《ウイルター 英雄列伝 英雄の座と神代巫》20.拳法稽古 ③
「ヌティオスさん、攻撃のスピードとパワーをしいあげてもらってもいいですか?」
「おう!これでどうだ?」
ヌティオスは上方から垂直に手刀を振り落とす。のぞみはステップを踏んで躱し、右腕でけ止める。追撃させないためだ。けを取ったままさらにステップを踏み、前方へりこむようにしてパンチを繰り出す。狙いはヌティオスの下腹。さきほどよりもは良く、わずか5センチのところでパンチを寸止めする。
のぞみの突然の攻め技に、ヌティオスは興した様子で言う。
「おおう!!今のは上手いぞ!」
「剣の技を試してみたんです。距離は違いますけど、なんとか応用できそうですね」
「オレにはわからないが、よく考えたな!すごいぞカンザキ!」
「ヌティオスさんは手腕が長いので、刀のようだなと思って。それをヒントにしました」
ヌティオスはのぞみの長を素直に喜ぶ。
「お前、オレと違って頭がいいんだな」
のぞみは心底嬉しそうに笑って言う。
「いえいえ、ヌティオスさんのおかげです。さて、攻守代しましょうか」
「おう、いつでもいいぜ」
格闘技の経験がないのぞみのパンチやキックは力が分散されてしまい、大したダメージを與えることができない。余裕がないせいで気迫もなく、ヌティオスにとってはけの練習にならない。
「カンザキ、ガンガン攻めてくれ!」
「はい!」
のぞみは源(グラム)を両方の拳と両足の甲に集め、一打一打に力を込めて打ちこむ。しかし、數十回のコンボ攻撃は、ガード勢を取るヌティオスの腕や掌にけ止められていく。蚊でも追い払うように消耗のないヌティオスに反して、のぞみはわずか一分の間に汗だくになり、息も切れ切れになってしまった。
剣と違い、自分のの力を使っての攻撃は、コンクリートの柱に當たりしたり、タンクローリーのタイヤに杭でも打ちこむように、のぞみのスタミナを激減させる。
源のコントロールに違和を覚えたヌティオスが聲をあげる。
「カンザキ、源気(グラムグラカ)の強度が足りないんじゃないか?分散させず、一點に集中させてみろ」
「一箇所に集中させるんですか?」
(刀の刃をくさせるときみたいに、攻撃を加える一瞬に、拳に源を集めるといいのかな?)
「やってみます」
のぞみは手足に分けた源を、攻撃寸前に右拳に集める。四肢に分散していた椿のが、ぎゅっと凝するように右手に集まり、そのままパンチを打ちこむ。
正拳突きをけたヌティオスは、満足げに笑った。
「そうだ!さっきより良いぞ!」
「はい!」
調子を良くしたのぞみは、今度は足元に源を集め、回転蹴りを打ち出す。
「よし!もっとこい!!」
ヌティオスの激勵は、まるで強化訓練中のスポーツマンが走っている脇を、自転車に乗ってメガホンで呼びかけるコーチのようだった。のぞみは心の奧から燃えあがる何かをじ、びをあげる。
「エイヤーーー!!!」
びに合わせて渾のパンチを打ち出し、しずつ、不慣れな格闘技のスキルをにつけていった。ヌティオスの引っ張りあげるような助言のおかげで、のぞみは組手の練習に手応えをじはじめる。戸いの表はすっかり消え、代わりに目は澄んできらめき、技に合わせて気合いのった聲を出した。
つづく
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