《異世界から日本に帰ってきたけど、やっぱりダンジョンにりたい! えっ、18歳未満は止だって? だったらひとまずは、魔法學院に通ってパーティーメンバーを育しようか》78 新たな魔法使い誕生
忘れかけられているあの人に焦點が當たります。
生徒が出払ったEクラスの教室に、ただ一人殘って一心に神を集中している子生徒の姿がある。そこにいるのは、聡史に魔法の才能を見出された千里であった。
新學期が開始されてからここ數日間、千里は聡史たちやブルーホライズンがダンジョンに向かっている間もひたすら魔力循環に取り組んでいた。
模擬戦週間の初日に聡史から教えてもらって會得しただけに、絶対に期待を裏切らないように時間があればの隅々まで魔力を流している。次第に慣れてくると、に流れる魔力の存在がよりハッキリと自覚できるようになってきていた。
そしてついに……
「ヤッター! ついに魔法スキルが手にったぁぁぁ!」
ステータスのスキル欄に〔火屬魔法〕という待ちに待った文言が記載されたのだ。つまりこの日から千里は魔法の使用が可能になる実に記念すべき日であった。
一刻も早く聡史に報告したくて、千里はソワソワしながら帰りを待っている。午後はずっと教室にいたのだが、居ても立ってもいられずに午後4時半から學院の正門で聡史たちの姿を待ち続けていた。
千里が待つことかれこれ1時間以上が経過して、隣接するダンジョンから戻ってくる聡史たちの姿が遠くに見えてくる。ブルーホライズンのメンバーたちに取り囲まれているだけではなくて、左右からメンバーに腕を組まれて歩いてくる聡史の姿が千里の目に飛び込んでくる。
「まったくもう! 聡史さんはいつもモテモテなんだから~! でも私だって、絶対に負けないですから!」
心に固く誓っている千里の姿、どうやらここにも一人する乙が生まれているようだ。
ピョンピョン飛び跳ねながら千里が聡史に向かって手を振ると、聡史が軽く手を挙げて応える様子が伝わってくる。自分の存在に気付いてくれた聡史に、思わず千里の頬が緩む。
「聡史さん! ついにやりましたぁぁ! 火屬魔法のスキルを手にれましたぁぁ!」
まだだいぶ距離が離れているにも拘らず、千里は口に手を當てて大聲を上げている。どうやら聡史に伝わったようで、ブルーホライズンに一聲掛けると、こちらに向かって小走りでやってきてくれる。
「そうだったのか! 千里! よくやったな!」
「はい! 全部聡史さんのおかげです! 本當にありがとうございました」
小柄な千里は、上から聡史に頭をポンポンされて目を細めている。こうして聡史から認められるのは、何よりも今の彼にとっては嬉しい出來事であった。
「今日はもう時間が遅いから、さっそく明日から魔法の練習を始めようか」
「はい! どうぞよろしくお願いします!」
満面の笑みを湛える千里の表は、聡史にとって印象的であった。
◇◇◇◇◇
翌日の午前中、基礎実技の時間が終わると、聡史と鈴は千里を伴って第ゼロ演習室へと向かう。
「こんな場所があるんですねぇ~」
コンクリート打ちっ放しの質な雰囲気の演習場を千里は興味深そうに見回している。一般生徒は立ちりできない、この誰もいない場所を獨占的に使用可能な特待生の特権に、改めて心した目を向けているのだった。
「そうだった! 千里にはこの指を渡しておこう!」
「えっ! 指って……」
千里が戸った表を浮かべている。いきなり聡史から指を送られるという狀況に、どうしたらいいのか頭がパニックに陥っている。異から指を送られるなどという特別な経験をこの場で…… どういう顔をすればいいのかと、真っ赤な顔で俯いているだけだった。
「これは昨日ダンジョンの隠し部屋で発見した火屬魔法の行使をアシストしてくれる指よ。魔法の発がとても簡単になるから、ずっとに著けているといいわ」
だがここで、も蓋もない鈴からの説明がなされた。聡史の説明不足であらぬ誤解をしてしまった千里の顔が、ますます真っ赤になっている。
「それじゃあ、指に著けてみてくれ」
「はい、ありがとうございます」
千里はその指をけ取って右手に薬指に嵌める。左手に嵌める時は絶対に聡史の手から… などとこっそり妄想しているのであった。
赤く染まっていた千里の表が落ち著いてから、いよいよ魔法の練習が開始されていく。
式に関しては、鈴が解析した聡史流のファイアーボールが教え込まれた。もちろんその魔法式は日本語バージョンなので、すぐに頭にる。たったこれだけの魔法式を頭にイメージするだけで魔法が発するという事実に、初心者の千里はビックリ仰天であった。
「それじゃあ、あの的に向かって魔法を打ち出してみましょうか」
「はい、頑張ります!」
鈴からのレクチャーを終えた千里は、開始戦に立って的を見つめる。頭の中に魔法式をイメージすると、右手を前に突き出してハッキリした口調で魔法名を唱えた。
「ファイアボール!」
魔法スキルを得たばかりの千里にとって、初めて魔法を発するにあたっての不安があった。だが指がスムーズな発をアシストしてくれている。
ソフトボール大の炎のの塊は、狙い通りに的に向かって飛翔しく。
ドーン!
発の轟音と風が、様子を見守っている聡史の場所まで屆いてくる。最初にしては十分合格點をつけられる出來栄えであった。
「いいじで発で來たな! 魔力の殘量に注意しながら、何発か打ってみてくれ」
「はい! わかりました!」
その後も何発かファイアーボールを的に向かって放っていく。合計8発打ったところで、だいぶ魔力の殘量が心許なくなってきた。
「なんだかフラフラしてきました」
「魔力切れが近いな。これを飲むと回復するぞ」
聡史が手渡したのは、お馴染み凄い味のポーション… 數種類あるうちの魔力回復ポーションであった。何も知らない千里は、聡史からけ取った紙コップの中を一気に口にれた。
ゲホゲホゲホゲホ!
その耐え難い激マズの飲みに、顔をしかめながら咳き込んでいる千里の姿がある。彼にとっては、初の誰もが通る洗禮であった。
「千里はまだまだレベルが低いから、ひとまずはレベル10を目指そうか」
「ええええ! レベル10なんて今の私の2倍ですよ! 學してから5までしか上がっていないのに、そんな簡単に上がらないです!」
「まあその辺は大丈夫だから。そうだなぁ… 今日は桜や鈴と一緒にダンジョンにってみようか!」
「はあ……」
レベルに関してどうも今一つ納得いかない表を浮かべながら、午後から千里は桜たちと一緒にダンジョンへ向かうことが決定した。
◇◇◇◇◇
「それじゃあ、今日は千里ちゃんが一緒ですからね! いつものように張り切ってダンジョンに向かいましょう!」
ダンジョンへ向かう一行の先頭に立つ桜の聲が響いている。桜率いるパーティーとブルーホライズンの合同チームがゾロゾロとダンジョンに向かって歩いていく。
本日も聡史はブルーホライズンと一緒に2階層を回る予定だ。念のためにもう一度だけ聡史が付き添いを務めてみようということになっていた。これは主に、『聡史とできるだけ一緒にいたい!』というブルーホライズンの子たちの願が聞きれられた結果であった。
ダンジョンの2階層でいつものようにブルーホライズンと別れた桜たちは、何食わぬ顔で3階層へと降りていく。だが一人だけ、千里は不安げな表を浮かべる。
「あ、あの~… 本當に3階層に降りていくんですか?」
「ああ、そういえば千里ちゃんは下に降りるのは初めてでしたね! 今日は6階層まで行きます。進むペースが速くなりますから、頑張ってついてきてください!」
「ええええ! 6階層だなんて、危ないじゃないですかぁぁぁ!」
今まで1階層でゴブリンと戦った経験しかない千里にとっては、6階層など遙か彼方の都市伝説レベルのお話であった。そんな危険な場所に向かうと聞いて、彼の表が恐怖に歪んでいる。
「千里ちゃんは、細かいことを気にしなくていいですよ。今日は戦わずに、歩いているだけで簡単レベルアップですから!」
「そうですよ、千里ちゃん! 桜ちゃんが言う通りです! 6階層なんて、慣れてしまったら全然大したことないですから!」
「わ、わかりました。きっと大丈夫ですよね!」
桜に続いて明日香ちゃんまで、6階層恐れるべからずと被せてくる。鈴とカレンも當然といった表をしている様子からして、千里は周囲にノセられてしまったようだ。大丈夫なのだろうという安易な考えを抱いている。
だが、現実はそうそう甘くはなかった……
「キャァァァァ! オークが出てきましたぁぁぁぁ!」
「千里ちゃん! 慌てなくて大丈夫ですから! 明日香ちゃん、任せますよ!」
「はい、行きますよ~! えいっ!」
オークを槍の一突きで倒す明日香ちゃんを見て、千里は目を丸くしている。この時彼の脳にピコーンという音が響いて、ちょうどレベルアップと重なった。すでにこの日3回目のレベルアップを迎えた千里は、ますます目を丸くしている。
こうして6階層まで下りた一行は、普段通りにオーク狩りに汗を流す。今週の納ノルマが未達だけに、あと最低でも30のオークを倒さないといけないのであった。オークを倒すたびに千里のレベルがピコンピコン上昇しており、いつの間にかレベル10を超えて12まで上昇していた。
「よかったら千里ちゃんも、オーク狩りに參加してみますか?」
「ええええ! 私では邪魔をしてしまいそうですよぉぉ!」
首を振っている千里に対して、鈴がその背中を押す。
「千里ちゃんの魔法なら、確実にオークにダメージを與えられるわ! 自信をもってやってみなさい!」
鈴からこうまで言われると、千里もその気になってくる。
「もうすぐあの角からオークが出てきますから、魔法の準備をしてください!」
桜の気配察知が迫ってくるオークを捉えた。千里は張しながらも、頭の中に魔法式を思い浮かべる。
「オークよりも手前の床に向かって照準を定めるのよ。一撃で倒すんじゃなくって、ダメージを與えることに専念するの! まだ息があったら明日香ちゃんに任せればいいわ!」
「はい!」
張した面持ちではあるが、右手に発直前のファイアーボールを用意して待機する千里。彼の心臓は早鐘のように鳴り響いている。
「來ましたよ!」
「ファイアーボール!」
千里の手から放たれた炎は、狙い通りにオークの足元へ向かっていく。そして……
ドカーン!
「ブモォォォォ!」
オークの片足からはダラダラとが流れて、片膝をついている。すかさず明日香ちゃんがトライデントを構えて殺到していく。
「えいっ!」
バチバチバチ!
電流が流れてオークが絶命すると、桜、鈴、カレンが次々に千里に向かってハイタッチを求めてくる。
「とっても狙いがよかったわ! この調子で何回かやってみれば、次第に慣れていくから大丈夫よ!」
「ありがとうございます! 鈴さんのアドバイスのおかげです!」
「今ぐらいの魔法が打てれば、魔法使いとして一人前ですよ!」
桜も太鼓判を押す千里の魔法であった。魔法というのはセンスが大きく問われるのだが、どうやら千里の魔法センスはかなり上々のようであった。
これで自信がついた千里は、このあと5のオーク討伐に貢獻する。いずれも止めは明日香ちゃんに任せたものの、十分なダメージを與えている。オークに対してこれだけの威力を上げるのだから、ゴブリン相手なら一撃で討伐可能であろう。
こうして午後を6階層ですごして、結局千里はレベル14まで上昇してこの日のダンジョン探索を終えるのであった。
明日はお休みをいただいて、次回の投稿は土曜日を予定しています。どうぞお楽しみに!
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