《異世界から日本に帰ってきたけど、やっぱりダンジョンにりたい! えっ、18歳未満は止だって? だったらひとまずは、魔法學院に通ってパーティーメンバーを育しようか》83 八校戦に向けて

ダンジョン攻略は一段落して、秋の最大行事に向けて……

ダンジョンで起きた変化は學院生、殊に5階層を主戦場としている3年生の間で持ち切りの話題であった。

「おい、聞いたか? り口付近に発生した魔法陣で、あっという間に5階層まで移できるそうだ」

「俺が耳にしたところによると、どうやら5層刻みで転移可能らしい」

「便利になるよなぁ。今まで各階層を通り抜けないと5階層まで行けなかったのが、これからは直行できるなんて」

最も恩恵をける3年生は、諸手を挙げての歓迎ぶりであった。5階層で活する時間が延びるだけでなくて、活を終えたらすぐに1階層に戻れるのだから、力が続く限りギリギリまで粘れるようになった。その恩恵は計り知れない。

だが彼らには、如何なる理由でダンジョンの構造的な変化が起こったかは知らされてはいない。ダンジョン管理事務所は、聡史たちの20階層到達や階層ボスであるリッチの討伐などをいまだ明らかにはしていないのであった。

その理由はあまりに並み外れた聡史たちの活躍が明るみに出るのは好ましくないという、政府の意向が働いているのは言うまでもないだろう。すでに外國政府から聡史たちが狙われているという事実がある限り、彼らの活躍が表沙汰にされる可能は限りなく低い。

◇◇◇◇◇

9月の間中、聡史たちはダンジョンの6階層と11階層を中心に探索をしていた。6階層は桜が契約を結んでいる言わずと知れたオークの納で、日々必要量を確保するために必ず立ち寄っていた。

それから12階層のフィールドエリアであるが、広大なこのエリアを隅々まで探索するのには相當な時間が必要であり、聡史たちは時間をかけて丹念に回っていた。おかげでロングホーンブルのの在庫が積み上がっており、その処分のために桜は學生食堂と新たな契約を結ぶに至っている。

それだけならまだしも、森に生息している鳥の魔であるコカトリスも大量に討伐しており、こちらのも食堂に納が開始されているのであった。

このコカトリスのにはがあって、食べるだけでわずかずつではあるが魔力が上昇する効果が確認されており、學生たちの間では奪い合いになる大人気を博している。おかげで桜に舞い込む納量が日々増加して、コカトリス狩りに追われる日々が何日も続くこととなった。それでもかなり割高の値段で引き取ってもらえるので、パーティーの財政はこの所潤う一方となっている。

◇◇◇◇◇

毎日をダンジョン攻略に明け暮れていた9月はあっという間に過ぎ去って、秋が深まる10月を迎えている。

この時期になると殊更忙しくなるのは生徒會であった。鈴は放課後に生徒會室にやってきて、重要會議に出席している。

出席者が全員揃ってから、司會を務める生徒會長が本日の案件について説明を開始する。

「本日は3週間後に迫っている八校戦のエントリーメンバーを確定したいと考えている。最大エントリー人數は各學年32人と開催要項で決まっている。我が校から各種目に出場する生徒を補欠も含めてこの場で選出したい」

八校戦の運営全般に関して教員は表立って手を出さずに生徒の自主に任せられている。したがって、出場選手の選考やエントリー種目の振り分けなどに関して、全て生徒會に一任されているのであった。

「それではまずは1年生から32名を選考しよう。副會長、意見はあるかい?」

1年生の選考に関しては、鈴の意見が最も大きな影響を持っている。生徒會長は鈴が推薦する人を無條件でエントリー選手に選出しようと考えているのであった。會長の求めに応じて鈴が発言をする。

「まずは模擬戦週間の全學年トーナメント決勝に進んだ特待生の2名は確定と考えております。それから學年トーナメントのベスト4に進出した生徒も、絶対に外せません」

ここまでは常識的な範囲の意見なので、鈴の考えに異論を差し挾む余地はない。

「それから、1年Aクラスの浜川茂樹ですが、模擬戦では1回戦で敗れたとはいえ相手が優勝者でしたから、その実力は正當に評価するべきでしょう」

これに関しても、役員の間からは異論は出なかった。

それから鈴はAクラスの格闘系と魔法使いの生徒數人の名を上げる。これもまた順當なメンバーが挙がっているので、誰からも文句は出なかった。そして最後に……

「殘った6人ですが、Eクラスのブルーホライズンを推薦します。彼たちならば、チーム戦で必ず上位に食い込んでくれるはずです」

「Eクラスの生徒だって! 頼りない気がするけど、大丈夫なのか?」

2年生で書記を務める生徒が聲を上げる。Eクラスと聞いて、役員の誰もが怪訝な表を浮かべている。だが副會長が闇雲にEクラスの生徒の名前を上げるはずはないと、役員全員が知っているのも事実であった。

「副會長、そのパーティーを推薦する拠を教えてもらえるかい?」

「はい、會長。彼たちは模擬戦の記録上は目立った結果を殘してはおりません。五人のうち一人が3回戦まで進んだのみで、殘りは1回戦で姿を消しています。ですがそのうち二人はAクラスの上位男子との引き分けで、二人は接戦の末に敗退しました。これだけでも相応の実力を理解していただけると思いますが?」

「うーん、まだ拠としては弱い気がするな」

「ではさらなる拠を述べさせていただきます。彼たちはすでにダンジョンの4階層に到達して、間もなく5階層を目指しています」

「「「「なんだってぇぇぇ!」」」」

役員全から驚愕の聲が上がる。1年生で4階層に降りるなど、これまでの學院の常識を覆すとんでもない偉業なのだ。

「9月から魔法使いの生徒が加して、彼たちのパーティーの陣容が整いました。私たちのパーティーに続くのは、彼たち以外には存在しません!」

鈴の意見に誰も反論できなかった。4階層の魔と戦える実力というのは、即ち學年のトップということなのだ。鈴の意見を黙って聞いていた生徒會長は大きく頷く。

「いいだろう。Eクラスの生徒とはいえ、それだけの実績があるのならエントリー資格は十分だ。ところで副會長、君たちは何階層まで攻略しているのかな?」

「それはです」

おいそれとは明かせない機に関しては、完全黙をする鈴であった。

◇◇◇◇◇

「第48回、パーティー會議ぃぃぃ!」

「48回って… 毎日ただのお茶會だったよな」

特待生寮に集まった5人は、いつのもようにリビングのテーブルに著いている。もちろん桜と明日香ちゃんの前には、季節の果が豪華に並んだフルーツパフェが置かれている。

今までの會議は桜が司會を務めていたが、今回の會議は鈴の申し出によって開催されており、彼が司會をしている。

「來たるべき八校戦が3週間後に迫ってきました。當然この場にいる全員は參加します」

「桜ちゃん、大阪の甘い食べ歩きがとっても楽しみですよ~」

「まあまあ、明日香ちゃん。楽しみは先にとっておくのがいいんですよ。ワクワクが続いた方が、その分幸せですからね」

司會の鈴が口火を切ると、すかさず明日香ちゃんが乗ってくる。今から大阪行きが楽しみでたまらない様子だ。食べ歩きの機會を心待ちにしている。もっと他に真剣に取り組むべきことがあるだろうに……

「八校戦では、學年別のトーナメントと學年に関係ないオープントーナメントが行われます。その他にもチーム戦が開催されます」

「チーム戦ですか! なんだか面白そうですね」

桜がを乗り出している。これまでの模擬戦は全て個人戦だったので、パーティーメンバーと一緒フィールドに立てるのが楽しみな様子である。

「そこで一つの問題が発生しました」

「はて、何でしょうか?」

ダンジョンの攻略は順調だし、メンバーの調も良好だ。鈴が指摘する問題が何を指すのか、桜にはてんで理解が及ばなかった。

「チーム戦ではパーティー名を登録する必要があるんだけど、私たちのパーティーはいまだに名前が決まっていないのよ」

「ああ、確かに! 管理事務所に登録する時も、パーティー名は空欄のままでしたね」

思い出したかのような桜の発言であった。あとから決めようと先延ばしにして、ついついここまで來た結果だ。

「パーティーの名前で、いいアイデアはないかしら?」

「それは決まっていますわ! 〔天才桜様と脇役のダイコン役者〕がよろしいです」

「「「「卻下!」」」」

桜以外の全員の聲が揃う。どれだけ自分が目立ちたいのかと呆れた視線が、一斉に桜へと向かっている。バカも休み休み言え!

「〔聖坂(ひじりざか)魔法〕がいいですよ~」

「明日香ちゃん、お兄様を魔法と言い張るには無理がありそうですよ。しかもどこかのアイドルグループをパクっていますよね?」

「パクっていませんから!」

だが明日香ちゃんの意見も、評判は今一つであった。そもそも魔法が、この場には1人もいない。

中々いいアイデアが浮かばずに、一同が頭を抱えている。いざこうしてパーティー名を決めるとなると、急に浮かばないものであった。

「うーん……」

「何かないですかねぇ~」

頭の中を搾るかの如くに考え込んではみるものの、これといった決め手のあるネーミングが浮かんでこなかった。だがここで聡史が呟く。

「闇魔法と神聖魔法だからなぁ…」

「お兄様ぁぁぁぁぁ! それです! 〔デビル&エンジェル〕でいきましょう」

桜の意見に全員が満更でもないという表に変わる。ちょっと某格闘ゲームぽいのは勘弁してもらおうか。

「パーティー名として、中々いいんじゃないのかしら」

「格好いい名前ですよね」

鈴とカレンの二人は好な表だ。聡史もいいんじゃないかという表で頷いている。更に鈴とカレンの會話は続く。

「私がデビルでカレンがエンジェルかしら?」

鈴さん、最大の悪魔はおそらく桜ちゃんですよ!」

「ああ… (遠い目)」

ここで、コックリコックリ舟を漕ぎ出した明日香ちゃんの額にの文字を書こうとしていた桜が、自分の名前が呼ばれたことに気が付く。

鈴ちゃん、私がどうかしましたか?」

「えっ、全然何でもないから! 気にしないで大丈夫よ」

桜から疑うような視線を向けられているが、鈴はすっとぼけてなんとか誤魔化そうとしている。桜はなおも疑いの目を向けるが、鈴は桜に顔を向けないようにしてカレンと適當に話をするフリで、必死に追及を躱そうとしている。

そして明日香ちゃんは…… パフェを食べ終わってしばらくしてから舟を漕ぎ出したが、ついに力盡きてグースカ寢ているのだった。この件に関する発言権をすでに放棄している。

「それじゃあ、私たちのパーティー名は〔デビル&エンジェル〕に決定ね」

「「「賛!」」」

寢ている明日香ちゃん以外の3人の聲が揃って、ついにパーティー名が決定する。

これで終わりではなくて、更に鈴が話を続ける。

「それからブルーホライズンの6人も八校戦にエントリーされたから、彼たちにも頑張ってもらわないといけないわね」

「そうなんですか。お兄様、ぜひとも私が直々に鍛え上げましょう」

「いや、俺がトレーニングに當たる。桜は時々協力してくれればいいから」

聡史的には『桜の犠牲者は明日香ちゃんだけでいい』という考えであった。ブルーホライズンの子たちを桜の魔の手から守るために、聡史が陣頭指揮で訓練に當たると宣言した。だが晴だけは桜に預けてもいいかなと、聡史はコッソリ考えている。脳筋は脳筋に任せるのが、最も手っ取り早いかもしれないと企んでいるのであった。

◇◇◇◇◇

翌日の基礎実習の時間、聡史はブルーホライズンのメンバーの前に立っている。

「この場にいる全員が、八校戦のメンバーに選ばれたぞ」

「「「「「「ええぇぇぇぇ! 師匠、本當ですかぁぁ?」」」」」」

全員驚きの聲を上げている。殊に千里はトーナメント本戦の出場さえ葉わなかったで、1年生の代表として八校戦の舞臺に臨むなど夢のまた夢であった。

「ということで、今日から5階層に降りていくから、覚悟を決めろよ。オークとの戦いに慣れれば対人戦など怖くなくなるからな」

「「「「「「はい、師匠! どうぞよろしくお願いします」」」」」」

こうしてブルーホライズンの六人は、聡史に率いられてこの日から5階層へ足を踏み込んでいくのであった。

最後までお付き合いいただいて、ありがとうございました。この続きは明日に投稿予定です。どうぞお楽しみに!

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