赤い視界……僕の荒い息遣いがひどく他人のようなじで聞こえている。

目の前には恐怖で震えている……二〇代くらいだろうか？　僕の顔を見て……ひどく怯えている。恐怖で口がうまく開かず……聲も出ないようだ。僕は手に持った剣でそののを差し貫く……を貫く鈍いと、骨を斷ち切るが手のひらに伝わる。が溢れ……痛みで震えながら白目を剝いたの口元から、スッとが溢れてくる。命が失われていくは赤い。そう、と同じだ。しい、命が失われる瞬間はとても素晴らしい。

赤い、赤い、赤い、鮮やかなだ。心に満たされる愉悅、快楽、興。

鼻腔に金屬のようなの匂いがじられると、その匂いで僕は興を隠しきれなくなった。強い衝とが僕の的衝を促進させていく。

僕は息を荒げて、そのを舐めとると……の奧に快をじる。

僕はひどく興して……ふとカーブミラーを見あげる……そこには返りでまみれになって、舌なめずりをしながら歪んだ笑顔を浮かべる僕が立っているのが見える。

急に僕の心が冷めていく、何をしているんだ？　なんで僕はこんな場所に立っているんだ？　なんで僕は人を殺しているの？

「うわぁぁああああっ！　噓だ！　いやだぁああああああ！」

僕……甲斐　雄一(かい　ゆういち)は大聲をあげてベッドから跳ね起きる……うっかり布団も掛けずに寢てしまっていたらしい。

荒い息のまま僕はカーテンを開けて、朝日を浴びる。ほのかにじる気、ポカポカとした日の日差しにし心が落ち著き、早鐘のようになっていた心臓がだんだんと落ち著きを取り戻していく。

「ゆ、夢か……かなり生々しかったが……」

寢汗でびっしょり濡れたパジャマにし不快をじて、僕はベッドから起き上がる。昨日、青葉高等學園の剣道部の先輩たちが三人、通り魔に殺されたとニュースで、そしてメッセでも見た。僕はいじめられていた側だったから……死んでしまった先輩たちに対して思うところはない……が、そんな兇悪な事件が近所で発生したことに軽い恐怖を覚えている。

今日も自習だ……數日は學校にいく事がない……部活もお休みだと大阪部長が部活のグループメッセに送ってきていた。

『落ち著いたら、あの三人に線香をあげに行ってください、お願いします』

部長らしく、短文で男らしいというかをれずに力したであろうメッセージ。部長は辛いだろうな……と思う。大阪部長は部員への面倒見がよく、好かれていた。

だから僕も部長のことは嫌いじゃない……むしろ好を持って接している。部長自も何かと僕のことを気にかけてくれて……でもそれが余計にあの三人からのいじめを助長させる結果になってしまった。

僕は寢汗を流すべく、シャワーを浴びに浴室へと向かう……鏡を見ると恐ろしく疲れて……目の下には隈ができていて、ホラー映畫にでも出てくる幽鬼のような、とても生気のない僕の顔が寫る。

「ひどい夢を見たから……疲れてるんだよね」

「ご飯できてるわよ〜、後片付けだけお願いね」

お風呂から出て、リビングに向かうと母親が朝食の準備を終わらせて、仕事に向かう準備をしている。

僕の家は母子家庭だ。母親は手一つで僕を育ててくれている……。高校卒業後は、母の負擔を減らすためにすぐに就職しなければいけないだろう……剣道が出來るのもあと一年くらいか……。

『昨晩、再び通り魔による無差別殺傷事件が発生しました。犠牲者は現場の近所に住む、二〇代ので……』

ニュース速報がテレビで流れる。僕は椅子に座って朝食を食べ始め、そして何気なくテレビに目をやると……そこに寫った映像を見て、揺と恐怖で強烈な嘔吐をじて急いで席を立つ。必死に我慢をしてトイレに駆け込み嘔吐を繰り返し、僕はボロボロと涙をこぼして何度も何度も胃を吐き出す。

「うげえええええっ！」

あまりの異常事態に母親が出かけるのをやめて、慌ててトイレにやってきて僕の背中を何度もさする。

「ゆうちゃん！　あなた大丈夫なの！？」

僕はなんとか頷くと、母親を押し返してトイレのドアを閉めると必死に胃の中のものを吐き出し続ける。

だって、テレビに映っていた犠牲者とされているの顔は、昨日夢に出てきた……夢で僕が殺したの顔だったのだから。

「今回の事件……おそらくだが降魔(デーモン)が絡んでいると思われる」

私は自習のために部屋に篭っていたのだが、急遽急事態だとＫｏＲＪ東京支部へと青山さんの運転で連れてこられ、八王子さんの説明を聞いている。この司令室には味しいお菓子があり……私はお茶とそのお菓子を食べながらだが。

うん、いつもいいお菓子があるなこの部屋は、私的には合格點を上げたい気分で一人満足に頷いている。

「でも降魔(デーモン)の仕業ってなぜわかるんですか？」

私はし疑問に思ったことを聞いてみる……なぜなら今までの事件では、はっきりとした対象がわかった上で行していた。しかし……私がテレビで見れている報だけだと、犯人不明、目撃者なし、ワイドショーなどでは外國人による犯罪ではないか？　など勝手な憶測が流れている狀態だ。

「そりゃあ、私が検死に立ち會ったんだよ」

後ろから聲をかけられて、私はゆっくり聲の方向を見る……ここには敵となる人はいないだろうけど。そこには一人の……街の占い師のような格好をした老が立っていた。髪のは灰で、顔は人生の年を刻んでおり……とても優しい目をしている。

この人は檜原　琴(ひのはら　こと)さん……今年で八〇代になるＫｏＲＪ最年長の構員だ。コードネームは『天上の神(ウラニア)』。組織において予知や予言などを司る不思議なお婆ちゃんだ。

「お婆ちゃん！　お久しぶりです！」

私は満面の笑顔を浮かべて立ち上がって琴さん……お婆ちゃんと私は呼んでいるが……に抱きつく。そう、私はこの不思議なお婆ちゃんが大好きなのだ。

決して初めて會ったときに飴ちゃんをくれたから、だけではないのだ。人として尊敬できるし、とても優しい。だから決して餌付けされたわけではないのだ、大事なことなので二回言う。

「ほっほっほ、燈は元気だねえ」

嬉しそうな顔でお婆ちゃんが目を細める……私の背中をぽんぽん、と叩くと椅子に座るように促される。

「それで……お婆ちゃんが検死で何か見つけたんですか？」

私は素直に椅子に座ると、お婆ちゃんはよっこいしょ、と聲を上げながら椅子に座り……青山さんにお茶を出すようにお願いをしてから口を開く。

「死から死ぬ寸前の記憶を読んだのだけど……ぼんやりと日本刀などの類ではなくて直剣が見えた。長さは一〇〇センチメートルくらいで……西洋の片手半剣(バスタードソード)のように見えた。傷口も両刃でつけられたような跡がついていてね……昔降魔(デーモン)がこの世界に來るときに、この手の武を使うことがわかっているからね。燈も見ているだろう？」

片手半剣(バスタードソード)……いわゆる片手剣(ロングソード)と両手剣(グレートソード)の中間に位置する剣で、前世ではかなり一般的な武だった。この世界でも一三世紀から一四世紀で流行した武で、刺突と斬撃の二つの使い方がある。まあ本來の切れ味はそこまで良くないのだけど、私のような使い手に握らせれば、簡単に人を寸斷できる武でもある。

ちなみにだけど……前世で使っていた魔剣グランブレイカーは日本刀によく似た武……片刃の大刀(ブレイド)だったのはここだけの話。

あれは私がそう作ったわけでもなく、あの世界の神々が鍛えた際にそのサイズ、形狀にしたからなのだが。そのおかげで現世の日本刀をあまり無理なく使えている、と言うのはちょっとした運命の皮だろうか？

でもしい時に手元にない魔剣なんて意味ねえよ、とはしだけ思う。

「それと……傷口から濃厚な魔の力をじたんだ、警察じゃわからないだろうね。だから一〇〇パーセント降魔(デーモン)が絡んでいるよ。どうするんだい朱雀」

お婆ちゃんは八王子さんに聲を掛ける。実はこのお婆ちゃん、八王子さんの母方の祖母らしく……八王子さんはお婆ちゃんには頭が上がらないらしい。ちょっと困ったような顔をしている。

「む、そうですな……あたりをつけて張り込むくらいしかできない気がします」

八王子さんのその言葉に……お婆ちゃんは呆れたような仕草を見せる。

「朱雀……お前はなんてこう……もっとわかりやすく場所を調べる方法なんていくらでもあるだろう」

青山さんが持ってきたお茶を飲みながら、申し訳なさそうに小さくなっている八王子さんを睨みつけるお婆ちゃん。ああ、八王子さんって案外頭の上がらないが多い気がするなあ、と思った。

「お婆ちゃん、次に出そうな場所は分かりますか？」

私はお婆ちゃんの能力である……『未來視(ビジョン)』で予測できるのではないか？　と思った。お婆ちゃんはほぼ正確に、事の予測ができる能力を持っている。一日に何度も使えるわけではないので、貴重な能力ではあるのだが。

「ほっほっほ、あんたは頭がいいね。私がここにきたのはそのためさ」

_(:3 」∠)_ ファンタジー世界の大刀なのでシャムシールとかそう言うイメージです

「面白かった」

「続きが気になる」

「今後どうなるの？」

と思っていただけたなら

下にある☆☆☆☆☆から作品へのご評価をお願いいたします。

面白かったら星五つ、つまらなかったら星一つで、正直な想で大丈夫です。

ブックマークもいただけると本當に嬉しいです。

何卒応援の程よろしくお願いします。