《HoodMaker:馴染と學生起業を始めたのはいいが、段々とオタサーになっていくのを僕は止められない。<第一章完>》學生起業の白と黒とグレーゾーン3
「なあ……起業しないで二人で漫畫家目指すか?」
俺は右手をだらっとたらし、<プラスちっく>に背にもたれながら、先日の誠二ばりにってみる。上向きになった視線の先には青空と道雲。南の島らしい天気である。
「いやいや、俺、イラストも話も出來ないから」
「俺も……」
「やっぱ、漫畫は漫畫だよなぁ………………でもなぁ。無茶な夢を追うってのも男のロマンだと—————」
………………………。
「へい、そこの二人」
「はい?」
「はい? じゃなくて起業の話は?」
「え? 今してたけど」
いい雰囲気で男二人が話していたのに、突然秋から茶々がる。
「ほら、今は何も出來ないかもしれないけれど、俺たちまだ若いし漫畫家目指すのも悪くない気がしない?」
それに対して頬を膨らまし反抗。
「それに、今の時代別に紙じゃなくても儲ける方法はいくらでもあるし」
誠二も同調してくれる。
「むしろレッドオーシャン飛び込む必要なんてなくて、今までに無い新しい海を目指して……」
「漫畫家の下りはいいから本題!!」
「ううっ」
もう決著のついているテーブルにつかされた俺たちは、遅延行為に出ていたがそれも無理なようで。
「別に俺は三人が合流しても問題ないけれど、先に聲をかけたのは禮夢だからさ。まあこれから先、相棒の気持ちを無視するわけにはいかないから、な?」
「お、おうよ」
急に相棒とか言われるとなんかむずがゆい。
「別に二人の邪魔をするつもりは無いよ」
秋はそんな事を言う。
「そこはちょこちょこっと、教えてもらう程度でも良いからさ。立ち上げメンバーに加えてほしいとか、チームを組もうとかそういうわけでもないし、ただほんのしアドバイス貰ったり、手伝ったりしてくれたら嬉しいなぁ~みたいな」
それって同盟組んでいるようなもので、こっちの報もれるに等しいんじゃ……。
「え!? そうなの!??」
秋の言葉に奈々が食いつく。
「え? だって、ほら!」
奈々の目線がこちらと秋とで行き來する。どうやら俺たちと違って完全な同調が出來ていないようで。
「だ~。もうっ! 奈々? 今のは渉のの一つだからね!? 一番おいしい所をするためには、遠回りも必要なの! 分かる?」
「うぅ………みんなで一緒には駄目……なの?」
「だーかーらーっ!」
駄々っ子になる奈々。
それを諫める秋。
「というか誠二は問題ないって話だけれど、禮夢は駄目なの?」
そこへ凜が口を開く。
「ダメっていうか、今は、というか」
「どうせ奈々にけない姿は見せられないとか、考えてるんでしょ」
「いやいやいや! そんな事考えてないって」
「まあ既に十分けない姿は曬しているとは思うけれど」
凜がタブレットの電源をれ、ロックを解除する。
すると一瞬見えたのは見覚えのある風景。
ひぃっ!
「分かった! 分かったから! し待ってくれ! 別に乗り気じゃないとか、そういったのではないから! 誠二もOK出してくれてるし、問題はないけれど、それよりもまず聞かせてしいことがあるから!」
そう。散々引っ張って置いて、聴きそびれていた例の件。
「私たち何か言わないといけない事あったっけ?」
「さあ?」
「いやいやいや、そこでクエスチョンマークは酷くないか! さっきから散々引っ張って、俺だけ何も聞いてないのは理不盡でしょ!?」
というわけで。
「誠二!」
俺は張りのある聲を作り問う。
「はい何でしょ?」
「起業って何をするつもりなんだ!?」
俺以外はある程度把握しているなんてずるい。
そんな狀況で返事出來るわけもないし、奈々を參加させるなんて……。
「その容については要相談なんだけど、俺がこれまでに何をやってきたかって話なら」
「じゃあそこからっ!」
そうそう。今日はこの話をしに來たのだ。
なんでこう長い前置きをする必要があったのだろう。
ほんと不思議である。もしそれなりの理由があるのなら、それも含めて教えてしいぐらいだ。
「…………うーん。そうだね」
たっぷりと間をおいて誠二は口を開く。
「最近売れて、印象に殘ったのは……トイレットペーパーの芯、かな」
トイレットペーパーの……芯?
「それからペットボトルのキャップ、落ち葉、あと貝殻」
「えーと……貝殻は何となく売れそうな気がするけれど……ペットボトルのキャップって……」
ぶっちゃけ全部ごみなのでは?
口にするのをどうにか我慢する。が……。
いそいそとそれらを集め、販売する誠二を想像する。
えぇ…………。
急に話がスケールダウンした。
「いったい何やってるの?」
「そうだなぁ。なんて言ったらいいかなぁ……そうだ、販って知ってる?」
「販? ライブ會場でグッズ売ってるやつ?」
「いやー間違ってはいないけれど、そうじゃないというか」
「?」
「それじゃあ、せどりって聞いたことは……」
「ない」
「あーーなるほど」
「というかトイレットペーパーの芯を売る仕事ってあるのか?」
「別に毎回トイレットペーパーの芯を売ってる訳じゃないよ」
「こっちもそうだと思いたいんだけど、ごめん、正直どんな仕事か分からない」
「だよねー。やっぱ凜たちに話した時もそうだったけれど、遠回りにすると伝わらないなぁ」
どうにか察して貰おうと遠回りな言い方をしてきた誠二。
だがそれも一度失敗しているようで、姿勢を正してこちらを見る。
「分かった。多分こっちの言い方のほうが分かりやすいよね」
これから一緒に働く仲間だ。
親しき中にも禮儀あり、なんて言葉があるがまさにその言葉を現しようとしている。
それに対して自分も合わせて背筋をばす。
「そうだね……今、俺がやっているのは…………」
次にどんな言葉が出てくるのだろうか。
あれ程騒いでいた子たちが急に靜かになったのも気になるが、今は次の言葉を待つ。
願わくばこの瞬間が良き未來に繋がるエピソードになりますように。
「『転売』……………………って、やつだよ」
………。
……。
…。
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