《異世界から日本に帰ってきたけど、やっぱりダンジョンにりたい! えっ、18歳未満は止だって? だったらひとまずは、魔法學院に通ってパーティーメンバーを育しようか》57 闇屬魔法

鈴がついに覚醒か……

誤字報告、ありがとうございました。

聡史が學院長室を出て食堂へ向かうと、桜たちはすでに食事を開始しているところであった。先に學院長室を退出したカレンも一緒に食事をしている。

「お兄様! お先にいただいていますよ!」

「桜ちゃん! 今日のデザートは何にしますか?」

兄に気付いた桜はともかくとして、明日香ちゃんなど、聡史が顔を出したことよりも食後のデザートに頭が飛んでいる。本日も桜に付き合わされてオーク狩りにを出しただけに、自分へのご褒早よう! …という心境になっているのだろう。

鈴はカレンが先に戻ってきたので、彼と聡史が隠れて何かしているという疑念を払拭して、一応は機嫌を取り直している。今はどちらかというと、カレンの存在を強く意識しているようだ。

「カレン、助かったよ」

「いいえ、お役に立ててよかったです」

カレンと學院長が親子であるという話は、鈴や明日香ちゃんはまだ知らない。聡史はそこにはれずに、一言だけ禮を述べるに留めておく。そのうちにカレンのほうからこの件に関する話をするのを待っている態度だ。

結局この日は、鈴一人だけが特待生寮に泊まった。ウッカリしていた明日香ちゃんは、しまったという表をしていたが、この日は泣く泣く諦めて自分の部屋に戻って寢るのだった。

◇◇◇◇◇

翌日、朝一番で聡史は鈴と一緒に第ゼロ演習室へと向かう。いよいよ鈴が、日本語で組み上げられた魔法式を用いた式をこれから実演しようというのだ。聡史を獨占できる鈴は、朝からご機嫌な様子。幸せオーラ全開で、聡史の手を取って歩いている。

ちなみにブルーホライゾンの面々は桜に預けられて、明日香ちゃんやカレンを相手にして腕を磨いている最中だ。いくら師匠といえども、そうそう彼たちだけに時間を取るわけにいかない、こう見えても中々多忙な聡史であった。

もちろん今日は試なので、威力の加減に十分に注意して行うつもりである。頑丈な造りの第ゼロ演習室といえども絶対安全という保証はないので、こうした聡史の付き添いが必要であった。もっともこの場所のカギは聡史が保管しているので、鈴一人ではることもできないのだが……

演習場に足を踏みれると、まず聡史はフィールドを結界で覆う。開始線から先の空間を全て覆って、さらに開始線上にも魔力の壁を作り出す。壁にはわずかに腕が1本出せるだけのが開いており、そこから鈴が腕をばして魔法を放つように、細心の注意で安全を確保する。

準備ができたところで、改めて鈴が口を開く。

「聡史君、ありがとう! それじゃあ、簡単に魔法式について説明していいかしら?」

「ああ、説明してもらえるか」

聡史の返事に鈴は一つ大きく頷いてから、これから試そうとしている魔法について話し出す。

「聡史君の魔法を解析した結果、実は魔法式の中には神様へのお禮の言葉とか、魔力を使用する際の祈りのセリフがいちいち差し挿まれていたの。それもものすごくくどい言い回しだったから、全部省略して簡潔にしてしまったわ。ファイアーボールの魔法式の構文がこれなの」

鈴が差し出した紙には、ごく短いフレーズが記載されている。全文を書き記すとこのような容になる。

〔魔力よ! 我が呼びかけに従って炎を形作りて、我の目が向く場に飛翔せよ! 威力は○○、表面のみ燃焼したのちに衝撃を発せよ!〕

異世界の言語表記では10行以上に及ぶ長い文章を要約した結果であった。これだけで魔法が発可能であれば、お手軽なんてものではない。それよりも、やや廚2ぽい構文は、もしかしたら鈴の好みなのかもしれない。

「こんなに短くなるのか!」

聡史は、鈴の苦心慘憺の結果を見て驚きの表を向けている。彼自が丸暗記していたあの長ったらしい構文が、ここまでシンプルになるとは予想外であった。しかも日本語で表記されている點が誰の目にもわかりやすくて、今後の普及に繋がっていく可能は聡史の目にも明らかであった。

「というわけだから、まずはファイアーボールで試してみるわ」

こうして鈴は、頭の中で魔法式を唱えながら右手に魔力を集めていく。その時間は短を重ねてきた鈴の従來の魔法の発と比較しても、圧倒的に早かった。

「ファイアーボール!」

鈴が魔法名を口から発すると、今迄と全く変化がない魔法が、正確に的を目指して飛んでいく。

パチパチパチパチ!

聡史の拍手が鈴の耳に伝わる。彼のここまでの努力を稱える心からの拍手だった。だが鈴は、まだまだこの程度では満足していない。

「それから、こんな魔法もできるようになったのよ! 対魔法シールド!」

もちろん頭の中で魔法式を暗唱したのであろう。鈴の前には明な薄い壁が出來上がっている。同様に対理シールドも完しているそうだ。あれだけ解析に苦労していた無屬魔法を、すっかり自分のものにしているのだった。

(こりゃあ、大賢者に匹敵する魔法の天才だな)

聡史が比較の対象にしているのは、彼に魔法のイロハを教えた異世界の大賢者であった。鈴の才能と魔法に対する熱は、かの大賢者に匹敵すると素直に帽しているのだった。

「今日のところはこのぐらいかしら。火屬と無族に関してはかなりいい線まで解析できたんだけど、闇屬に関してはまだまだこれからっていうじね」

鈴の言葉に聡史はとあることを思い出した。彼はダンジョンの隠し部屋に転移した際に、箱の中から出てきた黒曜石の杖をアイテムボックスから取り出す。

「この杖なんだけど、俺の知り合いが昔教えてくれた話を思い出したんだ。『火屬の杖にしたいんだったら赤い石を用いる。風屬ならば明な石が最適』てな合にな。それで、この杖はわざわざ黒い石を嵌め込んである。もしかしたら、闇屬と何らかの関係はないかな」

「言われてみればその通りかもしれないわね。ちょっとその杖を手に取ってもいいかしら?」

「いいぞ、ほら」

聡史が鈴にその杖を手渡した瞬間、彼に大きな変化が現れた。それは、カレンが世界樹の杖を手に取った時と同様に、杖に包された魔法に関する知識が鈴の中に一気に流れ込んできたのだ。

「す、すごい… これが闇屬魔法……」

鈴はそれっきりしばらくフリーズしている。膨大な報の処理に追われて、瞬きすらできなかった。呆けた表鈴が元の落ち著きを取り戻すまでには、しばしの時間経過が必要であった。

「はぁ~、ドッと疲れたわ」

鈴! 大丈夫か?」

杖を手にしたまま、鈴は傍らに置いてあるベンチに座り込む。すぐに心配顔の聡史が駆け付けて彼の様子を覗き込むが、鈴はそれにも気付かずにしばらくの間視線を宙に泳がせていた。

ようやく両目のピントが合うと、鈴は目の前に立っている聡史の姿に気が付く。

「ああ、聡史君! 心配しなくて大丈夫よ! 闇屬の本質にれて、その恐ろしさに圧倒されていただけだから」

「本質? 恐ろしさ?」

聡史には、鈴が何を言っているのか、皆目見當がつかない様子。

「わかったのよ! 闇屬魔法というのは、神聖魔法と一緒で真に適のある人間にしか與えられないものなの。そして、私はこの杖に認められたというわけ」

「杖に認められたのか?」

「ええ、聡史君がってもこの杖は何の反応もしなかった。聡史君には殘念ながら適がなかったという証明」

「その通りだ。俺は魔剣オルバースを手にした時のみ剣のスキルで闇屬を扱えるだけで、単では魔法は発しない」

「そう、それが闇屬魔法なの。人間がんでも手にできない恐ろしい力、これは使い方をよくよく研究しないと不味いわね」

鈴が手にした闇屬魔法とは、聡史にも未だ全貌は把握しきれてはいない。だが鈴の口ぶりからすると、計り知れない威力をめている可能が高い。

鈴、この場で試せそうな魔法はあるか?」

「そうねぇ… 2つ試してみましょうか」

そう言って、鈴は黒曜石の杖を手にして立ち上がる。

「それじゃあ、実演してみるわ。ダークフレイム!」

鈴の手から的に向かって黒い炎が飛んでいく。その炎がひと舐めしただけで、合金製の的の一部が融解した。

「これはヤバい魔法だな!」

「ええ、かなり危険よ! わかってもらえたかしら」

「俺も稀に使用した経験はあるが、これほどの威力じゃなかったぞ!」

「それが適の有無の差ね。あともう一つ、この場で実演してみるわね。ダークウインド!」

今度は、黒い靄のような正不明の鈴の手から飛んでいく。聡史には、その靄の正が今ひとつ判明していない。

「なんだったんだ? 今のは」

「死を運ぶ風ね。れた者を死に至らしめる恐ろしい効果を持つわ。もう解除したから大丈夫だけど」

「さすがに俺も、まったく聞いたことがない魔法だ。他にもあるのか?」

「ざっと100種類はあるわね。全て一撃で敵を死なせる魔法とか、毒に侵されて死に至るとか、騒なものばかりね」

「しばらくは封印しておこうか」

「それがいいわ」

こうして思わぬ形で闇屬魔法を會得した鈴ではあるが、そのあまりの威力の強大さにかにが震える思いであった。

◇◇◇◇◇

今日のところはここまでにしようということで、鈴を連れた聡史は第ゼロ演習室を後にする。やや疲労のが殘る鈴は部屋で休ませて、聡史はそのまま第1訓練場へと向かった。

「師匠! お待ちしていましたぁぁ!」

「今か今かと待っていたんですぅぅ!」

聡史には、ブルーホライゾンの歓迎ぶりがなんだか昨日よりも熱烈度を増しているような気がしてくる。信頼してもらえるのはいいが、あまり過剰な反応は一部から反を招きかねない。それは、同じ場所で剣の打ち合いをしているモテない男子とか、槍でドツキ合いをしている子に縁がない野郎どもとか……

だが、思わぬ場所に伏兵が存在した!

ふとじる突き刺さるような視線、その方向に顔を向けるとカレンがこちらを見ている。一瞬目が合うと彼はついっと目を逸らした。なんだか空恐ろしい予じる聡史の額には、一筋の汗が流れるのだった。

最後までお付き合いいただいて、ありがとうございました。続きは明日投稿の予定です。どうぞお楽しみに!

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