《異世界から日本に帰ってきたけど、やっぱりダンジョンにりたい! えっ、18歳未満は止だって? だったらひとまずは、魔法學院に通ってパーティーメンバーを育しようか》73 模擬戦を終えたグダグダ
タイトル通りグダグダな容です。いわずと知れた明日香ちゃんが……
想をお寄せいただいて、ありがとうございました。
決勝戦が終わって、スタンドで観戦していた生徒たちは、全員白目を剝いて放心狀態にある。
だがその中でようやく鈴が意識を取り戻した。いの一番に彼が素面に戻ったのは、ステータス上の神力の高さによるものであろう。彼はフィールドとスタンドをグルリと見回して、今何が起きたのか自らの記憶を手繰る。
(一何だったのかしら? 人類の常識を覆すような戦いを見たような気がするんだけど、全然思い出せないのよね……)
兄妹の間で繰り広げられた模擬戦…… その最中に発生した連続した発音と濛々と立ち上がる土煙、飛びう真空刃と衝撃波、あまりにも在りえない規模の戦いを理解すること自、鈴の神が拒否しているのであった。
彼がフィールドに目をやると、妹が兄に向って何か指図をしているようだ。よく見ると、地面のあちこちにクレーターが出來上がっており、頭を掻きながらその大を魔法で埋め戻している兄の姿がある。未だに靄がかかったような鈴の頭は、何をしているんだろうかとボンヤリと考えながらその景を眺めている。
「鈴さん、今何があったんでしょうか?」
不意に橫から掛けられた聲に鈴が顔を向けると、カレンがようやく現実に帰ってきた表で自分を見ている。
「私も全然思い出せないの。なんかとっても恐ろしい景が繰り広げられた気がするんだけど、はっきりと思い出せないのよ…」
こうして二人とも何があったのかと、顔を見合わせて考え込むのであった。
この二人をもってしてもこの有様なので、他の生徒は模擬戦の決勝に関して全く記憶が殘っていないのは言うまでもないだろう。
◇◇◇◇◇
同じ頃、子寮の自室では晝寢をしていた明日香ちゃんが目を覚ました。
「ふあ~… よく寢ましたぁぁ! お晝ご飯の後にグッスリ寢ると、とっても気持ちがいいですねぇ! 今から外に出てもまだ暑いですから、エアコンが利いているお部屋でこのままゴロゴロしていましょう!」
明日香ちゃんはマンガ本を取り出して読み始める。この後に模擬戦週間の表彰式があるなんて、これぽっちも気が付いていなかった。模擬戦などすでに記憶の彼方に葬り去っている明日香ちゃんにとっては、そんなイベントなどどうでもいい些細な問題のようだ。
あまりにマイペース過ぎる明日香ちゃん、どうかもうちょっとだけ周囲に合わせようよ! まあ、知ってたんだけど……
こうして明日香ちゃんは、表彰式にも參加せずに自室でグダグダした時間を楽しむのだった。
◇◇◇◇◇
話を決勝戦の會場に戻す。
鈴とカレンに數分遅れて我に返った他の生徒たちが何事があったのかと首を捻っている中で、兄妹はすっかりフィールドのデコボコを修復し終わっていた。
「まったく! お兄様は地面に向けて斬撃を放つから、フィールドが酷いことになりましたよ!」
「まあ、そう言うなよ! こうして、何とか平らにしたんだから」
確かに地面は平らにならされてはいるが、捲れ上がったり吹き飛ばされた芝生は剝げたままだ。周辺の鮮やかな緑に比べて、中央付近は土の剝き出しの地面が目立つ。
「ただいまから、模擬戦週間上位賞者の表彰式を行います。各學年トーナメントベスト4に殘った生徒と、全學年トーナメント決勝に殘った生徒ははフィールドに整列してください」
魔法部門と近接戦闘部門の賞者と、全學年トーナメントの決勝に進出した兄妹がフィールドに並ぶ。
副學院長から記念のメダルが手渡されるセレモニーが開始されるが、1年生の近接戦闘部門優勝者の段になってマイクで呼び出されたのは……
「1年近接戦闘部門優勝、二宮明日香」
誰も副校長の前に出てこない… 本人は何も気付かずに自室でゴロゴロしている真っ最中だ。
「お兄様、大変です! 明日香ちゃんはまだ部屋でヤサグレて出てきません!」
「どうしようか?」
「と、取り敢えず、病気ということにしましょう!」
「そうだな… 鈴、すまないが言い訳をしてくれるか」
「仕方がないわね… 教、二宮さんは調不良で部屋で休んでいます」
副會長の申し出に、副學院長もそれは仕方がないという表で頷いている。Eクラスので決勝戦まで激戦を戦い抜いた疲労が出ているのだろうと、好意的に解釈しているのだった。本當は単にサボっているだけなのに……
仕方がないので、鈴が明日香ちゃんに代わって記念のメダルをけ取って、表彰式はそのまま流れていった。
そしていよいよ全學年トーナメントの優勝者である桜の番となる。
「全學年トーナメント近接戦闘部門優勝者、1年Eクラス、楢崎桜」
「はい」
なんとなく納得できないような微妙な雰囲気の拍車に包まれて、桜がメダルをけ取る。
こうして史上初となる1年生の優勝者が誕生した記念すべき大會となった模擬戦週間は幕を閉じるのだった。どうにも最後まで締まらないままであったのは、かしようのない事実であったが……
◇◇◇◇◇
表彰式が終わると、聡史たちは特待生寮に集まってひと時の憩いの時間を過ごしている。2週間前に開幕した模擬戦週間でずっと出ずっぱりだった鈴やカレンも、山場終わったかのようなホッとした表で飲みを口にしている。
ちょうどそこに、桜のスマホが著信を告げる音が……
「もしもし、誰かと思ったら明日香ちゃんですか」
「桜ちゃん! 今どこにいるんですか?」
「私たちの部屋でくつろいでいるところですよ」
「すぐに行きます!」
今日の午前中まではずいぶんと機嫌を損ねてヤサグレていた明日香ちゃんだったが、電話の聲はなんだかご機嫌な様子だ。元々立ち直りが早い格なので、ケロッとして過ぎ去ったことを忘れているのだろう。
數分後部屋のドアフォンが鳴る。桜がドアを開くと、そこには明日香ちゃんが立っている。もちろん食堂のデザートをテークアウトしたビニール袋を手にしている。明日香ちゃんがオヤツを忘れるなんて、天と地が引っ繰り返ってもあり得ない話だ。
「皆さんお揃いですねぇ~! いやいや、私もすっかり元気になりましたよ!」
清々しい顔で明日香ちゃんは挨拶をしているが、部屋で待っていた聡史、鈴、カレンの三人は、ああそうですか的なやや冷めた表を向けている。元々は元気で単に拗ねていただけなので、誰も明日香ちゃんの心配などしていない。
そんな空気を全く読まずに、いそいそと自分が買ってきたデザートを取り出しては口にし始める明日香ちゃん! 一同の注目を浴びているなど気にもしないで、夢中になってチョコレートパフェを食べている。
チョコレートパフェが半ばなくなりかけたところで、鈴がようやく口を開く。
「明日香ちゃん、模擬戦の表彰式があって、優勝のメダルを代わりにけ取ったから、これを渡しておくわね」
「優勝のメダル? 何ですか、それは?」
テーブルに置かれたメダルを見て、明日香ちゃんは不思議な表を浮かべている。表彰式の存在すら気付いていなかったのだから、記念のメダルなんて頭の片隅にもなかった。
「明日香ちゃん! せっかくの記念ですから大事に保管しておくんですよ!」
「ええ! こんなものをもらっても、全然嬉しくないですよ~!」
誰もが羨む優勝の記念メダルを、明日香ちゃんは『嬉しくない』の一言で片付けている。真の大とは、もしかしたらこういうものかもしれない! 桜が『こいつは下手をするとゴミ箱に捨てかねない』と危懼して注意をしたものの、それでもなおかつ明日香ちゃんは雑に扱いそうな予がする。
何とか明日香ちゃんを納得させてメダルの件を終えた五人の間では、今後の話に話題が移っていく。
「來週から通常通りの授業の戻るのね」
「そうすねぇ、鈴ちゃん! しばらく本格的な訓練が中斷されていましたから、來週からビシビシシゴきますよ!」
「ええ! 桜ちゃん! 適當にやっていきましょうよ! 私もトーナメントで優勝したし、実力がついてきた証ですよ!」
「こんなところだけ優勝の話を持ち出す気ですかぁぁぁ! さっきまで優勝なんかどうでもいい! って言切っていたでしょうがぁぁぁ!」
明日香ちゃんが桜から思いっきり突っ込まれている。ここまで自分に都合よく考えられるとは、明日香ちゃんのご都合主義があまりにも清々しすぎる!
このままでは本當に明日香ちゃんがダメになりそうな予が…… 仕方がないから聡史が間にる。
「これからダンジョンのさらに下の階層に潛っていくことを考えると、さらに力を高める必要があるぞ。10階層から下は、どんな魔が出てくるか定かではないからな」
「そうですよ、明日香ちゃん! お兄様が言う通りです! まだまだダンジョンを攻略するには力不足ですからね!」
「はぁ~… しょうがないですね~…」
明日香ちゃんは、ため息をつきながら諦めた表を浮かべている。誰でもない、この學院に學を決めたのは自分である。冒険者を目指すのなら、ダンジョンの攻略を最終目的にするのは當然だ。もちろん本人の実力によって、ダンジョン部のどこまで進めるかは個人差があるだろう。だが高い目的を掲げることも當然必要となる。するとここでカレンが……
「10月には八校戦もありますし、もっとレベルアップしないといけないですよね!」
「そうでした! カレンさんの言う通りです! ですからもっとビシビシいきますよ~!」
カレンの発言に乗っかった桜が話を元に戻す。実は桜としては、パーティーメンバーを鍛えてダンジョンの下の階層に早く行きたいと、かに企んでいるのだ。
「桜ちゃん! それではこうしましょう! これからカレンさんを中心に鍛えて、私はマイペースでやります!」
「何がマイペースですかぁぁぁ! 放置しておいたら明日香ちゃんは何もしないじゃないですかぁぁぁ! それから、明日香ちゃんも八校戦に出るんですからね!」
「ええええ! なんで私が出るんですかぁぁぁ! そんな話は、全然聞いていません!」
「トーナメントを優勝しておいて、出場しないなんて有り得ません! 明日香ちゃんも出場するんですよ!」
「ええ! 嫌ですよ~!」
相変わらず明日香ちゃんは渋っている。せっかく模擬戦が終わったのに、そんな大會など出たくないのが本音であった。だが、桜は……
「いいんですか、明日香ちゃん? 今年の八校戦は大阪で開催されます。大阪には、こんなご當地スイーツがあるんですよ~!」
スマホを開いた桜、その畫面には魅のスイーツの數々が並んでいる。明日香ちゃんの目がハートマークになって、畫面に釘付けのままだ。そして……
「行きます! 絶対に行きます! むしろ今からすぐに向かいたいです! 桜ちゃん、大阪は食い倒れの街です! 倒れるまで甘いものを食べ盡くしましょう!」
クルッと手の平返しの明日香ちゃん、ご褒がぶら下がると俄然ヤル気になるのは周知の事実! 両の瞳から赤々と燃え上がる炎を上げながらコブシを握り締める明日香ちゃんは、さらに言葉を続ける。
「八校戦なんかすぐに負ければいいんですよ! そのあとはスイーツ巡り放題ですぅぅぅ!」
「また負ける気で臨むんですかぁぁぁ!」
毎度お馴染み、桜の突っ込みが特待生寮に響き渡るのであった。
最後までお付き合いいただいてありがとうございました。この続きは日曜日に投稿します。
本日の順位は40位臺… 昨日投稿を休んで影響か? やや順位を落としていますが、引き続きランキング浮上を目指して、面白く読んでいただける容をお屆けできるようにして頑張る所存です。
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