《異世界から日本に帰ってきたけど、やっぱりダンジョンにりたい! えっ、18歳未満は止だって? だったらひとまずは、魔法學院に通ってパーティーメンバーを育しようか》51 夕刻の熱いバトル
本日も2話投稿する予定です。続きは夕方ごろの予定です。
聡史たちが海岸で遊んでいる頃……
伊豆のとある街には観客に紛れて東十條家の手の者が20人ほどり込んでいる。
彼らは元々師界の他の流派に潛り込んで弱みを握ったり、人間関係に無用な波風を立てて不和の原因を作り出したりと、他の家系が一枚巖になるのを阻止して東十條家に常に優位な狀況を構築するための工作員としていていた。
何も知らずに海水浴に來ている聡史たちだけではなくて、學院生18人全員を離れた場所から監視しながら、互に連絡を取りつつ新たなきがないか様子を窺っている。
すでに聡史たちが宿泊する旅館なども突き止めており、宿泊客に扮裝した人員が建全の造りや各部屋の間取りなどを全て調べ上げていた。
古來より師というのは、占いや穢れを祓う表の仕事の他に、依頼された人間に呪いを掛けたり、時にはより直接的に毒を盛って殺害するなど裏の仕事を手掛けてきただけあって、このような下調べなどお手のであった。
殊に東十條家はこの裏の仕事を積極的に請け負ってきた長い歴史があるので、このような監視や報を探る人員だけでなくて、実際に暗殺を実行する要員も數多く抱えている。すでにその中から選抜された腕利きのプロの師五人が別々の宿に逗留しており、後は手を下すだけという段階まですべての用意を整えていた。
海水浴客と溫泉を楽しむ人々で賑わう伊豆の街は、これから起きる波含みの展開を前にして、まだ今の段階では普段通りに靜かなひっそりとした佇まいを保っているのだった。
◇◇◇◇◇
日が西に傾く頃、この日一日海水浴を堪能した學院生たちは、海の家の更室で著替えを済ませて、まだまだ晝間の暑さの余韻が殘る街中へと向かっていく。強い日差しで真っ黒に日焼けした男子生徒の一人が、まだまだ元気な様子で道案を買って出て本日の宿へと向かっていく。
聡史たちが今宵一晩の軒を借りるのは、その生徒の親戚が営んでいる旅館であった。海岸から見ると商店が並ぶ街中を抜けた山間に面した土地にあって、緩やかな上り坂が続く道を登っていくと、次第に建が見えてくる。
「健太! 予想外に立派な旅館じゃないか!」
「そうだろう! 創業五〇年の歴史があって、つい最近建を改築したばかりなんだ」
頼朝が話しかけたのは、明日香ちゃんがビーチボールで吹っ飛ばして鼻を出した男子であった。彼の親戚が目の前にあるこの旅館を経営している。その案で玄関に向かうと、宿の將さんが居住まいを正して一行を出迎えてくれる。
「まあまあ、皆さん! ようこそお越しくださいました! 私が健太の伯母です! どうぞごゆっくりくつろいでくださいね」
「「「「「お世話になります!」」」」
人の好さそうな將さんに案されて部屋に向かうと、彼らのために並びで四部屋が用意されている。桜たちが一室、ブルーホライゾンの子たちが一室、聡史を含めた男子が二つに分かれてそれぞれの部屋に荷を置く。
聡史が用意されたお茶を飲んでゆっくりしていると、ノックもなしに部屋のドアが開く。
「お兄様! 晩ご飯まで時間がありますから、その辺を散歩しましょう!」
「お兄さん! 早くいきましょう! スマホで調べたら、わさびソフトクリームを売っているお店があるんですよ~!」
聡史を呼びに來たのは、桜と明日香ちゃんだった。散歩はただの口実で、わさびソフトクリームが食べたいだけなのだ。明日香ちゃんのレーダーは、常に味しいデザートを探している。特にご當地でしか味わえないというスマホのガイドを見てしまったら、どうにも居ても立ってもいられない様子だ。
まったくしょうがないなぁ… という表で聡史が立ち上がると、なぜか部屋にいる男子全員が立ち上がる。
もちろん彼らの目的は、同じクラスで毎日顔を合わせる桜や明日香ちゃんではない。その表が絶対に違うぞ! …と雄弁に語っている。當然ながら男子一同は、Aクラスの高嶺の花である鈴とカレン両名にほんのしでもお近づきになりたい! …その一心でコブシに力を込めて立ち上がったのだ。
「あら、なんだか大勢引き連れてきたのね。じゃあみんなで行きましょうか!」
「せっかくですから、皆さんでにぎやかにお散歩しましょう!」
宿の玄関で待っている鈴とカレンのありがたい対応を聞いて、男子一同は涙に咽んでいる。なくとも近くにいて構わないというお許しが出たのを、全員が目から汗を流して喜んでいるのだった。
男子一同の脳メモリーには、晝間のカレンの見事な水著姿の姿態が鮮やかに蘇っている。目の前にいる悩殺の天使のお姿を、しでも近くから見ていたいのだった。揃って子とは縁遠い男たちにとっては、見ているだけでも幸せだ。しかしそののを慮ると、ちょっと悲しくなってくる。
だがまだこの時點で、男子一同な何も知らない。鈴とカレンは、心の中で一大決心をして夕方の散歩に臨んでいるのだった。そしてその決心こそが、男子一同の純真なハートを々に砕くとは……
桜と明日香ちゃんが先頭に立って歩いているので、もちろんお目當ての店に真っ先に向かっていく。ゾロゾロ18人が夕方の溫泉街を仲良く散歩している姿は、あたかも修學旅行にやってきた學生のようだ。
束の間の休暇を楽しむ子たちは、時折土産店の店先に並ぶ品を手に取ったりしながら、それぞれがのんびりとした時間を楽しんでいる。
男子たちの間は、鈴とカレンをボケっと眺めている手合いと、同じクラスの子とそれとなく話題を見つけて會話を続けているグループに完全に分かれている。手が屆かない高級品を鑑賞して楽しむのもアリだし、頑張れば手が屆くかもしれない可能にチャレンジするのも、それはそれでアリなのだ。
お目當ての店に到著した桜と明日香ちゃんは、さっそく注文を開始している。
「わさびソフトを3ついただけますか」
「私は1つでいいです!」
桜は3つ一度にけ取ったソフトクリームを手早くアイテムボックスに仕舞い込んでいる。そのうちの1つだけ手にして、さっそく食べ始めると……
「こ、これは意外と鼻にツーンときますわ!」
「わさびの辛さと香りが、結構利いていますね!」
鮮やかなグリーンで、ぱっと見は抹茶ソフトと見間違えてしまうが、中は伊豆名産の本わさびをスリ下ろした分がガッツリとっているのだ。ソフトクリームの甘さとわさびのツーンと鼻を刺激する香りが相まって、伊豆周辺ではかなりの人気商品となっている。
桜たちに続いて、聡史、鈴、カレンの3人もは試しとばかりに一つずつ購してみると、急に鈴が思い切った行に出る。
「はい、聡史君! アーンして!」
「俺は子供か!」
「まあいいから! はい、アーン!」
本日の鈴は、いつになく積極的に聡史に迫っている。聡史に出會ったらやってみたかったことその3を、この場で躊躇いなく実行しているのだった。
「鈴さん! なんだか面白そうですね! はい、聡史さん! アーンしてください!」
なぜか普段は控えめなカレンまでが、悪ノリして參戦してきた。鈴のこめかみが一瞬ピクリとくが、表だけはまだ笑顔を保っている。聡史は両側から次々にわさびソフトを差し出されて、忙しく両方に首を振っている。自分で購した分は、いまだに手がつかないままだ。
「チクショォォォォ! 聡史め!」
「なんだか殺意が湧いてくるな!」
「誰かダンジョン用の武を持っている奴はいないのかぁぁぁ!」
そんな聲が聞こえてくるが鈴とカレンは全く聞こえないフリで、完全に聡史を集団から隔離してやりたい放題! 男子たちから歯軋りの音がバキバキ聞こえてくる気がする。聡史が食べ終わる頃には、彼らの歯はボロボロのガタガタになっているだろう。
こうして男子一同から殺意漲るヘイトを買いまくった聡史は、結局わさびソフトを丸2つ食べる羽目になった。意外と刺激が強いわさび味を次から次に口の中に押し込まれて、今の聡史は若干涙目になっている。これはあくまでも、わさびの刺激が想像以上に利いていたせいで、鈴とカレンの行為自は照れ臭いながらも嬉しくじていた。ちなみに自分で購したわさびソフトは、現在桜の手に渡っている。
「それじゃあ行きましょうか」
今度は鈴が聡史の右腕に自分の腕を絡ませてくる。これは、聡史と出會ったらやりたかったことその2であった。二人が腕を組んで歩きだそうとすると、そこに待ったをかける人が現れる。
「鈴さん! なんだか面白そうですから、私もやってみますね!」
なんと、カレンまでが鈴とは反対側の聡史の腕に自分の腕を絡ませてくる。再び鈴のこめかみが一瞬ピクリとき、今度は顔面に張り付けたようなマネキン的な冷ややかな笑顔を浮かべている。鈴自はどうやら雲行きが怪しくなってきたのをじ取ったようだ。
「チクショォォォォ! 見せつけやがってぇぇl!」
「おい! どこかに刃は売っていないかぁぁ!」
「両手が塞がっているから、背後から首を絞めるのはどうだろう?」
後続の男子からは、ますます殺意に満ちた聲が上がる。もちろんその聲は聡史の耳に屆いているが、鈴とカレンの攻勢に対応が後手に回って、彼らの気持ちに配慮するどころではなかった。
この危なげな狀況に、さらに桜が燃料を投下する。
「鈴ちゃん! もっと著したほうが、きっとお兄様もお喜びますわ!」
愉快そうに煽ってくる桜からのナイスアシスト! これは絶好のチャンスとばかりに、鈴は若干遠慮がちに組んでいた腕に力を込めて聡史のをグッと引き寄せる。その行は、まるでカレンから聡史を引き剝がすかのようだ。どうやらカレンの挑戦をけて立つ決意表明らしい。
対してカレンもちょっと間が空いた聡史との隙間を埋めようと、敢然とを寄せてくる。両側から二人に著された聡史は、頭の中が真っ白でどうしていいやら…… 左右に首を振って、二人の表を挙不審気味に見ているしかなかった。
さらに明日香ちゃんも、背後からレポータースタンドを浮かび上がらせては、聡史をグイグイ追い詰めていく。
「お兄さん! 視聴者の皆さんが知りたがっています! 鈴さんとカレンさんのどちらが好きなんですか!」
桜の燃料投下どころではない、容赦ない水級の弾をペロリとこの場に放り込んでくれた。この娘は全く空気を読まない。ただ好奇心のままに仕出かすだけだ!
ブルーホライズンの5人も、このり行きに好奇に満ちた目を向けている。そして男子たちは……
「返事によっては、刺し違えても殺す!」
「ワラ人形と五寸釘はどこかに売っていないかぁぁ!」
「ど、どっちか選ばれなかったほうにアタックするのだどうだろう?」
微妙な沈黙が流れる中で、聡史がようやく口を開く。
「コラコラ、二人ともふざけすぎだぞ! そんなにくっついたら歩きにくいだろう!」
何かに期待する目を向けていた鈴とカレンは、この聡史の反応にガックリと項垂れている。せっかくここまで頑張ったのに、何一つ聡史には屆いていなかったという空しい思いが込み上げてくる。
「本當にお兄様ったら…… 今回は反論の余地はありません! 採點のしようがないので、0點です!」
兄に対する失格判定を下す桜の聲だけが、この場に響くのであった。
52話は17時~18時の間に投稿します。どうぞお楽しみに!
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