《異世界から日本に帰ってきたけど、やっぱりダンジョンにりたい! えっ、18歳未満は止だって? だったらひとまずは、魔法學院に通ってパーティーメンバーを育しようか》75 再び隠し通路
予告では本日お休みの予定でしたが、なんとか時間が取れましたので、出來立ての75話をお屆けいたします。
6階層にできた隠し通路と思しき個所にり込んでいく桜、他の三人も仕方なしにその後についていく。通路は思いのほか短くて、約20メートル進むと大きな扉が彼たちの目の前に現れる。
「桜ちゃん! いかにも危険なニオイが立ち込めていますよ! こんな扉の中にると、碌な目に遭わない気がします!」
「明日香ちゃんは、相変わらず気が小さいですねぇ~! せっかく発見したんですから、中を調べてみるのが冒険者というものですよ!」
不安げな明日香ちゃんに対して、桜は自信満々で扉の前に立っている。鈴とカレンも明日香ちゃん同様に不安な表を浮かべているが、桜は一向に躊躇する様子はない。
「それでは中にってみますよ!」
桜が扉に両手を掛けて一気に押し開くと部はガランとした空間で、最奧にただ一つだけ木製の寶箱が置かれているだけであった。
「危険がなくて良かったです!」
「明日香ちゃん! まだまだ油斷はですよ!」
桜が単獨で寶箱に近づいて、何か怪しい點はないかと調べ始めていく。箱の側面や上部を叩いたり、耳を當てて部から異音が聞こえてこないか確認する。そして……
「どうやらこの寶箱はちょっとおかしいですね。迂闊に開けると罠が仕掛けられている可能があります!」
數多のダンジョンを制覇した経験からか、桜が三人に振り向きながらドヤ顔で調査結果を説明し始める。
その時! 誰も手をれてない寶箱の蓋がわずかに開いて、桜の手に噛み付こうと口を開いた!
「桜ちゃん! 後ろ後ろ!」
鈴が寶箱のきに気が付いて桜に注意する。だがその時には、寶箱は元通りに蓋を閉じてじっとその場に留まっている。
「鈴ちゃんは大袈裟ですねぇ! ほら、こちらから手を出さなければ大丈夫ですよ!」
桜が振り向くと、寶箱はき一つしないでそのまま床に置かれてじっとしている。桜はその蓋をポンポン叩きながら、大丈夫だと自信ありげな顔で三人を見ている。
「みなさん! こういう怪しい寶箱は、しばらく様子見するのが肝心ですよ!」
再び桜が三人に向き合うと、寶箱は蓋をわずかに持ち上げる。
「桜ちゃん! 後ろですぅぅ!」
明日香ちゃんの聲に桜が振り向くと、寶箱は蓋をピッタリ閉じて元の姿で何の変哲もなくその場に佇んでいるだけだ。
「明日香ちゃん! そんなにビビる必要はないですよ! ほれこの通り、刺激しないければ何もしてきませんから!」
桜は一向に気にした素振りも見せずに、箱をポンポン叩いている。寶箱から目をそらして、三人に向かってニコニコ笑っているだけだ。
「桜ちゃん! ほら! 蓋が!」
「カレンさん! 大袈裟ですねぇ~! 大丈夫ですよ!」
桜が振り向くと、寶箱はピッタリと蓋を閉じる。
「ほらね! 何の異常もありませんから!」
「桜ちゃん! そんなことを言っている場合じゃないから~! 後ろ! 後ろだってば!」
クルっと桜が振り向くと、寶箱はじろぎもせずにそこにある。
「鈴ちゃん! この通り何も危険はありませんよ!」
再び桜は寶箱に背を向ける。だが今度は……
「桜ちゃん! 手がぁぁ!」
「明日香ちゃん! 何を言っているんですか? ほれこの通り…… なんじゃこりゃぁぁぁぁ!」
桜の左手に寶箱が噛み付いていた。オリハルコンの小手に覆われている手首の部分にパックリと口を開けて兇暴な牙を剝き出しにして噛み付いている狀況に、桜は漸く気が付いた。
だが桜は、ここで一旦気を取り直す。
「このように寶箱には罠が仕掛けられている場合がありますから、皆さんどうか気を付けてください!」
「説得力がないからぁぁぁぁ!」
「手に噛み付かれたままで、そんなことを言われても……」
「は、早く何とかしたほうがいいんじゃないですか?」
敢えてニコやかな表で解説する桜に、三人から突っ込みが集中する。寶箱に噛み付かれた狀態で何をそんな余裕を持っているんだと、逆に三人のほうが慌てているのであった。
「これはミミックといって、寶箱に住み著く魔ですね。箱を壊せば問題なく討伐可能です!」
桜は寶箱に噛み付かれている左手を、思いっ切り壁に叩き付ける。
グシャーーン!
木製の寶箱は、勢いよく壁にぶつかって々に砕け散った。ミミックは箱を壊されてそのまま絶命する。
「こんなじでミミックを討伐できますから、皆さんは覚えておいてください!」
「誰がやるかぁぁぁ!」
「なんで腕一本差し出さないといけないんですかぁぁぁ!」
「怪しいと思ったら、先に箱を壊せばいいんじゃないでしょうか?」
鈴と明日香ちゃんは再び桜に突っ込んでいるが、カレンは冷靜な意見を述べている。
「そうですね! カレンさんの意見を採用しましょう! これからは、怪しいと思ったら箱ごと壊してしまいましょうか!」
「桜ちゃん、今までどうやっていたんですか?」
「明日香ちゃん! よくぞ聞いてくれましたよ! 今まではわざと隙を見せて、食い付かせていました!」
「そこまでを張る必要はないんじゃないですか?」
「そ、そうですね、言われてみれば確かに…… 今回は皆さんに例をお見せするために、わざとやってみたんですよ! その點は覚えておいてください!」
あくまでもわざとやったと強弁する桜に対して、三人からジトーっとした視線が集まっている。先程までの自信満々な態度とは打って変わって、桜の視線が泳ぎまくっている。水飛沫を盛大に上げてバタフライで遠くまで泳ぎ去っていくかのように、遙か彼方に視線をさ迷わせているのだった。
ここで明日香ちゃんがハッとした表に変わる。
「桜ちゃん! 5階層のボス部屋の前で私の失敗を大笑いしてくれましたよね! 今回の失敗をいつか嘲笑ってあげますから!」
「明日香ちゃんは大きな誤解をしています! これは、皆さんにお見せするためにわざとやったという點を、どうかしっかりと理解してください!」
「失敗だったんですよね?」
「見本です!」
「やっちまったんですよね?」
「見本ですから、どうか安心してください!」
明日香ちゃんの追及にも、桜は頑として首を縦に振らない。このまま有耶無耶にしてこの件はなかったことにするつもりだ。
「さて、邪魔なミミックは片付けましたから、お寶を探しましょう!」
「桜ちゃん! この部屋には何もないですよ?」
「明日香ちゃん! 一見何もない場所にお寶が隠されているんですよ! ちょっと調べてみますから、待っていてください」
話題の転換に功した桜は、壁や床を調べだす。その結果、壁のとある部分に1つだけ違いのレンガがあった。桜のドヤ顔が鮮やかに復活する。これ以上ないほどにを張って、違いにレンガを指差している。
「このレンガをこうやって押すと、お寶が……」
レンガを壁の奧に向かって押し込む桜の手に、カキンという手応えが伝わった。そして完全に壁の部にレンガが姿を消すと……
「さ、桜ちゃん! なんだか魔がいっぱい湧き出してきましたぁぁぁ!」
「桜ちゃん! どうすればいいのよぉぉぉ!」
明日香ちゃんと鈴は大慌てだが、カレンだけは冷靜に神聖魔法の発を準備している。
「これはこれは! こんな淺い階層でミノタウロスが出てきましたよ! こいつらは伊豆の旅行で食べたステーキよりも高級なをドロップしてくれますよ~!」
「そんなに落ち著いていないで、早く倒してください!」
明日香ちゃんの切羽詰まった聲が響く。いきなり現れた人牛頭の10以上のミノタウロスに、相當ビビっているのだった。だが明日香ちゃんの態度を誰も笑えない。そもそもミノタウロスは異世界ではAランクに相當する魔で、ダンジョンの20階層から下でしか登場しないのだ。
「鈴ちゃん! 今こそ闇魔法です! 一気に倒してください! カレンさんは追撃の準備をしてください!」
「わ、わかったわ! 全てを焼き盡くす闇の炎を食らってみなさい! ダークフレイム!」
鈴の右手から黒い炎が迸っていく。あたかも火炎放のように、迫りくるミノタウロスに向かってダークフレイムが飛んでいく。
「イギャァァァァァ!」
剣や斧を振り上げてズシズシと床を踏みしめて歩いていたミノタウロスたちは、あっという間に黒い炎に巻かれてを焼かれる熱さに悶えしながら倒れていく。普通の炎とは違って、闇をまとった炎は対象を燃やし盡くすまで止むことがない。
やがてフロアーには、消し炭になったミノタウロスの殘骸が転がっているだけとなる。だが……
「ウガァァァァ!」
1だけ、鈴の魔法から逃れたミノタウロスが殘っていた。巨大な斧を振り上げてこちらに向かってくる。
「ホーリーアロー!」
そこへカレンの魔法が飛び出していく。
ドドドゴーーン!
カレンの魔法が炸裂して、ミノタウロスの上半は吹き飛ばされていた。わずか2発の魔法でAランクの魔10以上を仕留めたのだから、この鈴とカレンの魔法は相當なレベルといえよう。これだけ高レベルの魔を倒すと、當然大量の経験値を獲得できる。その結果、鈴と明日香ちゃんが1ランク、カレンが2ランクレベルが上昇した。
「鈴ちゃんとカレンさんの魔法はさすがですね! どうやらこれで罠もお仕舞のようです!」
桜が言い終わると、ちょうどそのタイミングで寶箱が出現する。どうやらこれは本のようだ。
いつもよりも慎重に、桜が寶箱の安全を確かめている。やはり先程のミミックの出現を気にしているようだ。
「桜ちゃん! やっぱりさっきのは失敗だったんですね! 今回はずいぶん慎重になっているじゃないですか!」
「明日香ちゃんは何の話をしているの、かよくわかりません! 私はいつでも慎重ですよ!」
ジトーっとした視線再び! 桜の目も彼方に向かって泳ぎだす。鬼の首を取ったかのような表の明日香ちゃんがそこにいる!
だが今回は無事に寶箱は開いて、中からは赤い魔石が取り付けられてある指が出てきた。
「どうやらマジックアイテムのようですね。私は詳しくないので、お兄様に見てもらいましょう」
「桜ちゃん! 聡史君が話していたけど、赤い石を用いたマジックアイテムは、火屬に対応しているそうよ。千里ちゃんにあげたら、彼は魔法スキルを獲得できるかもしれないわね」
「鈴ちゃん、そうなんですか! ますますお兄様に見てもらう必要がありそうですね。これは私が預かっておきます」
こうしてお寶をゲットした桜たちは、床に散らばっているドロップアイテムを拾い集める。超高級をゲットした桜はホクホク顔で20キロもありそうなブロックを拾い集めている。そのほかにも、大剣や斧などといったミノタウロスが手にしていた武まで落ちているから、これは相當な買取額になりそうだ。
こうして隠し通路の攻略が終わって、桜たちは扉から出て通路へと戻っていく。再び6階層に戻ってからは魔狩りをしばらく続けて、この日のダンジョン探索を終えるのであった。
この続きは水曜日にお屆けいたします。どうぞお楽しみに!
昨日は投稿を休んだ影響で、本日の順位は50位臺に落ち込んでいる。ちょっと悲しい……
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