《異世界から日本に帰ってきたけど、やっぱりダンジョンにりたい! えっ、18歳未満は止だって? だったらひとまずは、魔法學院に通ってパーティーメンバーを育しようか》65 魔法の対戦
昨日は調不良で投稿をお休みさせていただきました。楽しみにしていた読者の皆様には、申し訳ありませんでした。
昨日の分まで今日は2話投稿します。66話は夕方投稿の予定です。
バキッ! ボコ!
「うう、まいった!」
「そこまでぇぇ! 勝者、青!」
模擬戦の試合で勝敗がついて、敗者が肩を落として控室へ戻っていく。
ドカッ! バキッ!
「うーん、もうけないぃぃ!」
「そこまでぇぇ! 勝者、青!」
またまた勝負が決する。勝者は當然の表で負かした相手を見下ろしている。
「チクショウ! あれだけ訓練したのに、勝てないなんて……」
「やっぱり、Aクラスの壁は厚いのか」
トーナメントが進むにつれて、勝者と敗者が次々に生まれていく。そして勝つ側はAクラスで、負けるのはEクラスの生徒であった。中でも悔しがっているのは、聡史らと一緒に自主練をしている連中だ。確かに彼らは、聡史が認めるように剣の腕を上げていた。だが同様に、他のクラスの生徒も日々剣や槍の技を向上させているのだ。
平均レベル9~10のAクラスと7~8のEクラスでは、気合とだけでは乗り越えられない壁が存在る。だが、ついに奇跡が起きた!
「勝者、赤!」
「やったぜぇぇ!」
頼朝がBクラスの生徒を下したのだ。比較的相手に恵まれたとはいえ、これはEクラスにとっては快挙であった。すでに敗退した生徒たちが、控室から出てくる頼朝を出迎えようと外で待ち構えている。なぜか背後からどす黒いオーラを吹き出しながら……
そして頼朝が出てくると、彼らは一斉に取り囲む。
「頼朝! ついにやったな!」
「お前はやってくれると信じていたぜ!」
手荒い祝福の雨で、取り囲んだ生徒が頼朝の背中や肩をバシバシ叩く。
「このヤロウ! いい格好しやがって!」
「チクショウめ! 一人だけ勝ちやがったな!」
次第にどす黒いオーラが広がって、なぜか取り囲んでいる生徒たちの口調が次第に荒っぽくなっていく。
「一人だけモテようたって、そうはいかねえぞ!」
「コンチクショウめがぁぁ!」
「抜け駆けするヤツには制裁を下せぇぇぇ!」
「こーのー恨ーみ、晴ーらーすーべーしー!」
醜い足の引っ張り合いが始まった。そして彼らが去った後には地面に倒れる頼朝の姿があり、その背中には踏みつけられた足跡が多數つけられている。モテない男たちの怨念が籠ったヘイトをそのにけた恐ろしい運命である。これはさすがに気の毒すぎる……
だがそこに、救いの神が通り掛った。
「あら、どうしたんですか?」
「た、助けて…」
たまたま自分の試合があるために控室にやってきたカレンが、倒れている頼朝に聲をかけた。どうやら何らかのダメージを負っている様子を見て、カレンの手から白いが放たれる。
「あれ? なんだか痛みが引いて…… カ、カレンさん! ありがとうございます!」
「どういたしまして! 勝ててよかったですね」
「はい! ありがとうございます!」
カレンの回復魔法で復活した頼朝が立ち上がる。頼朝はカレンに深々と禮をして、控室にっていく彼の姿を頭を下げたまま見送った。だが上目遣いになっているその目は、確実にカレンのの辺りをターゲットにしている。これは正常な男子としては、止むを得ないであろう。カレンのおがあまりにも魅力的すぎるのだ。そして、カレンが姿を消すと……
「やったぜ! カレンさんと話ができたぁぁ!」
模擬戦で勝利を挙げた際よりも大きな歓喜の雄たけびを上げる頼朝であった。
◇◇◇◇◇
ところ変わって第3室演習場では、こちらも魔法部門の模擬戦が開幕している。オープニングマッチにはエントリーしている生徒の中でナンバーワンの鈴が出場する。
控室には聡史と一緒に千里もやってきて、鈴の防の裝著を手伝っている。魔法部門に參加する生徒は防の上から不燃のツナギを著なければならないので、さらに手がかかるのだ。
「これじゃあ、ほとんどけないわね。こんな格好で戦うなんて酷いじゃないの!」
「近接戦闘部門とは違うからな。火屬魔法が飛びうから、防火対策は必要だろう」
鈴は、これだけの重裝備を規定している模擬戦のルールに文句を言いたげだ。しかしルールに逆らうわけにもいかずに、ため息をついている。
「それじゃあ、俺たちはスタンドから見ているからな」
「ええ、応援してね」
聡史と千里の二人は、控室から出ていく。二人を見送った鈴は、その場で開始の時間を待つのだった。
◇◇◇◇◇
「あ、あの~… 聡史さん、本當に私なんかに魔法の才能があるんでしょうか?」
「あると思うな。なくとも俺の目にはそう映っている」
スタンドで模擬戦の開始を待っている聡史と千里は、隣の席に座って會話をわしている。つい先ほど桜が彼の腕を引っ張って聡史たちに引き合わせてから、その後晝食を共にして何とか話ができる程度に打ち解けていた。
「魔法か… 今まで遠い存在だったから、全然実が湧かないです」
「この試合が終わったら、鈴に々と教えてもらうといい。まずはでの魔力循環を覚えないとな」
「魔力循環ですか?」
「魔法を扱うための基本だ。授業で教わらなかったか?」
「魔法関係の科目を選択していなかったので、ほとんど何も知らないんです」
「そうだったのか! じゃあ、試しにここでやってみようか。俺の手を握ってくれ」
「は、はい… わかりました」
千里はおずおずと聡史に手をばす。彼の手は張から微かに震えているようだ。
「俺が魔力を流すから、まずは魔力がどのようにに流れるかをじてほしい」
「はい、わかりました」
手を握られている千里の頬が、赤く染まっている。
「それじゃあ、流すぞ」
「はい」
聡史の手から魔力が流れ出した途端に、千里のがビクンと震える。初めてに魔力が流れる覚は、自分自に新たな世界を開くかのようだった。
「凄い! これが魔力……」
「ほう、もう覚を摑んだのか。やはり間違いないようだ」
そのまま聡史は千里の手を握って魔力を流し続けていく。そして、しばらくして手を離すと千里の様子を観察する。
「そのまま魔力の循環を、自分の力で続けてみるんだ」
「は、はい」
千里は目を閉じて、を巡る魔力をじながらその流れを繰り返していく。どうやらコツをつかんだようで、聡史が手を放しても依然として魔力循環を続けていられるようだ。
「毎日、朝、晝、夕方の3回、この魔力循環を自分でやってみるんだ。そのうちに魔力に関するスキルが得られるだろう」
「ありがとうございます。ついさっきまで自分の力がなくって絶していたのに、今は希でいっぱいです。全て聡史さんのおかげです」
「それは違うな。人間は中々自分が持っている力に気が付かないものだ。たまたま俺が気付いただけで、元々千里には魔法の力があったんだ」
「それでも私は、ずっと聡史さんに謝します! 私の中での新たな世界の扉を開いてくれたんですから!」
またまた子から大きな信頼を勝ち得てしまった聡史である。もしかしたらそれは、信頼だけに留まらないかもしれない。
「ただいまから模擬戦第1試合、Aクラス西川鈴対Eクラス山田直の対戦を開始いたします」
場にアナウンスが流れると、スタンドには一気に張り詰めた雰囲気が流れる。彼らの注目は、當然ながら魔法部門の第1位である鈴に向かっているのであった。
「いいか、鈴の魔法を目に焼き付けておくんだ」
「はい」
聡史からのアドバイスに千里は頷いている。學年トップの魔法使いの、指先のき一つ見逃さないように目を凝らしている。
アナウンス後に場してきた鈴はにまとう裝備のおかげで相當きにくそうだが、フェイスガード越しに窺える表は、普段通りの張をじさせない様子だ。
対戦する両者は20メートル離れた開始線上に立って、開始の合図を待っている。審判は雙方に準備の確認を終えると、右手を挙げて構える。
「試合開始!」
その腕が振り下ろされた瞬間から、魔法による戦いが始まった。
最初の一撃を放ったのは、意外にもEクラスの生徒であった。
「ファイアーボール!」
ソフトボール大の火の玉が飛び出してくるが、鈴はぎしないで飛んでくる炎を見つめている。
やがて雙方の立ち位置の半分までファイアーボールが飛翔したのを見た鈴は、ようやくの手前に右手をかざす。
「魔法シールド!」
たったその一言で、鈴のの手前に明な壁のようにしてシールドが張り巡らされた。炎はシールドにぶつかって四散する。
「い、今のは何だったんだ?」
「の手前で、魔法が阻まれるなんて……」
「本當に個人が使える魔法シールドなんてあったんだ……」
會場に詰め掛けているのは、もちろん魔法使いを目指して日々切磋琢磨している生徒たちだった。彼らの常識は、鈴が目の前で実演した景に打ち砕かれている。彼らの常識は、『魔法シールドは、魔石を用いて大掛かりな魔法陣を組み上げなければ構築できない』というものであり、それを鈴はあっさりと覆してしまったのだ。鈴の右手から発させた魔法シールドは、期末試験で披したファイアーボール以上の衝撃を會場にもたらしている。
相手の最初の魔法を簡単に躱した鈴は、今度は自らの攻撃魔法を一瞬で構築する。シールドのから右手を出すと、はっきりした口調で魔法名を口にする。
「ファイアーボール!」
もちろん威力は十分に加減して、相手に直撃しないように手前の地面に向けて打ち出しているのは當然。それでも鈴は、発の威力で相手を戦闘不能に陥れると確信している。
ドーン!
「キャァァァ!」
発の衝撃で鈴の予想通りにEクラスの生徒は吹き飛ばされて、そのままけなくなった。文字通りの完勝といえる。
「勝者、青!」
審判の判斷で勝敗が決した。もちを付いていたEクラスの生徒も、大きな怪我をせずに起き上がっている。
こうして魔法部門のオープニングマッチは終了した。鈴は一禮して淡々とした態度で控え室に向かっていく。
「それじゃあ、俺たちも鈴の所に行こうか」
「は、はい」
鈴の魔法に見っていた千里は、聡史の一言にようやく我に返った。聡史の後をついて控室への通路を歩いていく。
◇◇◇◇◇
「鈴! お疲れさん!」
「ああ、聡史君! どうもありがとう」
控え室にってきた聡史を、ヘルメットを外したばかりの鈴が迎える。
「このツナギが熱いから、早くぎたいの! 手伝ってもらえるかしら?」
「オーケー! 千里も手伝ってくれるか?」
「はい」
二人掛かりで鈴の防を外していくと、ようやく彼はホッとした表に変わる。安全を考慮しているとはいえ、鈴にとっては相當過剰な裝備をに著けていただけに、ようやく一息ついた心地であろう。
聡史は冷たいペットボトルを手渡して、ありがとうと言ってけ取った鈴が一口ふくむ。そこに千里が……
「あのー… 鈴さん、あんな凄い魔法をどうやって使えるようになったんですか?」
「そうねぇ… やっぱり努力かな。特にシールドに関しては、相當な時間がかかったわ」
「そうなんですか…… 私があんな高度な魔法が使えるかどうか、ちょっと不安になってきます」
「大丈夫よ! その辺は、私と聡史君がしっかりと教えるから。そうでしょう、聡史君?」
「もちろんだ! その代わり、相當厳しいから覚悟しておけよ」
「はい! どうかよろしくお願いします」
こうして模擬戦週間の初日は終わっていくのであった。
最後までお付き合いいただいてありがとうございました。この続きは夕方に投稿します。
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