《異世界から日本に帰ってきたけど、やっぱりダンジョンにりたい! えっ、18歳未満は止だって? だったらひとまずは、魔法學院に通ってパーティーメンバーを育しようか》76 監視の目
前半は、學院とは全く別の切り口からの話になります。
ここでちょっと日本以外の各國のダンジョンに関する狀況を述べておきたい。
世界中にできたダンジョンに対して各國政府の対応はまちまちであった。
ヨーロッパの各國は概ね日本と同様に政府がダンジョンの管理に積極的に関與しているのに対して、アメリカでは民間に全てのダンジョンが開放されており、管理自を民間団が行っている。それだけではなくて、魔石やドロップアイテムの有用が日本よりもはるかに高く評価されているので、オークの魔石1つが30ドルで売買されている。最近ではドロップアイテムの取引所まで開設されており、活発な取引きが行われるとともに価格が急騰しているという聲も聞こえてくる。
このような背景からアメリカのことに貧困層の出の若者は、挙ってダンジョンにって一獲千金を目指すのがブームとなっている。1日にちょっとした魔石を2、3個手にれれば十分生活できるだけでなくて、寶箱でも発見しようものなら大金が手にるとあって、新たなアメリカンドリームと呼ばれている。
南米では、今まではサッカー選手を目指していた大勢の若者が、現金収を求めて皆ダンジョンにるために、ここ最近サッカー選手のレベルが下がったと嘆くファンが出ているらしい。だが、若者の多くが収を得る手立てを見い出したおかげで、違法薬の取引や犯罪に走る人間が減って治安が良くなったという効果を上げている。
アフリカでは、ダンジョンの管理をする権利を得た歐米企業が多數進出して、現地の人間を雇ってドロップアイテムを回収しては自國に輸出するきが始まっている。現地の労働者は安い賃金で酷使されており、人権団から批判が集まっているという報道がなされている。
途上國では様々な問題を孕みながらも、世界各國ではダンジョンとの共存を目指して平和的に管理しながらドロップアイテムを資源として有効利用していくきが進んでいる。
だがこのような世界のきに背を向けて、まったく別の目的でダンジョンが産出する資源を用いようと考える國家が存在する。
それは中國とロシアの2國であった。両國ともダンジョンから産出される資の軍事転用を畫策しており、魔力を兵に生かす研究を活発に行っているのであった。
現狀では、このように世界全ではダンジョンに関する考え方はけっして一枚巖ではない。ことに中の2國の態度は國際的な非難を浴びているのであった。
◇◇◇◇◇
ここは東京にあるロシア大使館、外を司る正規の政府機関であるとともに、日本國の様々な報を収集する部署も同時に存在している建だ。その部の、主に諜報や工作活を専門に行っている部署に本國からとある指令が屆いた。
「ワレンコ室長、本國からの指令です!」
「どんな容だね?」
「先日本國に送った魔法學院の生徒に関する指示です」
魔法學院に関する報は自衛隊及び政府が掌握しており、一般には公開されていない。だがロシア大使館に置かれているこの組織は、日本政府の部に潛む協力者から模擬戦の全試合が詳細に記録されたディスクを手していた。
そして全學年トーナメントの決勝で繰り広げられた聡史と桜のプロレスは、彼らの興味を引くには十分な容であった。人間でありながらあれだけの威力がある発を引き起こす能力は、魔法を戦兵の一部として活用する研究をしていくには十分な容と判斷されていた。
「ワレンコ室長、より的な本國からの指令では、魔法學院の例の2名を我がロシアに招聘しろという容です」
「ふむ、相手は未年だな。仮に渉するとしたら、相手は両親か」
「その件に関しても指令が來ております。手段を選ばずに連れて來いとあります」
「相當強な指令を出してきたな。本國はどうあってもあの2名を手にれたいと考えているのか」
「そのようです。ですが仮に拉致するにしても、相當な困難が伴うであろうと考えます」
「そうだろうな… 何しろ相手は、個人であれだけの威力が出せる魔法使いだ。生半可な手段では、こちらが全滅する可能すら考えられる。ところで中國はき出しているのか?」
「まだ報がありませんが、我々のきを察知すれば必ずき出すものと思われます」
「そうか… では、奴らに先に手を出してもらおうか。その結果を見てからこちらが行しても十分間に合うだろう」
「中國に先を越されませんか?」
「安心したまえ、あの連中の暴な方法では必ず失敗する。我らは中國の工作員を監視していれば自ずと結論が出る」
「中國が失敗すれば、本國も諦めるということでしょうか?」
「まあ、そうだな。火中の栗を拾うのは中國の役目だよ。この場は連中のお手並みを拝見しようか。まあ、大ヤケドは間違いないだろうがな」
ニンマリとした笑いを浮かべながら、ワレンコは何かを企む様子であった。
◇◇◇◇◇
ロシア大使館のワレンコ室長の読み通り、中國の諜報機関はすでにきを開始していた。
魔法學院と大山ダンジョンが一できる市街地にある高層マンションの一室を借り上げて、そこに遠レンズ付きのビデオカメラを據え付けて、聡史たちのきを監視している。
「相手は高々高校生だろう。なんでわざわざ拉致する必要があるんだ?」
「特別な能力を持っているからに決まっているだろう! それよりも學院にいる間はこちらも手を出せないから、奴らが外に出た機會を絶対に逃すんじゃないぞ!」
「わかったよ! 々監視しておくから、実行部隊との連絡は任せるぞ」
中國の工作員は、こうしてマンションの最上階から24時間制で聡史たちのきを監視するのであった。
◇◇◇◇◇
模擬戦週間が終わって1週間が経過した。
そして迎えた最初の土曜日、聡史は待ち合わせのために學院の正門に立っている。今日はブルーホライズンとデートの約束をしている日であった。朝の9時に待ち合わせの約束だが、聡史は律義に15分前にこの場にやってきて子たち五人を待っている。
今朝特待生寮を出る時に、聡史は桜から々と言い含められて送り出されていた。
「お兄様が、の子とデートだなんて…… こんな日が來るとは思いませんでした! 私が見立てた服がバッチリ決まっていますから、安心してください!」
「デートって、相手はブルーホライズンの五人だぞ! ダンジョンと一緒で、俺は引率者の心境だ!」
「いいじゃありませんか! お兄様が最も苦手とする子の心理をしっかりと學習してきてください! それから、待ち合わせの時の最初の一言は、絶対にあの子たちの服を譽めるんですよ! みんな気合をれて服を選んだに決まっていますから、その努力を認めてあげてください!」
「そんな簡単に褒める言葉ないか浮かばないぞ! 一どうすればいいんだ?」
「仕方がありませんねぇ~! かくかくしかじか……」
「わ、わかった! 何とかしよう」
「それから、鈴ちゃん、明日香ちゃん、カレンさんの三人は私がダンジョンに連れ出しますから、どうぞご安心を!」
「どういう意味だ?」
「々と口うるさい外野は私が押さえておきますから、お兄様は今日一日楽しんでくればいいんですよ!」
実によくできた妹と不用でニブチンの兄であった。鈴とカレンが聞きつければ、必ず大騒が起きるであろうという懸念を桜が未然に防ごうと言っているのだ。なんという心遣いであろうか! これぞまさに妹の鏡だ!
とまあ朝のひと時、このような兄妹の會話がわされたのであった。
聡史が正門でしばらく待っていると、こちらにやってくる人影が目にってくる。ジーンズにTシャツという飾り気のないラフな服裝でやってきたのは晴であった、
「師匠~!」
聡史の姿を遠目に発見した晴は、全力ダッシュで駆けてくる。レベルが上昇したおかげで相當な速さだ。今なら子の日本記録に挑めるだろう。
「師匠! お待たせしました! 楽しみすぎて朝の5時に目が覚めて、暇だから筋トレしていました!」
「晴らしいな。それにしてもその服は普段からこんなじなのか?」
「きやすさが一番重要ですからね! こんなじの服しかもっていないっス!」
さすがは脳筋、この娘はオシャレという概念を持ち合わせていないようだ。だが聡史は必ず子の服を譽めろと、桜から固く言いつけられている。
「そうなのか! 俺と一緒だな。きやすさ重視というのは俺の服選びの第一條件だ」
「さすがは師匠だぜ! 服のセンスが一緒ということは、もしかしたら赤い糸で結ばれているんじゃないのかな?」
「なんだ? その赤い糸というのは?」
「何でもないっス!」
赤い糸の意味は聡史に伝わらなかったものの、服の趣味が同じというだけで晴は上機嫌になっている。聡史にしてみれば、脳筋の妹がいる分だけ晴は子としては扱いやすい部類に屬するかもしれない。
続いては、絵がやってくる。彼は昨夜から迷いに迷い抜いた挙句に、ブラウスと膝上10センチのミニスカートというコーディネートに落ち著いた。肩からは小さなポシェットをぶら下げている。
「師匠! お待たせしました」
「おお! 絵はの子らしい服だな。制服と合いが違うだけでずいぶん印象が変わるな」
「えへへへ… 師匠とのデートだから々迷いましたけど、著慣れている服がいいかなって……」
「似合っていていいじだぞ!」
聡史、グッドジョブ! 絵は顔を真っ赤にしてクタクタと晴にもたれ掛かっている。訓練やダンジョンでの活の際には聡史から中々褒めてもらえないだけに、こうして面と向かって『似合っている』と言われてデレデレになっているのだった。
三人目にやってきたのは渚だった。スラリとした形に合わせて、黒のスキニージーンズとパンプスの組み合わせに、グレーのキャミソールの上からクリームのサマーセーターを羽織っている。
「師匠! 早かったんですね! 私も余裕をもって寮を出たつもりだったんですが、お待たせしてすいません!」
「気にしなくていいから。それよりも渚はスタイルがいいんだな! 制服や演習ジャージではよくわからなかったけど、こうして私服になるとモデルみたいだぞ!」
聡史は事前に脳で組み立てていた文章を口にした。當然桜の協力を得たのは言うまでもない。だがこのセリフが渚にもたらした効果は絶大であった。
「そんなに褒めないでください。モデルだなんて……」
はい、摑みはオーケー! 渚は一番褒めてもらいたいツボをピンポイントで突かれて撃沈している。聡史の戦略がここまでは功を奏しているのだった。もちろん參謀の桜のの助言が効果絶大なのだが……
四人目はほのかであった。彼はメンバー中で一番小柄であり、服選びの際に中々合うサイズを見つけるのに苦労する。時には子供服から見繕わなければならなかった。だが今日は気合をれて、一杯大人っぽいコーディネートに挑んでいる。
「師匠! おはようございます!」
「ほのか、おはよう! 今日はずいぶん大人っぽい印象だな」
「師匠とのデートなので、ちょっと頑張りました!」
「いいじじゃないか! ちょっと年上に見えるぞ」
本當は小學校の高學年が背びしているように見えなくもないのだが、聡史から『年上に見える』と言われただけで、ほのかは舞い上がっている。普段実年齢よりも年下に見られがちの彼にとっては、とっても嬉しい一言であった。
そして最後にやってきたのは真であった。渚とちょっと被り気味のキャミソールにサマーセーターという組み合わせだが、わざとを強調した服を選んだ様子が窺える。カレンが特盛ドンブリ2杯に対して、真は大盛りドンブリ2杯の立派なプルンプルンをお持ちだ。クラスのオッパイ星人男子たちからも、実はかに目を付けられているだけのことはある。
「師匠! どうもお待たせしました。私が最後でしたね」
「えーと、真さんや…… その服裝は、俺に何を言わせたいんだ?」
「えっ?普段からこんな格好をしていますよ!」
他の子四人を敵に回しそうな真の一言であった。晴、絵、渚、ほのかの四人は、真に対してジトーっとした視線を送っている。羨とちょっとだけ同としての憎悪がり混じった複雑なであった。
「そのう… そ、そうだな…… 大変いいものを見させてもらって、ありがとうございました!」
「師匠ったら! 私のどこを見ているんですか?」
聡史の正直なぶっちゃけに対して、自分の両手でを隠しながらも真は満更でもない表をしている。自分のチャームポイントが聡史に伝わったと、彼なりに満足している様子だ。
こうして全員が揃ったので、最寄りのバス停まで歩いていく。本日は電車に乗って2つ目の結構賑わっている街で一日過ごす予定である。
この時點で、すでに監視の目が追い掛けているとも知らずに、聡史とブルーホライズンの五人はワイワイ盛り上がりながら學院の敷地の外へ出ていくのであった。
この続きは木曜日にお屆けいたします。どうぞお楽しみに!
本日の順位は30位臺…… もうちょっと上にいきたい!
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