《【完結】前世は剣聖の俺が、もしお嬢様に転生したのならば。》第二一二話 霹靂(サンダーボルト)
「いい、いいな! やはりお前は格別だ!」
「あなたに言われても嬉しくなんかッ!」
八家さんが刀を振るうをの避けつつ、私は縦橫無盡にその空間を避けて回っている……彼の斬撃は前よりも鋭く、殺意に満ち溢れたものだ。
避けきれそうにない斬撃は素直に刀でけ止めて、追撃を喰らわないように距離をとって避ける。無理に反撃をしようとするだけ付け込まれそうだしな。彼は反撃をしてこない私に焦れたように口を開いた。
「……なぜ反撃しない」
「民間人巻き込むわけにはいかないでしょーが!」
私の反論に真橫に立っているお客さんを見て、ああ、と納得した表を浮かべると八家さんは、一度私の顔を見てからニヤリ、と笑顔を浮かべる。
あ……! 彼のやることを察知した私が慌てて前へと出ようとした次の瞬間、彼の橫に立っていた男客の首が閃と共にまるで、した果実が地面へと落ちるかのようにどさりと落ちる。
八家さんがそのまま首を失い、を吹き出しながら倒れて行く男客を足で蹴飛ばす……。
「や、やめ……ッ!」
「木偶(デク)をいくら斬ったところで、なんの痛もじんぞ? ムフッ」
八家さんは、笑ったままそこに立っていたお客さんをまるで棒か何かのように切り刻んでいく……刀が振るわれるたびに飛沫と、無表のまま地面へと落ちていく頭が、手が、足が……悲鳴すら上げずに人が死んでいく。
彼らは意識がないかもしれない、だから死んだことにも気がつかないかもしれない、だからと言って彼らをまるで丸太でも切り刻むかのように斬って捨てた八家さんに対して、私の心が猛り狂う。
まるで炎のように私の全を熱い何かが駆け巡り、私は自分でも意識せずに思わず前に出てしまう。
「ふ、ふざけるなあああアッ!」
私が思わずびながら刀を振るうが、に任せた一撃は簡単に八家さんに止められてしまう……怒りで刀を押し込もうとする私を見て彼はそれまでも見せなかったような不気味な笑みを浮かべて笑う。
だめだ冷靜になれ私……一度離れないと……! 彼の腹部に前蹴りを叩き込んで距離を離すと、私は大きく深呼吸をしながら怒りを抑えるように刀を構え直す。
だが怒りが収まらない……無辜の人間を簡単に斬りやがった……! その人の名前も人生も知らないけど、そんな簡単に斬っていいはずがないだろうッ!
「なんで……なんでそんな簡単に人が斬れる!」
「お前何を言っているんだ? 剣は人を斬る技だぞ……命を奪い、恐怖と悲しみを生み出す技だ。お前の剣も誰かを斬っているだろう? 誰かの命を奪っているだろう? それを否定するな」
八家さんの冷たい指摘に私は思わず言葉を失う……確かに私は以前人を斬っている。でもそれは相手を殺そうと思って斬ったわけじゃない。
私は激に任せてそのまま八家さんへと突進する……だめだ、こいつはここで斬らないと、もっと多くの人が死ぬ。
「ミカガミ流……泡沫(ウタカタ)ッ!」
「腰がっておらんぞ小娘」
私の泡沫(ウタカタ)を刀でけ止めると、まるで絡みとるような作で私のごと自らの間合いへと引き込もうとする……軽く勢が崩れるが、私は咄嗟に地面を蹴ってその勢いを使って一気に彼の後背へと跳躍する。
刀を構えたまま著地する私に向かって、八家さんの追撃が迫る……その連続攻撃を私は刀でけ流しつつ、相手の出方を伺う……部屋に金屬同士が叩きつけられるような甲高い音が連続で響き、火花が散っている。
「ムフフッ! 防が素晴らしいな……」
「その笑い方やめてくれます?!」
「これは私の癖でな、ムフッ!」
くっそー、なんか気が抜けるような気がしてムカつくんだよなあ……私は何度か剣戟をわした後に、八家さんのきが以前よりも鋭いにもかかわらず対応できている自分の剣に多の驚きをじている。
なんだろう? まるで刀と自分のきが一化しているような、そんな不思議な覚をじてかな高揚をじている……右から斬撃……これは避ける。返す刀で左からの橫凪……これは後ろへとを倒す……そのままを回転させるように刀を振るって追撃を阻止する。
「ぐ……きが……」
ごと叩きつけられる私の斬撃をけ止めた八家さんのごと數メートル後ろへと弾き飛ばす……それを見逃すはずもなく、私は一気に前へと刀を突き出す。
稲妻の如き刺突をなんとか刀の腹でけ止めると、八家さんは衝撃を逃すかのように後背へと跳躍する……だがその著地點へと私の二回目の突きが迫る。
「ミカガミ流……霹靂(ヘキレキ)」
この技は電石火の刺突攻撃を連続で繰り出す……さらに移しながらでも使える技なので、今の八家さんのように後ろに真(・)っ(・)直(・)ぐ(・)逃(・)げ(・)る(・)相手への追い討ちに使われる。
ノエルは五連撃まで繰り出せたようだが、殘念ながら私は二連撃までしか再現できていない……だが、逃れたと思った矢先に追撃の刺突が迫るのは彼にとって意外だったようで、なんとかをひねって躱そうとするも間に合わず、私の刀が肩を貫く。
「ぬぐううっ……!」
八家さんの肩を貫いた刀を引き抜く……彼が肩を押さえてうずくまると同時に地面へとが飛び散る。咄嗟の判斷で霹靂(ヘキレキ)に切り替えたけどこれはいい判斷だったかもな。
地面へと甲高い音を立てて彼の刀が落ちる……私はその刀を蹴って拾えないようにすると、彼の首筋に刀を當てる……しでもいたら斬る、その意思を込めた行に八家さんは苦しそうな顔を歪ませると、項垂れた。
「ぐ……強い……強くなりすぎてる、何がお前をそこまで変えた……」
「あんたみたいなクソ野郎を斬るため……私はこの世界を守ると決めた、だから絶対に負けないし負けられない……快楽で人を斬るようなやつを……生かし……て……」
違う、違う、怒りのまま人を斬ったらこいつと同じじゃないか……八家さんの首筋に刃が軽く當たり、の筋が作られている……この妖刀(あやかしがたな)の化でもは赤い。
地面に流れていると同じ……手元が震える……あの時アマラさんを斬ったが再び蘇る。
「き、斬りたくない……あなたと同じは嫌……」
「……迷うか愚か者が!」
八家さんが首筋を切られることすら躊躇せずにまるで腕を振るう……これは最初に見せた無手からの抜刀! 私は刀を引いてその斬撃を避けるために大きく跳躍する。
著地した私の視界に、八家さんが怒気を孕んだ表を浮かべながら軽く肩を押さえているのが見える……かなりの量のが流れているが、彼はお構いなしに抜刀した刀を構え直す。
「剣聖(ソードマスター)……剣を修めた者が弱音を吐くな!」
怒りの表を浮かべた八家さんの強い視線をじる……まるで全力で刀を振るい、全て見せて見せろと言わんばかりの真っ直ぐな瞳。
前世でもいた殺人鬼のような濁ったではなく、どちらかというと道を極めんとする真っ直ぐな印象だ……私に力負けをしたことで、彼自が覚悟が決まった? ということか?
私が刀を回転させてから鞘へとれ、腰を軽く落として居合の構えをとったことで彼は荒い息のままニヤリと笑う……私が勝負を仕掛けてくるとわかったからだろう。
「一つ聞きます……あなたは快楽で人を斬りますか? そうではないですか?」
「……前者なら私はお前とは斬り合わんよ、闇に紛れて辻斬りを楽しむさ」
自気味の笑顔を浮かべて、彼も刀を構え直す……肩の傷は深いが彼自のの流出はすでに治りつつあり、やはり人間とはし違う存在なんだなと思い直す。
だから……人間とは思わずに叩き切る! 私の雰囲気が一気に変わったことを察知したのか八家さんがし気圧されたような表を一瞬だけ浮かべるが、すぐに元の笑顔を浮かべる。
「なら……私の全力の一撃で、決著をつけます」
私は腰を軽く落として息を吐く……集中力が一気に高まっていく。あたりに立ち込める強い鉄のような匂いも、し吸えたような匂いも、全てが私の覚から切り離されていく。
不必要……ただ相手を斬るためには不必要な覚が削げ落ちるような覚……自分自の呼吸すら意識の外へと追い出していく。
「ムフフフッ……いいな、やはりお前はいい……あ(・)い(・)つ(・)にやるには勿無い……」
「ミカガミ流……絶技、不知火(シラヌイ)」
八家さんはムフフと笑いながら刀を構えると、次の瞬間まるで示し合わせたように私たちは同時に前に出る……彼は袈裟がけ、私は不知火(シラヌイ)……視認できないレベルの居合抜き。閃と共にチンッ! という軽い金屬音があたりに響く。ほんの一瞬……時間にしてコンマ數秒の差で私の斬撃が彼の腹から肩口までを切り裂く……刀を抜刀した狀態で私は大きく息を吐き出す。八家さんの斬撃は私の腕に軽く筋を作っている……ほんのし遅れて赤い筋が刻まれる。
「……お事……剣聖(ソードマスター)の名に相応しい一撃」
八家さんは笑顔のままどう、と地面へと倒れるが、その地面にまるで赤い花が咲いたかのようなどこまでも赤いが広がっていく。
私は軽く刀を振るって一度刃に付著したを飛ばすと、鞘へとそっとれ直す……手応えは恐ろしくじる。確実に今私は相手を斬った……あの時アマラさんを斬った時と同じ、人を慘殺しただ。
八家さんは地面に倒れ伏しながらも私を見上げてムフフ、といつもの笑いを浮かべてこちらを見ている。私は黙ったまま彼を見つめる……今ならまだ助かることもできると思うのだけども、八家さんは私の視線だけで意図を察したかのようにニヤリと笑うと口を開いた。
「不要……勝負に負けた剣士の最後は、死のみ……私はこのまま仮初の死を楽しむとしようか。褒としてお前にくれてやることがある、聞きたまえ」
_(:3 」∠)_ そっか霹靂ってサンダーボルトかー、と技名の名付けしてて再勉強になったりとか
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