《銀河戦國記ノヴァルナ 第2章:運命の星、摑む者》#18
ナグヤ市はスェルモル市に新城が築かれるまで、ナグヤ=ウォーダ家の行政の中心都市であったため、深夜となっても煌びやかに輝いている。銀河皇國の植民星として予め組まれた都市計畫に基づき、建設された街並みは、超巨大な電子回路のようにも見えた。
また自分達が上って來た山の麓に視線を移せば、満開の花を咲かせた山桜が、黒い山腹の中で都市のを浴び、そこかしこで青白く浮かび上がっている。
「綺麗な場所ね」
夜風にふわりとたなびいてされた、長い黒髪を右手で直し、ノアは夜景のしさを、隣にいるノヴァルナに告げた。月の出ていない夜は都市のをさらに際立たせ、闇に閉ざされた空の彼方には、視界を遠ざかって行く航空機の小さながある。
「まあな…」
手摺に肘を置き、短く、ぶっきらぼうに応じるノヴァルナ。ノアはわざとらしく「もぅ…」と機嫌を損ねた聲を出し、肩をノヴァルナの腕にぶつけた。
「あなたが連れて來たんでしょ?」
「まあな…」
「“まあな”じゃあ、ない」
ノヴァルナに振り向いて、両手を腰にあて抗議するノア。ただこの聲も本気で怒っているようには聞こえない。ノアには分かっていたからだ…悪ふざけのためにノヴァルナは、わざわざ夜遅くに自分を連れ出したのではないという事…そして夜景を見たいがための、ツーリングではないという事を。今のこの時間に、二人だけになる事をんだ意味を。
ノアはし強めの勢いでノヴァルナと腕を組み、再び二人揃ってナグヤ市の夜景に振り向くと、明るい口調で問い掛けた。
「で…なぁに? 私に話したい事って」
「………」
いざとなって珍しく口をつぐむノヴァルナに、ノアは軽く肘鉄を喰らわせて先を促す。
「ほら、言っちゃえよぉ。ナグヤのお殿様ぁ」
からかうようなノアのノリに、ノヴァルナは苦笑いを浮かべ、片手で頭をガシガシ掻くと、數時間前のヴァルツ=ウォーダとの夕食で出た話の事を告げた。ヴァルツの提案と希…それらに対する自分の気持ちを、ノヴァルナはナグヤの夜景を眺めながらノアに聞かせる。ノアはノヴァルナに寄り添って、その話を黙って聞いてやっていた。
そしてノアは、ノヴァルナの想いを聞き終えると靜かに言う。
「うん、わかった…自分に納得できないんだよね」
「おう…」
ノヴァルナは不貞腐れたような聲で同意した。
「キオ・スー市の領民を、犠牲にしたくないから?」
そうノアが問うと、ノヴァルナは「ああ」と小さく頷く。
「でも、もう決めてるんでしょ?…自分でも」
ノアがさらに問うとノヴァルナは再び「ああ」と応じて、今度はノアに問い返す。
「おまえは、どう思う?」
それに対し、ノヴァルナに向き直ったノアは、苦みを含んだ微笑みを、しい顔に張り付けて告げた。
「私は“マムシのドゥ・ザン”の娘よ。父がどんな事をして、今の地位にまでり上がったか…ぐらいは知ってるわ」
「………」
無言で自分を見詰めて來るノヴァルナが、手摺に置いた左手に、ノアは右手を重ね置いて、し聲のトーンを軽くしながら続ける。
「もしかして“嫌ならやめちゃえば”とか、“納得できない事はやらなきゃいいのよ”とか、私に言ってしかった?…だけど領民やあなたの兵の命が関わっている話に、そんな言葉は無責任でしょ。私はあなたが背負うものを一緒に背負うために、この星に來たんだから」
そう言われて、口喧嘩をしているわけでもないのに敗北を味わい、ノヴァルナは苦笑を大きくした。やはりノアは、自分の傍らにいてしい存在なのだと、改めてじる。
言ってしまえば何の事はない。ノヴァルナはヴァルツとの話の中で生じた、自分の気持ちのもやもやとした葛藤を、ノアにも分かってしかったのだった。ただ普段の常に強気な言とは裏腹に、っこの部分では人一倍の強いノヴァルナであるから、自分のそういう弱い部分をさらけ出すのに、ノアをバイクで連れ出したり、回りくどい言いになってしまったりしたのである。
ノヴァルナは衝的に右手をノアの頭の上へ、ぼん!と強く置いてで回した。
「いたっ! こら、また年上のお姉さんに、そんな生意気!」
いつものやり取りではあるが、それがノヴァルナの気持ちが晴れた証と分かるノアは、自分が頼られている事を嬉しく思う。
「じゃ、そろそろ帰りましょう」
夜風の運ぶ寒気が増したのをじて、ノアはノヴァルナに告げた。気分が軽くなったのであろうか、ノヴァルナは展臺からの視界の隅に見える、いかがわしいピンクのを放つ建を指さしてノアに告げる。
「なぁ。あそこ寄らね?」
変な事はしないと言ったはずのノヴァルナの本気とも冗談ともつかない言葉を、ノアはバイクへ戻りながら軽く突っぱねた。
「寄らねー」
▶#19につづく
じょっぱれアオモリの星 ~「何喋ってらんだがわがんねぇんだよ!」どギルドをぼんだされだ青森出身の魔導士、通訳兼相棒の新米回復術士と一緒ずてツートな無詠唱魔術で最強ば目指す~【角川S文庫より書籍化】
【2022年6月1日 本作が角川スニーカー文庫様より冬頃発売決定です!!】 「オーリン・ジョナゴールド君。悪いんだけど、今日づけでギルドを辭めてほしいの」 「わ――わのどごばまねんだすか!?」 巨大冒険者ギルド『イーストウィンド』の新米お茶汲み冒険者レジーナ・マイルズは、先輩であった中堅魔導士オーリン・ジョナゴールドがクビを言い渡される現場に遭遇する。 原因はオーリンの酷い訛り――何年経っても取れない訛り言葉では他の冒険者と意思疎通が取れず、パーティを危険に曬しかねないとのギルドマスター判斷だった。追放されることとなったオーリンは絶望し、意気消沈してイーストウィンドを出ていく。だがこの突然の追放劇の裏には、美貌のギルドマスター・マティルダの、なにか深い目論見があるようだった。 その後、ギルマス直々にオーリンへの隨行を命じられたレジーナは、クズスキルと言われていた【通訳】のスキルで、王都で唯一オーリンと意思疎通のできる人間となる。追放されたことを恨みに思い、腐って捨て鉢になるオーリンを必死になだめて勵ましているうちに、レジーナたちは同じイーストウィンドに所屬する評判の悪いS級冒険者・ヴァロンに絡まれてしまう。 小競り合いから激昂したヴァロンがレジーナを毆りつけようとした、その瞬間。 「【拒絶(マネ)】――」 オーリンの魔法が発動し、S級冒険者であるヴァロンを圧倒し始める。それは凄まじい研鑽を積んだ大魔導士でなければ扱うことの出來ない絶技・無詠唱魔法だった。何が起こっているの? この人は一體――!? 驚いているレジーナの前で、オーリンの非常識的かつ超人的な魔法が次々と炸裂し始めて――。 「アオモリの星コさなる」と心に決めて仮想世界アオモリから都會に出てきた、ズーズー弁丸出しで何言ってるかわからない田舎者青年魔導士と、クズスキル【通訳】で彼のパートナー兼通訳を務める都會系新米回復術士の、ギルドを追い出されてから始まるノレソレ痛快なみちのく冒険ファンタジー。
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