《異世界から日本に帰ってきたけど、やっぱりダンジョンにりたい! えっ、18歳未満は止だって? だったらひとまずは、魔法學院に通ってパーティーメンバーを育しようか》66 模擬戦2日目以降
本日の二話目となります。
近接戦闘部門の模擬戦1回戦は、合計で64試合組まれている。そのため1回戦だけで3日を要する大掛かりなスケジュールとなっている。
組み合わせの関係で初日の出番がなかったブルーホライズンの五人は、2日目になってようやく初戦を迎える。
「いよいよ試合が始まるんだなぁ! なんだか気合がってきた!」
「師匠とのデートが懸っているから、絶対に負けられないよね!」
「何が何でも勝つぞー!」
「「「「おおぉぉ!」」」」
こうして一回戦に臨んだブルーホライズンの面々だが、対戦相手が中々厳しくて苦戦する。
「両者、引き分け!」
トップバッターで出場した渚は、互いに決め手を欠いて惜しくも引き分けに終わる。悔しそうな表の渚だが、相手がAクラスの男子だっただけに大健闘と呼べる評価をけていた。
「勝者、青!」
二番手の絵は、終了間際に相手の一撃を許して惜しくも敗退する。やはりロンギヌスを手にしないと調子が出なかった。
「両者引き分け!」
真は引き分けで終わった。まだ二刀流の練習を開始したばかりなので、右手一本で剣をるだけでは十分な力を発揮できなかった。
「勝者、青!」
ほのかも健闘空しく敗れる。左手の盾をうまく生かして善戦したものの、戦法を変えたばかりでは十分に力を発揮できなかった。
そして、最後に殘った唯一の希は……
「なんだよ! みんな、そんなお通夜みたいない顔をしているじゃないぜ! この晴様が、ビシッと勝利を挙げて見せるからな! ガハハハハ!」
試合が始まる前から、どうにも不安を抱かせてくれる晴の態度だ。子なのに『ガハハハハ!』という笑い方は、どうにかならないものだろうか……
だが希は殘っている。メンバーの中では最も力の數値が高いのは晴であった。その上気合強化のスキルがレベル2に上昇している點も心強くじる…… で、いいのか? 気合強化って模擬戦で本當に役立つのか? この辺は、いまだに未知數だ。
そしていよいよ晴の出番がやってくる。
右手には大型の盾を、左手には斧の用意がなかったため代わりの短剣を手にしている。対戦するのはBクラスの男子で、晴よりも頭一つ以上大きいかなり大柄な生徒であった。まともにぶつかったら、もしかしたら力負けする可能が高い。
「生意気に盾なんか持ちやがって、そんな盾など俺の剣の前では役立たずだぜ!」
「役立たずはどっちか今からはっきりさせてやる!」
晴も全然負けてはいない。元々気が強いところに持ってきて、聡史とのデートに対して並々ならぬ意を持っているのであった。
「試合開始!」
ついにブルーホライズンの運命を決定する最後の1戦が始まる。
「一撃で吹っ飛びやがれぇぇ!」
ガシン!
高い位置から振り下ろされる大型の剣を、晴はやや上に向けた盾でけ止める。最初から気合強化を発して、この試合最後まで押し切るつもりだ。
「おりゃぁぁぁ!」
気合を全開にした晴が盾を思いっきり押し込むと、相手の大柄なは一歩後退した。圧力が弱まったと見た晴は盾をかざしながら右に回りこみつつ、そのままごとぶつかっていく。
「なにっ!」
まさか盾を前面に押し出して當たりをしてくるとは思っていなかった相手は、完全に意表を突かれてバランスを崩す。このチャンスを見逃さずに、すかさず晴が今一度盾を手にして思いっきりぶつかっていく。それはもう気合を前面に押し出した、晴ならではの戦い方であった。
「うわぁぁぁ!」
バランスを崩したところにさらに盾の一撃を食らった相手は、堪らずにその場に転倒した。
「ここだぁぁぁ!」
倒れた相手に晴が飛び掛かる。そのまま馬乗りになると、ヘルメットに向かって短剣を突き下ろした。
ガキン!
短剣が相手のフェイスガードに當たる大きな音が響く。気合がりすぎている晴は、寸止めなどというお手らかな手段を取らない。そのまま相手を殺す勢いで短剣を振り下ろしていた。
「そこまでぇぇ!」
慌てて審判が止めにる。両者を引き剝がすようにして分けると、雙方に開始戦まで戻るように命じる。
「勝者、赤!」
改めて勝ち名乗りをけた晴は、両手を突き上げて喜びを表す。
「これで師匠とデートだぁぁぁぁ!」
もちろん場は唖然とするのであった。
◇◇◇◇◇
控え室で防を解いた晴は、パーティーが見守っているスタンドへ戻ってくる。その表は、これ以上ないほど晴れやかであった。
「やったぜ! 師匠とのデートをゲットしたせぇぇぇ!」
「はぁ~… よかったわね」
「一人で楽しんで來い!」
「友達止めようかな」
「本當にガッカリです!」
喜んでもらえると思っていた晴は、仲間のあまりの反応に『なぜだ?』という表を浮かべている。いくら脳筋であっても、この雰囲気に何かじるものがあるのは當然だ。
「な、なんだよ~! なんでみんなそんな顔をしているんだよ! 私たちはパーティーだろう! 師匠とのデートは五人で出掛けるに決まっているじゃないか!」
「晴ちゃん! マジ天使ぃぃ!」
「そ、そうだよな! みんなで楽しもう!」
「晴ちゃんは私の一番の親友ぅぅl!」
「晴ちゃんはやっぱりが違うわ!」
四人はクルっと手の平返しであった。あんまりクルクル手の平を返していると、腱鞘炎になるぞ!
「どうせだから、五人まとめて師匠におごってもらおうぜ!」
「確か師匠はダンジョンで相當稼いでいるはずだから、思いっきりご馳走になろう!」
「師匠は太っ腹だからね!」
「日頃我慢している分、思いっきりたかるわ!」
「全部晴ちゃんが勝ってくれたおかげです!」
晴以外の四人が涙を流して喜ぶのであった。
それよりも、なぜ晴が五人で出掛けようと提案したかというと、晴はこの年まで男子と付き合った経験がなかったからだった。もちろん二人っきりでどこかへ出掛けるなど、想定外のさらに外の話。最初から全員でデートをするつもりであった。こんな晴の意気地のなさのおかげで、パーティーメンバー全員がおこぼれにあずかることとなる。
結果的に、聡史の負擔だけが5倍になるだけだった。
◇◇◇◇◇
4日目の第3訓練場では、明日香ちゃんが2回戦を迎えている。裝備を付けてフィールドに立つ明日香ちゃんは、相変わらずの平常運転であった。
(さあ! 今日こそ負けてやりますよ~! 相手の人は、どうか頑張ってください! 私は一切頑張りません!)
相変わらず清々しいまでのヤル気のなさで、槍を手にして開始戦に立つ明日香ちゃん。だが彼は全然気付いていない。
1回戦で対戦した勇者以上に強い相手は、このトーナメントに參加していない! その証拠に、本日の相手はCクラスの生徒であった。
こんな簡単な話は誰でもちょっと考えれば思いつくはずだが、日々をホンワカと生きている明日香ちゃんには全く無縁の話であった。というよりも最初から負けるつもりなので、相手が誰でも関係がなかったというべきかもしれない。
「試合開始!」
剣を手にする相手が前に出てくる。明日香ちゃんは特にきを見せないままで、相手の出方を窺っている。負けたいけど痛いのは嫌なので、どうにか痛くないように負けたいのだ。
カキン!
剣と槍がぶつかり合う音が響く。だが最初の槍から伝わる手応えに、明日香ちゃんは違和をじている。
(なんだかおかしいですねぇ。手応えがずいぶん軽いような気がします。そうだ! 槍に當たる手応えが弱いということは、痛くないってことですね! よーし、負けるぞぉぉ!)
変に気合がる明日香ちゃんであった。
カキン!
再び相手が踏み込んで剣を槍の穂先にぶつけてくる。何とか明日香ちゃんの槍を橫に弾いて、懐に飛び込もうという意図で牽制してくる。だが明日香ちゃんが握っている槍は、ほとんどブレなかった。飛び込むタイミングがなかなか見つからない相手は、慎重になって明日香ちゃんの出方を窺う様子だ。
(早くガンガン來ないんですか? しょうがないから、こっちからちょっと打ち掛かってみましょうか)
明日香ちゃんは、槍を握る手にちょっとだけ力を加えると、やや斜めに剣の腹を叩く。そう、それはほんの軽いつもりであった。
ガキーン!
相手の剣が大きく弾かれる。両手で持っていた剣がすっぽ抜けて、彼方に飛んでいった。たった一撃で相手は得を失っている。
「參りました!」
「それまでぇぇ! 勝者、赤!」
「ええぇぇぇぇぇぇぇ!」
明日香ちゃんとしては、相手をかすために剣をちょっと突っついただけであった。まさか相手の手から剣が吹っ飛んでいくなんて完全に想定外だ。
しかし、これで勝敗が決してしまった。また勝ってしまった明日香ちゃんのほうが、逆に呆然としている。
「勝ちたくなかったのに、なんで勝ってしまうんでしょうか?」
獨り言を呟く明日香ちゃん、その肩が今日もガックリと下がっている。
そのまま憮然として控え室へと戻っていく明日香ちゃんであった。
最後までお付き合いいただいてありがとうございました。この続きは日曜日に投稿します。
昨日投稿を休んだにも拘らず、たくさんの方々に閲覧いただいて本日の順位は30位臺… もしかして明日香ちゃんの人気が発か?
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