《ウイルター 英雄列伝 英雄の座と神代巫》30.・アクションスキル強化演習 ④
練習施設を踏破したクリアと蛍(ほたる)は、終點にある広場で休んでいた。広場には四の機元端(ピュラルム)タワーがあり、六角柱の側面にそれぞれ記録映像が投影されている。クリアたちは、ほかの心苗(コディセミット)たちとともにその映像を見ており、映し出された記録タイムに満足げな顔をしていた。
クリアはエナジージュースを手に、蛍に話しかける。
「12分86秒983ね」
「へえ!なかなかやるじゃない」
「ふふ、蛍だって悪くないじゃない?私はもっとペースを上げればまだタイムをめられそうだわ!」
記録ボードには、クリアの次に蛍のものが映っている。
< 名前 タイム 所屬組
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リク ウケン 12分86秒833 HⅢ2B
クリア ヒタンシリカ 12分86秒983 HⅢ2A
モリジマ ホタル 12分87秒233 HⅢ2A
ケンス ロンキンス 12分87秒661 HⅢ2D
ラン コール 12分88秒770 HⅢ2A
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自分のマスタープロテタスを機元端センサーに置き、クリアは鼻高々といった表で、ほかの心苗たちの記録を観察している。
「Ms.ヒタンシリカ、しいいかな?」
アーサの呼びかけに、クリアはくるりと振り向いた。
「あら、アーサ先生。何かご用かしら?」
アーサは和な口ぶりで話を進める。
「君の練習を見ていたが、先を行く心苗を踏み臺にしていくというのはお勧めできないよ」
クリアは腕組みをし、邪悪な令嬢のように上から目線でアーサに応対する。実際、クリアは貴族の出であった。
「あら先生。偶然、ルートが重なった誰かさんが、あんまり遅かったのよ。ああでもしないと急ブレーキをかけることになって、かえって危険だったわ」
セントフェラストは心苗の個や主張を尊重する學園だ。教師の中には心苗の素行がどんなに劣悪であっても、実力さえあれば気にしないという者もいる。
アーサはクリアの悪意ある言い訳と下位の者へのいじめに気付いていた。その上で、クリアの経歴をもとに助言を加える。
「君は『天門(てんにょもん)』の所屬だったね。常にを意識し、優雅さを保ちながらも自己を高めていく門派だ。さて、Ms.ヒタンシリカ。今日の君のふるまいは「しい」といえるかな?」
アーサの指導にもじず、クリアは髪のを肩の後ろにサッと払い、高慢に笑った。
「ええ、もちろんよ。強さとしさは繋がっています。強者というのは、多くの弱者たちのの上に立つ者でしょう、先生?頂點に立つ者って、それくらいの気概があるものだと思いませんこと?」
「うむ。君の思考は決して悪くない。ただ、それは君が本當の強者となってから言っても遅くないんじゃないかな」
白い歯を見せて笑う【の貴公子】は、膨らんだ風船に針を突き立てるような言葉でクリアのプライドをズタズタにした。言い返す言葉を失ったクリアは、さっきまでのドヤ顔をしぼませ、腸が煮えくりかえるのをこらえながら返事をする。
「……わかりましたわ。ご忠告謝いたします。さ、蛍、行きましょう。私、もう一週走りたいわ」
悪の令嬢は底意地の悪い顔でアーサを一瞥した。
「いいわ、行きましょう」
蛍は不機嫌になったクリアとともに、アーサの元から立ち去った。
アーサは二人のことをそれ以上気にかけるでもなく、ほかの心苗たちが訓練する様子を見守りはじめる。
記録ボードには、次々と新しい記録が更新されていった。
つづく
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