が手薄な外部へ出かける。このような機會は、二人に何らかの謀を仕掛ける絶好機と理事長の目には映る。今回こそ、絶対に逃がせない降って湧いたような天の配剤であった。

実は先日、聡史たちが秩父に向かう報も理事長側は得ていたのだが、あまりに急な出立であったために準備が間に合わないままに、彼らの外出をみすみす見逃がしたという経緯があった。その分、今回こそはと力がるのは當然であろう。

窓際からデスクにを移した理事長は、思案する表で束の間瞑目する。その頭の中でどのような考えが蠢いているのかは、余人には理解のしようがない。

やがて理事長は、その眼を開いて書に矢継ぎ早に指示を出す。

「特待生2名を、亡き者にする! 東十條家の暗殺部隊を急招集せよ! さらには諜報部隊を先回りして現地に送り込み、準備萬端を整えよ! そなたは引き続き、特待生辺の報を集めるのだ」

「かしこまりました」

理事長はついにこの不利な狀況を覆すべく、乾坤一擲の勝負に出る決意を固めていた。その指示をけ取った書は、この謀に向けて様々な手配をすべく一禮して理事長室を出ていく。

こうして、聡史たちの全く知らない場所で、彼らを巡る大きな謀がき出すのであった。

最後までお付き合いいただいて、ありがとうございました。続きの投稿は、明日を予定しております。どうぞお楽しみに!

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